A whiSper Of memOrieS

☬Murmure de mémoire☬

Katsuura-10

2022-10-11 | Chiba
山月奇記(Shangets-Mysterious Tale)②:「十六夜の丑の刻、彼の山頂に生えし幽髪樹(ユウファジュ)に登り、大きく両の腕を拡げ、月を胸いっぱいに抱け。月に我が身を捧げるつもりで。さすればこの世の者でなき何者かに転生したしという御主の宿望はものの見事に成就するであろう。」「…ただし、一度、異の者に変化(げ)したならもう元の姿には戻れぬので覚悟せ。無論、町にも戻れぬし、二度と家族にも会えぬ。たとえ会いに行ったところで、誰も御主だとは認識せぬ。怖がられて逃げられるだけじゃ。石を投げつけられるかもしれん。また、何を喰らうのかも自分で考えねばならんし、灼熱の太陽にも容赦ない吹雪にも自分で耐えていかねばならん。それらをすべて承知の上でなおも行くというのであれば、わしは止めはせん。」「ん?過去にそういう人間が何人おったか聞きたいと。…あれはまだわしが尋常小学校1年生の頃に爺やから聞いた話じゃが、2人おったそうじゃ。ひとりはこの村の当時40過ぎの働き盛りの漁師、もう一人は隣村の元尋常中学校で教頭まで務めた60代の男だそうじゃ。」
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