クラシックな音楽的生活

日々、家の中にヴァイオリンとピアノの音が流れています。

今年最後の最上日 その2

2021-06-20 | 日記

6月15日は朝から晴天だった。

御一日参りを知ってから実際にお参りした4月1日、

5月1日、6月1日もいずれも晴天だった。

神社の側道を歩いていると、すぐ横の草むらに埋も

れるようにモコモコした黒く丸いものが目に入っ

た。

それはもうほとんど私の足元にあって、正体が一瞬

ではわからなかったので、思わず、ひゃっ!と声を

あげてしまった。

と同時にその黒い丸いものもすごい勢いで形を変え

たかと思うと飛ぶように数メートル移動していた。

黒猫だった。

日当たりの良い草むらで気持ちよくお昼寝をしてい

たところを邪魔してしまったようだ。

私のことをじーっと見つめている。

怒っている様子ではない。

「びっくりさせてごめんね。起こしちゃってごめん

ね。」 と謝り、手を振って離れた。

鳥居の前に立つと、もう黒猫のことはすっかり忘れ

てしまった。

神様の世界にお邪魔するのだから、気を引き締めな

いといけない。

一礼して鳥居をくぐった。

参道を歩いていると、にゃぁ〜〜〜んととてもクリ

アで綺麗な鳴き声がしたので振り向くと、すぐ横を

さっきの黒猫が悠々とした足取りで歩いていた。

私の方を一瞥さえしなかったけれど、ほんの少しの

間一緒に歩いた。

そしてすぐに障害物で見えなくなった。

手水屋に立つ頃にはもう黒猫のことは忘れていた。

本堂の手前に、藁のようなものを束ねて作った人が

くぐれる程度の大きな輪が設置されていた。

それは大祓(おおはらえ)というもので、年に2回あ

り、今の時期のものは夏越しの祓(なごしのはら

え)と言うそうで、半年の間に身に付いてしまった

穢れを落とすという意味があるらしい。

その輪をくぐり、いつも通りほとんど変わることの

ない文言を唱えてお参りをした。

いつもならそれでお暇するところだが、この日は

ぜか、おみくじを引かないといけないと思った。

上の娘が、「珍しいね、急にどうしたの?」 と

怪訝そうに言うのも当然だ。

私がおみくじを引くのは何十年ぶりかと言うほどレ

アなことだから。

初詣の時も、観光で参拝する時も、おみくじを引く

ことはない。

何か特別意味のあるものと思えなかったから。

娘たちが引いて一喜一憂する姿をいつも遠目に見て

いた。

この日引き寄せられるようにして引いたおみくじは

吉。

でもそのことに大した意味はない。

大切なのはお言葉の方。

透かし模様の入った和紙に書かれたお言葉は、ほと

んど予期していた通りのものだった。

なぜか、そんな気がしていた。

そうでないとおみくじに引き寄せられるはずはない

から。

ストンと腑に落ちた。

神社からの帰り道、出会った黒猫のことが気になっ

ていたらしく、娘が調べてくれた。

参拝の時に境内で黒猫に会うのは吉とされているそ

うだ。

黒猫は神様の使いで、参拝者の穢れを浄化し、神様

の場所に導いてくれるらしい。

なるほど…信じることにした。