「エープリル・フール物語」倉田保雄作を読みました。著者紹介には
「1924年東京生まれ、慶応大学経済学部卒業後、時事通信、ロイター、UPI東京支局に勤務ののち、フルブライト留学生として米国オレゴン大学に留学。53年共同通信社に入社し、ロンドン特派員、パリ支局長、編集委員を歴任。『CNNデイウォッチ』初代キャスターをつとめる。国際問題評論家。」と書いてあります。アメリカ、イギリス、フランス、欧米に詳しいということです。エープリル・フールについて書かれたエッセイでとても興味を持ちました。英語では「エープリル・フール」、フランス語では「ポワソン・ダブリル(Poisson d'Avrilー四月の魚)」というそうです。アングロサクソン社会ではスピーチのマクラで2回くらい笑わせないと評価されないそうです。英国のチャールズ皇太子が「われわれ王族は世界で最も古い職業についているので・・・」とつぶやかれたそうです。英語で世界最古の職業といえば売春のことだそうです。皇太子が平気で口にできるのはユーモアの本場英国ならではのことだろうと書かれていました。ユーモアの感覚が日本人とは全然違います。だからこの本は面白いし世界を知ることにもつながりました。
- 英国人は、愛犬の話はよくするが、妻のことは余り口にせず、愛人については何もしゃべらない。
- フランス人は、愛犬について少しはしゃべるが、愛人(pettie amieープティタミイ)の話になると熱が入り、妻のことは何も口にしない。
フランスはプライバシー侵害に関する厳しい法律が存在するため、たとえば政治家のプティタミイ関係はスキャンダルにはならないそうです。アメリカや日本のように活字になってスキャンダルがおこり、プティタミイのために首相の首が飛んだり、選挙で落選することなどはあり得ないそうです。
またフランスのコントルペトリ(contrepèterieー文字または音節を置き換えて際どい言葉に作り替える言葉遊び)のことが書かれていてとても面白かったです。コントルペトリはフランスのインテリの頭脳体操みたいなもので、高級官僚やトップ・ビジネスマンなどエリートと話をするときはとても役に立つそうです。たとえば、「私はペンションでテニスをするのが好きだ」は「J’aime le tennis en pension」、tとpを入れ替えると「J’aime le pennis en tension」となり、「私は張り切っているペニスが好き」になるそうです。また、「Dominiqueードミニック」の歌を尼さんが歌って1963年世界で大流行しました。「ドミニック、ニック、ニック・・・」Dominique,nique,niqueだったからフランス人は喜んだそうです。「ドミニック、やる、やる」で、尼さんが歌っているとあって余計に受けたそうです。日本人は真面目でエープリル・フールもそんなに楽しんでいませんが、イギリスやフランスでは新聞に堂々と面白い記事が掲載され騙される人もあるそうです。下ネタ好きの人や真面目な人などいろんな人がいますが、下ネタ好きな人はフランス人、真面目な人は日本人と思ったらわかりやすいです。良いとか悪いとかでなく、ユーモアを楽しんで、楽しんだもの勝ちで過ごせたらなぁと思いました。
2024-3-19(火) 図書館資料 請求番号:913/E/クラ