重い内容が続きますが、介護問題がいろいろ出てきている時代なので、ひとつの例として綴っていきたいと思います。
母の昼夜逆転が始まり、ついに父もダウン寸前になってしまったので、とりあえずデイサービスを利用することにしました。母が通所したところはサービス時間が短いところだったため、母のいない間に掃除や買い物や夕食の用意をしていると、あっという間に時間がなくなると言っていました。が、母にかかりっきりにならなくてすむことで、少しはほっとする時間ができたと思います。
それでもやはり、父の心労はどんどんたまっていった。介護疲れで殺人事件を起こしてしまったというニュースが流れると、「その気持ちがわかる気がする。どんなに悲しく苦しく辛い思いで手にかけてしまったことか」などと、口に出して言うようになったのをきっかけに、デイサービスではなく、父のために母が入所できる施設をなんとしてでも探さなければと思いました。どんなに愛する人であったとしても、認知症の人を自分がすべて背負ってしまおうとすると抱えきれなくなってしまい、心身ともに疲れ果て最後には最悪の結果になってしまう恐れがあります。
疲れ果てているにもかかわらず、なんとか母を自分でみてあげたいという父を説得し特養にお願いしようという結論を出しましたが、いろいろ回ってみると何百人待ちという状態でいつ入所できるかわからないということでした。とりあえず特養には申し込みだけしておき、はじめはグループホームに入りました。そのグループホームも、父の家の方では空きがなく、私の家の方で入ることになりました。その頃の母は、日によっては家族の顔を認識することや、意思疎通も少しはできることもありました。父は週に一度、バスと電車を乗り継いで母に会いに行き、車いすを押しながらグループホームの周りをお散歩しながら楽しんでいました。父は、母を施設に入れた寂しさはあったと思いますが、心の余裕を取り戻すことができていました。が、グループホームにいる間にも、母の症状は進んで行きました。
つづく