ウォルター・アイザックソン作「イーロン・マスク上」「イーロン・マスク下」の本を読みました。面白かったのでウォルター・アイザックソン作の他の伝記を読みたいと思って検索したら「レオナルド・ダ・ヴィンチ上下」の本を見つけました。以前読んだ「機能不全家族」の本にレオナルド・ダ・ヴィンチは「機能不全家族(健全に機能していない家庭)の中で育った」と書いてあったので、いつか伝記を読みたいと思っていました。図書館の本を借りて読みました。
レオナルドは美しい容姿、筋骨たくましい体格、そして穏やかな性格だったそうです。圧倒的に美しく、どこまでも優雅な男で、驚くほどハンサムで、どれほどふさぎ込んでいる者でも癒されるような温かみがあったそうです。頭脳明晰で寛容で、表情は生き生き、優雅、気前がよく、いつも華やかな装いをしていました。物惜しみせず、富める友も貧しい友も分け隔てなく自宅に招いて食事をふるまいました。お金には頓着せず物欲もありませんでした。ローマに住んでいたアルベルテ(当時60代)曰く「誰でも3つの領域で美しさを磨くべきだ。町を歩く姿、馬に乗る姿、そして会話術」。フィレンツェに住んでいた10代のレオナルドは3つすべてに秀でていたそうです。あらゆる動物を愛し、動物好きが高じて人生のほとんどを菜食主義者として過ごしました。発明の才能は驚くばかりでした。
人相学や手相学は科学的な根拠がない、錯覚にすぎないと主張していましたが、表情は内面的要因の表れであるとと考えていました。顔の特徴にはその人の性格、邪悪な部分や気性が表れていると思っていました。建築家、機械工、音楽家、詩人、芸人、さらには軍事技術者、演劇プロデューサー、こうした役割のすべてを果たせると自認していました。宮廷付の演劇プロデューサーになりました。画家としてもすぐれていました。体の動きだけでなく心の状態や動きを描き出そうとしました。その技術がありました。ひだの描き方を学んで輪郭や縁をぼかすスフマートという技法を生み出しました。また、何十体も解剖して、240点以上のデッサンが残っています。そのデッサンは芸術的にも素晴らしいものです。人体のあらゆる骨、筋肉群、主要な臓器が詳しく説明されています。解剖学研究の最大の業績と言えるのが大動脈弁の仕組みを解明したことです。論文も手掛けていましたが、中途半端に終わっています。その意義が本当に理解されたのは、ようやく最近になってからです。20個のスケッチと数百ワードの注釈からなる分析は6ページにも及びます。これほど多くの分野で創造性を発揮したものはいませんでした。
作者は7200ページのダ・ヴィンチ自筆のメモを読破してこの本を書かれました。出発点は芸術作品ではなく、このメモ、ノートでした。「芸術と科学、人文学と技術といった異なる領域を結びつける能力こそが、イノベーション、イマジネーション、そして非凡なひらめきのカギになる」と書かれています。未完の作品が多いですが、未完の完璧さがある未完の達人と書かれています。レオナルド・ダ・ヴィンチはゲイでした。それを隠そうともしなかったそうです。本の内容はそれぞれの分野で専門的に詳しく書かれているので難しかったです。そんなに素晴らしい人となりでカッコ良くて、一目お会いしたかったなと思いました。
2024-9-25(水) 図書館資料 請求番号:702.3/レー1,レー2