近鉄西日野駅から天白川沿いの道を西へ500mほど向かうと、右手に「四郷郷土資料館」の案内板があります。北側の丘陵に向かって坂道を登っていくと、白い木造2階建ての建物にそびえる立派な塔(望楼)に目を奪われます。
建物は大正期に四郷村役場として建てられたもので、この時期の公共建築によく見られる、2階建てのハーフティンバー風の木造建築です。立派な車寄せのついた玄関や、3階建ての威風堂々とした望楼は、当時の村役場としては破格な造りで、この村出身の財界人伊藤伝七(当時東洋紡績社長)が大金を寄付し完成させたものです。
伊勢室山器械製絲場(後亀山製絲室山工場)を創立した伊藤小左衛門もこの地区の出身で、幕末から醸造、酒造、製糸、製茶業などを創業、明治に入り発展を遂げ、四日市近代産業の発祥地として大きく栄えました。
現在旧四郷役場は四郷郷土資料館(毎週土曜開館)として再利用され、地域のシンボルとして大切に保存されています。
◆四郷郷土資料館(旧四郷村役場)/三重県四日市市西日野町3375
竣工:大正10年(1921)
設計:野田新作
構造:木造2階建
撮影:2013/05/04
■建物北側
■門柱には「四郷村役場」のプレートが残る
■建物南側正面
■車寄せのある玄関
■建物東南角には3階建ての望楼がそびえる
■資料館外観
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