Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

美女と竹林

2010-03-01 09:58:25 | 

森見登美彦作「美女と竹林」というエッセイを読みました。森見登美彦さんの小説は何作か読んだことありますが、エッセイは初めてです。でもこちらのエッセイ、ちょっと変っています。森見さんが書いていながら、第三者が客観的に書いているようになっています。たとえば「森見登美彦氏は如何にして竹林の賢人となりしか」と目次の最初に書かれています。ほんまにエッセイ?と思いながら読みました。いつも通り面白くてエッセイでも小説でも妄想でも何でもええわという気持ちになりました。美女と竹林とはきれいな題名でどんな美女が出てくるのかと思いました。どうして竹林かと思ったら何も意味はなく、竹林が好きで竹林事業で一儲けしようと、知り合いの竹林を管理させてもらうことになったからです。その場所が京都の洛西で、私が住んでいた桂が出てきてものすごく身近で一体どこの竹林かなと思いました。どう考えても森見登美彦さんは執筆が忙しくて竹林の伐採など無理なことは目に見えています。そのわかりきったことを詳しく書かれているのが納得できて面白くて、何冊か読んでいるのでこのあたりでこんな妄想するのではないかと見当がつくようになりました。それにしても面白いです。私はこう見えても竹林にはちょっとうるさいのです。まず、たけのこ大好き、それに高槻梶原の高級たけのこが収穫される竹林を案内してもらって詳しく教えて頂いた経験者。竹の年齢の見分け方・竹の下の方の傷はいのししが背中を掻くのにこすった後だということ、竹は成長が早く簡単に育てられそうですが、肥料をやったり間引いたりで手がかかること、白いたけのこは一番高級のたけのこでお刺身で食べられることなどブログ「撮っておき高槻」(2005年4月19日~24日まで)にも掲載しました。ですからこの本で竹林のことが書かれている箇所は大体理解できます。森見さんは職場の先輩鍵屋さんのお家が洛西にあり、今は荒れたままになっている竹林を所有していることを聞き管理をさせてほしいとお願いします。鍵屋さんのご母堂は阪神タイガースをこよなく愛する人であり、森見登美彦氏が作家として初めてもらったバレンタインチョコの記念すべき贈り手です。

「その竹林に、俺が手を入れるというのはどうであろう。そうすれば竹林への愛を具体的行動へ移すことができるし、鍵屋さんからは『ヤルときはヤル作家だ(小説と関係ないけど)』と尊敬され、ご母堂にはバレンタインチョコのお返しができ、近年問題化している荒廃した竹林による環境破壊を防ぐことができる。さらには、自分の脳裏にある理想の竹林を、この手で作るという経験もできる。ここで腕を磨いて、竹林を自在に手入れする能力を培うのだ。竹林は広大な沃野だ。可能性の宝庫だ。商機充満。騒がしい世間から離れて孤独を愛して暮らし、そして、無闇においしいタケノコや、やけに小さな竹とんぼ、以外によくできた門松などを売りさばく竹林成金…」「21世紀は竹林の時代じゃき」「諸君、竹林の夜明けぜよ!」

という訳で鍵屋さんのお家にご挨拶に行き竹林の管理をさせてもらうことになります。そのときにご母堂から手作りケーキをご馳走になります。少し分量を間違えて、ケーキの定義を微妙に逸脱する歯ごたえのあるケーキでした。登美彦氏はご母堂ご母堂とあがめているわりには、時としてこのケーキのことを笑いものにしています。けしからん!せっかくの手作りケーキを・・・とはいってもこのケーキの出てくる件では笑いを我慢できませんでした。そして肝心の竹林伐採は1人では出来ないので友達の明石氏や編集者など大勢を巻き込んでいきました。その結果2018年にはMBC(Morimi Bamboo Companyの略)が大会社に成長し京都四条烏丸南西角に大きなビルまで建ちます。私も竹の知識をいかしMBCに売り込み、アルバイトをしているうちにパソコン力を認められ、正社員に登用されます。そしていよいよMBCの有能なキャリアウーマンとして、華々しい人生の幕が上がるのです。あぁ~とうとう森見登美彦氏の妄想癖がうつってきました。でも妄想の中で楽しい人生を過ごせるのならそれもまたいいか!と思うのでした。

お気に入り度:★★★★★  図書館資料 請求番号:E/モリ

コメント (8)
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