素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

情報の洪水の中で

2025年02月02日 | 日記
 これから生きていくうえで、山中深く隠遁生活をしない限り情報の洪水の中をいかにして平静に過ごしていくのかが大きな課題となる。1月30日の毎日新聞「論点」にあった釈徹宗・相愛大学長(宗教思想家・浄土真宗本願寺派如来寺住職)の言葉の中にひとつの指針をもらった。

 選挙や政治闘争にインターネットの影響が色濃くなってきている今の状況について釈さんは「人間は、インターネットによって、得たい情報を瞬時に大量に得られるようになりました。しかし、この情報の洪水を使いこなせるほど成熟していないのかもしれません。だからむしろ、自分と同じ意見ばかりの空間に無意識でも便りたくなる。」と分析する。

 そして「人間とは外部から受けた刺激を『自分の都合』というフィルターを通して変化させて、それを再び自らの行為として表出する存在で、人間は見たいもの、信じたいものの認識にはポジティブ(積極的)である。それゆえ、人間は自分を肯定したり、正当化したり、興奮させたりする、『自分の都合』に即した刺激だけを強く受け取ってしまう」と注意を喚起する。

 そのことを踏まえ「刺激的な情報に目を奪われるだけではなく、時々は自らを整理して、よって立つ基本的事実や経験値を確認すべき」だと説く。「自分の都合」に基づいて集まる情報を前にして、ひと呼吸おき、物事がそこに至る経緯はなんだったのかを冷静に考えることが大切だということ。

 論理(ロゴス)と感情・情念(パトス)と人々が培ってきた習慣や習俗(エートス)のバランスが大切のだが、ともすると今、SNS上にあふれる情報はパトスに偏りすぎているように思える。

 新聞や本を読むことはそういう意味でなくてはならないものである。情報の洪水に溺れないように「ひと呼吸」つきながら生きていく必要がある。
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