8月24日に鹿島槍ヶ岳(標高2889m)に登りました。
この記事は鹿島槍ヶ岳(前編)からの続きです。後編では種池テント場から鹿島槍ヶ岳への往復登山の様子をご覧いただきます。
それではどうぞご覧下さいませ。
4時31分に、ヘッドランプを点して種池テント場を出発しました。
ハイマツの林を抜け、爺ヶ岳南峰に続く稜線に出ると、東の空がオレンジ色に染まりだしていました。

振り返ると漆黒の中に種池山荘の建物が浮かんで見えました。背後には立山・前剱と並んで、山荘からは見えにくかった剱岳が見えていました。

ここでこの日歩いたコースについて、簡単に説明します。
先ずは下の縮尺の小さな地図をご覧下さい。この日歩いたコースは、南の針ノ木岳から北の白馬岳、日本海・親不知海岸に続く、後立山連峰の主稜線の一部になります。
コースの西側が富山県で東側が長野県です。

下の縮尺が大きい地図を見ると、富山県側が比較的傾斜の緩やかな地形なのに対し、長野県側が急峻な崖になっていることが分かります。このような山稜を非対称山稜といいます。
コースは爺ヶ岳までは東に向かい、爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳へはまっすぐ北に向かいます。従って午前中には立山連峰の山々が陽光を受けて見えます。
距離は往復で12.1km、累積標高差は1150m、コースタイムは8時間です。

針ノ木岳を正面に観ると主稜線の南側に雲海が広がっていました。

南風を受けてこの雲が主稜線に迫ってきていて、主稜線を越えて流れようとしています。滝雲の始まりです。

主稜線を越え黒部渓谷へと雲が落ちていきました。滝雲と剱岳です。

すると目の前に1羽のライチョウが現れました。今年生まれた幼鳥のようです。両足に足輪を付けていました。

滝雲は観たいしライチョウも気になります。運良くライチョウがハイマツの中に隠れたので、滝雲に集中することができました。



雲海の彼方には槍の穂先も見えていました。

目指す鹿島槍ヶ岳の東壁に陽が当たり始めました。


剱岳です。

立山です。

薬師岳だと思います。

日の出前後のショーが終わり、あらためて鹿島槍を目指します。爺ヶ岳南峰・本峰・北峰へは登らず、巻き道を進むことにしました。
ハイマツの林の上をホシガラスが飛んで行きました。この日はホシガラスを何度か観ました。秋はホシガラスがハイマツの実を集めて飛び回る季節です。
トウヤクリンドウ(リンドウ科リンドウ属の多年草)が現れました。朝早いため花は開いていません。
花が終わったミヤマダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属の多年草)も見ました。きっと1ヶ月前には黄色く染まったお花畑が広がっていたことでしょう。


オヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属の多年草)も見られました。タカネナナカマド(バラ科ナナカマド属の落葉低木)が赤い実をつけていました。

登山道から立山連峰の山並みが見えています。

長野県警のヘリコプターが飛んできました。すれ違った方によると、前日(23日)に鹿島槍の吊り尾根で滑落事故があったようです。安全第一で行きます!

白い実をつけたシラタマノキ(ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木)の側にコゴメグサ(ハマウツボ科コゴメグサ属)の仲間が咲いていました。ミヤマコゴメグサでしょうか?

6時38分に冷乗越(標高2488m)を通過しました。ガスが出てきました。ガスが抜けると鹿島槍への稜線が見えます。冷池山荘はもうすぐです。


6時42分に冷池山荘に到着し、飲料水を補給しました。休むことなく先へ進みます。
冷池山荘を出るとテント場までの間にお花畑がありました。
ヒトツバヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)です。

オヤマリンドウ、ミヤマアキノキリンソウ、セリ科の花が咲いていました。キンポウゲ科の果実も見えています。

左はヤマハハコ(キク科ヤマハハコ属の多年草)、右は花が終わったチングルマ(バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木)です。

左の写真にはウサギギク(キク科ウサギギク属の多年草)が見えます。セリ科の花はシラネニンジンのようです。ハクサンフウロも見えています。
右はタカネヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)かもしれません。タカネヨモギは日本の固有種で、本州の中部地方および東北地方に特産し、高山帯の日当たりが良い裸地に生育します。

