人生百年までの道のり元始祭 捨て猫に未練の残る親鸞忌 コンビニ人間ベストセラーに寒参り 俳句など捨ててはどうか報恩講 シャンバラの夢醒めやらず冬籠り 孤独死に続く幽けさ雪安居 エルビスの巨大な孤独日脚伸ぶ 草野球道なるブログ春を待つ 寒垢離のランナーまた一人薄れけり 人懐っこさここに極まる漱石忌 漱石忌もはや孤独を言ふなかれ 一億総活躍社会星冴ゆる ニッポンの戦後の自由ちゃんちゃんこ 極寒の東京下町犬騒ぐ しばれると大東亜の夢ほとばしる
戦後の自由まだまだ未熟滝凍つる 東京に覇を唱えゐる冬の滝 猛愛の熱醒めやらず冬の滝 人口の虚空とは知らず冬の滝 芭蕉はや宙空にあり氷橋 妻も子も無くおでん種無尽蔵 熊穴に入る子殺しは夢なのか ジワジワと魂焦がす竃猫 覚醒ののちの雄叫びかまど猫 チャゲアスの万里の河へ炬燵猫 冬眠の恐竜一戸に収まらず 鮟鱇の吊るされてなほ見る夢か
左義長や亡父かと思ひ歩み寄る 左義長やニライカナイの空見上ぐ 氷河期はまだ先のことどんど焼き ポスターのゴッホとゴーギャンどんど焼き 新宿は反戦の街どんどの火 エグザイルの列に加わるどんどの火 願はくば再臨の地にどんど焼き 救世軍の主は来ませりどんどの火 戦後の平和揺らぎて強しどんどの火 東京の恋は育たずどんど燃ゆ 眼を入れしのちの儚さどんど焼き
十日一割お金貸します寒灯し 寒灯し夏石番矢読んでみた(「俳句界」1月号) 東京から大阪寒灯の一列に もはや自由はどこにもなくて冬灯 除雪車の誰か轢かれてゴォーと云う オートロック無き世を生きて雪を掻く 写真俳句何も語らず寒波来る 私とあなたポケモンの恋寒四郎 ホクホクの焼芋ロボットの声なのか 主宰いまも呆けてをらず寒月下 のっぺい汁戦争俳句ふわふわと スクランブルエッグのレシピ寒七日
芭蕉の地革命の地ともももんが飛ぶ 孤独死の七十三歳昼の火事(1月9日) 新宿ゴールデン街またも出火とツイートす 昼火事の行方不明は父か母か 寒柝をブリキの太鼓のやうに打つ 私の中の少年夜焚火に参入す 寒柝の地獄巡りに酷似せり スケボーの少年かんじきのイロハ問ふ 落葉焚き新興俳句とは何か ドラムカンで焼かれし少年火事なのか まう誰も帰らぬ岸へ朝焚火 主宰とは滅びゆく者賀状書く 暗澹といふ名の余生日記買ふ 再臨はことしのいつか日記買ふ アンネとはゲバラの異称初日記 古暦韓国すでに死地と化す(駐韓日本大使帰国)