今回は名古屋市港区の中川運河~名古屋港周辺に残る近代化遺産を訪れました。
まず最初の目的地は、地下鉄名城線港区役所駅で下車、駅のすぐ北側にある港北公園です。
この港北公園一帯は、昭和12年(1937)我が国初の国際的博覧会として開催された名古屋汎太平洋平和博覧会の会場になった場所で、海外から29ヶ国が参加、57のパビリオンが建ち並び、会期78日間で総入場者数は480万人は、戦前の博覧会としては日本最多を記録しています。
博覧会のために堀川と中川運河を結ぶ水路に架けられたのが平和橋で、水路が埋め立てられ港北公園がつくられた時に平和橋はそのまま江川線の陸橋として生き残りました。
現在博覧会当時に建設されたパビリオンはほとんど現存せず、博覧会名にちなんで平和の二文字をとって名付けられた平和橋だけが唯一博覧会の跡をとどめる貴重な建造物で、名古屋市の認定地域建造物資産に認定されています。
(他には旧迎賓館の蘇山荘が東区の徳川園に移築され現存しています)
■平和橋全景(東側)~橋の下を東西に流れていた水路を埋め立て、そのまま公園にしたのが良く分かります
■会場跡地に造られた港北公園~花壇の中央には、博覧会開催の歴史を伝える説明板が設置されています
■「名古屋汎太平洋平和博覧会と平和橋」の説明板~当時の会場や平和橋の様子が写真付で良く分かります
わたしの世代は博覧会と言えば大阪万博が印象に残っていますが、
戦前に東京ではなく名古屋で国際的博覧会が初めて開催されたのは興味深いところです。
■会場案内図
■博覧会ポスター
■博覧会宣伝用の年賀はがき
■博覧会会場のパビリオン(当時の絵はがき)
■親柱は当時流行のアールデコ風のモダンデザイン(北東側)
■広いテラス状の橋詰(北東側)
■桁に製作者の銘の入ったプレートがあります
■西側全景
■北西の親柱~橋名(漢字)と竣工年のプレートが別々に設置された珍しいタイプ
■昭和十一年十月竣工の銘が入る
■橋の下の車止めも高欄の支柱に合わせた丸みをつけたデザイン
◆平和橋(へいわばし)/名古屋市港区港栄1
竣工:昭和12年(1937)
施工:石原治郎
構造:RC・鉄
撮影:2015/03/21
※名古屋市認定地域建造物資産