素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

市場メカニズムからこぼれた人たち

2023年09月22日 | 日記
 今日の小倉孝保論説委員の「金言」は面白かった。タイトルは『あきらめなかったママ』。米ミシガン州・グッドリッチ高校2年、エリック・キルバーンさんの母レベッカさんの活動を取り上げている。

 エリック・キルバーンさんの身長は208センチだ。靴は「22(約40センチ)」だが、15歳のキルバーンさんは成長期にあり、昨年からは「22」でも履きづらくなった。水ぶくれができ筋肉を痛めた。巻き爪の治療を繰り返し、爪が2枚はがれた。高校のアメリカンフットボールチームでプレー中、足首を捻挫したのも、靴のサイズが合わないためと考えられている。

 母レベッカさんは、息子に合った靴を履かせてやりたいと思い、スポーツ用品大手各社に、もっと大きな靴を作ってほしいと嘆願する。しかし、「22」を超えるサイズの靴を作ったところで、売れるのはたった1足である。会社の担当者は申し訳なさそうに言った。「その靴を作る唯一の方法は、息子さんがプロのアスリートになることです」

 それでもレベッカさんはあきらめずネットで窮状を訴えた。すると、キルバーンさんの友人たちが募金活動を始めた。その友情を知ったスポーツ用品大手2社が重い腰を上げ特別製の靴をプレゼントした。

 キルバーンさんは8月、履き心地の良い、真新しい靴でアメフトの試合に出場した。雨中、観戦したレベッカさんは「他の選手と同じように、息子は自分の能力を最大限に発揮していました」と感動で涙を流した。さらに、大きな靴を買う余裕のない低所得者に、サイズに合った靴を提供する運動を展開しようと準備を始めている。という。

 キルバーンさんほどではないが、私も自分のサイズに合った靴と服には苦労した。私の青春時代では身長182cmはかなりの規格外だった。既製服は無いに等しかった。今は、大きい人も増えて来て服に関しては苦労はないが、靴はまだまだである。ランニングシューズで選択肢の多いのは27.5cmまでで、28cmになるとガクっと数が減る。私に合う28.5cmとなるとなかなか見つからない。

 きつい靴を無理に履いて左足が外反母趾になったこともある。キルバーンさんの苦労は分かるつもりである。小倉さんは、こうまとめている。「市場メカニズムは同質の製品を多くの人に届けるのに優れたシステムだ。一方、標準と違う少数者には、適合するモノやサービスが届きにくい。特別に注文すると、どうしても高額になる。そうした資本主義経済が抱える欠陥は、行政のきめ細やかな政策や企業の社会的貢献、市民レベルでの慈善活動で補うしかないのが現状だ。」

 この話を読んでいて、テレビで見た、足に障害を持っている人たちのために、それぞれの障害に応じた靴づくりをして、自力で歩行できるようにサポートしている靴職人のことを思い出した。市場メカニズムからこぼれた人たちに寄せる暖かいまなざしが印象的だった。

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