4月23日、環境省の職員が「震災ガレキの受け入れ」について、愛媛県議会 特別委員会に説明に来たというニュース報道がありました。
特別委員会に参加した県議からの「処理後の灰の処理方法はどうなる?」「愛媛まで運んで処理する方がコストがかかるのでは?」との質問にも、明確な答えがなかったようで不安を隠せません。
本当に広域処理、愛媛県まで運んで処理する必要があるのでしょうか?
被災地では今どういう状況なのか?と、気になったところちょうどいいタイミングで新聞記事を見つけました。
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ゼネコン”丸投げ” がれき処理進まず 「現場を知らない」と地元
広すぎる地域 地元業者を軽視
東日本大震災で発生した膨大ながれき(災害廃棄物)の処理は、復興にむけた重要課題です。環境省によると岩手、宮城、福島3県の震災がれきは約2250万トン。もっとも多い宮城県は1573万トンにのぼります。同県の処理進捗率は約8%。「効率よく進めるため」とがれき処理業務をゼネコンに”丸投げ”したことが、逆に妨げとなっています。
―宮城県―
津波で甚大な被害を受けた宮城県石巻市のがれき量は616万トンと、県内最多です。市内に何カ所もある一時仮置き場には、がれきが小山のように積み上げられています。
同市渡波の仮置き場には塀が設けられていますが、がれきの山の方が高く、風が吹くと砂ぼこりが周辺に舞い上がります。仮置き場近くの、津波で被害を受けた自宅2階で暮らしている高野庄治さん(66)は、「砂ぼこりがひどいので洗濯物は外には干せない。庭いじりが楽しみなのだが、外に出るとのどが痛くなる」と訴えます。
宮城県は県内被災自治体を5ブロックに分け、政令市の仙台市以外の4ブロックを県主導で処理にあたるとしています。しかし実態は、ブロックごとに大手ゼネコン中心の共同企業体(JV)に業務委託して一括発注するという、事実上の”丸投げ”です。談合情報が県に寄せられるなど、契約の不透明性も指摘されています。
ゼネコンがすすめる処理方法には、地元から疑問の声が―。
契約額1924億円と最大規模の石巻ブロックは鹿島を中心とするJVが受注。しかし、その中には焼却施設のプラントメーカーや専門の廃棄物処理業者が入っていません。
「ゼネコンは、廃棄物処理のことがよくわかっていない」。県内大手の廃棄物処理業者は、こう指摘します。
「何社ものゼネコンが、処理技術に相談に来た。広い地域から集めて大型焼却場で燃やすというが、まだ焼却施設もできていない。廃棄物処理を迅速にやるこつは、小まめに集めて小まめに燃やすことなのに」
日本共産党の宮城県議団は、処理地域の規模を細かくした分離分割発注で、地元業者をできるだけ使うように要求してきました。
横田有史県議団長はこう強調します。「ゼネコン丸投げで処理地域の規模を大きくしたことが遅れの要因になっている。小規模の方が、がれきの輸送時間も短縮できて効率的。さらに地域に詳しい地元業者が加わると業務ははかどる。同時にがれき処理が地域経済の活性化にもつながり、復旧・復興にとって一石二鳥です」
県は業務委託を理由にゼネコンにおまかせ状態です。昨年末時点で、地元業者の参入状況も正確には把握していませんでした。
石巻市の建設業協会幹部を務める地元建設業者はこう要望します。「鹿島から建設業協会に相談はきていない。もっと行政が主導して地元に仕事が回るようにしてほしい」
昨年8月に成立したがれき処理法は、「喫緊の課題」と処理を位置づけ、国の責任を明記しました。しかし実態は、県がゼネコンに丸投げするという責任放棄の構図です。
前出の地元廃棄物処理業者はこう強調します。「今頃になって、環境省の役人が何人も訪ねてきて『処理が進まない原因を教えてほしい』と聞いてきた。驚くほど実情がわかっていない。国も県もゼネコンまかせではなく、現場に出てわれわれとも力を合わせて処理をすすめてほしい」
(しんぶん赤旗 4月23日付 15面より)
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宮城県は、仮設住宅建設でもゼネコン頼みの対応をしたため、建設スピードも住宅の内容も住民の意思に沿うものにはならなかったという報道がありました(地元企業中心に仮設住宅建設を頼んだ岩手では、仮設住宅の満足度も高いと新婦人しんぶんにも載っていましたね)。
地元の企業を応援するような復興支援が、被災者支援にもなるのだと思います。