ノリタケの森の東南の一角に、戦前に建てられた事務館本館が現存しています。
道路に沿って「く」の字型に造られた建物には、淡いクリーム色のタイルが張られ、高級磁器生産で有名なノリタケにふさわしい清潔感と明るさが感じられます。
外観は装飾が少ないシンプルなモダニズム建築ですが、玄関扉の装飾などにアールデコ風の幾何学模様が見受けられます。
名古屋の巨匠、鈴木禎次が晩年(昭和16年没)に設計した数少ない現存するモダニズム建築ですが、彼の代表作として取り上げられることはほとんどありません。
これからもやさしい陶磁器のような外観のこの建物が、いつまでもノリタケの森とともに街角の風景として存在し続けることを願ってやみません。
◆(株)ノリタケカンパニーリミテド事務館本館/名古屋市西区則武新町3丁目1-36
竣工:昭和12~13年(1937~38)
設計:鈴木建築事務所(鈴木禎次)
施工:大倉土木
構造:RC造3一部4階、地下1階
撮影:2010/05/05
輪之内町交差点から見た建物全景
ノリタケの森噴水広場から見た建物北側
北側玄関周りのデザイン
段違いの縦長窓や円筒状に張り出した造形が面白い
建物東側~角に丸みをつけた優しい外観
正面玄関~おなじみ筆記体の「noritake」のロゴマーク
アールデコ風の正面玄関扉
建物南側~リズミカルに並ぶ縦長の窓と3階の庇が水平線を強調
南側玄関扉~幾何学模様が楽しい