7時28分に布引山に着きました。ザックを降ろして軽食を摂りました。

布引山から観た立山連峰です。

立山のアップです。

剱岳のアップです。

布引山で10分程度休み鹿島槍へ向かいました。ここから鹿島槍までのコースタイムは45分です。
途中にもお花が観られて癒やされました。

イワベンケイ(ベンケイソウ科イワベンケイ属の多年草)でしょうか。久しぶりに観ました。

西側の斜面にはトウヤクリンドウがいっぱいです。


左の写真はヤマホタルブクロでしょうか? 標高が2800mを越えていた辺りで観ています。右はオンタデの雄株だと思います。

左はハイマツの実。右はヤマハハコです。

ミヤマダイコンソウだと思います。

ガスが出たり晴れたりの繰り返しでした。


8時45分に鹿島槍ヶ岳南峰に着きました。山頂は広くて誰もいませんでした。
セルフタイマーで記念写真を撮りましたが、失敗しました(その後撮り直しました)。

三角点を入れて撮影しました。

山頂に30分佇みましたがガスが晴れることはなく、ようやく僅かなガスの切れ目に北峰に続く吊り尾根を観ることができました。

帰路は同じ道を戻り、12時20分に種池山荘に帰着しました。

翌朝、再び日の出の感動を味わおうかと一瞬思いましたが、無理をしないことにして下山しました。
日の出の時刻に富士山がきれいに見えました。

8月25日、9時10分に扇沢出合(柏原新道登山口)に無事に下山しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
鹿島槍ヶ岳(完)
この記事は鹿島槍ヶ岳(前編)からの続きです。後編では種池テント場から鹿島槍ヶ岳への往復登山の様子をご覧いただきます。
それではどうぞご覧下さいませ。
4時31分に、ヘッドランプを点して種池テント場を出発しました。
ハイマツの林を抜け、爺ヶ岳南峰に続く稜線に出ると、東の空がオレンジ色に染まりだしていました。

振り返ると漆黒の中に種池山荘の建物が浮かんで見えました。背後には立山・前剱と並んで、山荘からは見えにくかった剱岳が見えていました。

ここでこの日歩いたコースについて、簡単に説明します。
先ずは下の縮尺の小さな地図をご覧下さい。この日歩いたコースは、南の針ノ木岳から北の白馬岳、日本海・親不知海岸に続く、後立山連峰の主稜線の一部になります。
コースの西側が富山県で東側が長野県です。

下の縮尺が大きい地図を見ると、富山県側が比較的傾斜の緩やかな地形なのに対し、長野県側が急峻な崖になっていることが分かります。このような山稜を非対称山稜といいます。
コースは爺ヶ岳までは東に向かい、爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳へはまっすぐ北に向かいます。従って午前中には立山連峰の山々が陽光を受けて見えます。
距離は往復で12.1km、累積標高差は1150m、コースタイムは8時間です。

針ノ木岳を正面に観ると主稜線の南側に雲海が広がっていました。

南風を受けてこの雲が主稜線に迫ってきていて、主稜線を越えて流れようとしています。滝雲の始まりです。

主稜線を越え黒部渓谷へと雲が落ちていきました。滝雲と剱岳です。

すると目の前に1羽のライチョウが現れました。今年生まれた幼鳥のようです。両足に足輪を付けていました。

滝雲は観たいしライチョウも気になります。運良くライチョウがハイマツの中に隠れたので、滝雲に集中することができました。



雲海の彼方には槍の穂先も見えていました。

目指す鹿島槍ヶ岳の東壁に陽が当たり始めました。


剱岳です。

立山です。

薬師岳だと思います。

日の出前後のショーが終わり、あらためて鹿島槍を目指します。爺ヶ岳南峰・本峰・北峰へは登らず、巻き道を進むことにしました。
ハイマツの林の上をホシガラスが飛んで行きました。この日はホシガラスを何度か観ました。秋はホシガラスがハイマツの実を集めて飛び回る季節です。
トウヤクリンドウ(リンドウ科リンドウ属の多年草)が現れました。朝早いため花は開いていません。
花が終わったミヤマダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属の多年草)も見ました。きっと1ヶ月前には黄色く染まったお花畑が広がっていたことでしょう。


オヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属の多年草)も見られました。タカネナナカマド(バラ科ナナカマド属の落葉低木)が赤い実をつけていました。


登山道から立山連峰の山並みが見えています。

長野県警のヘリコプターが飛んできました。すれ違った方によると、前日(23日)に鹿島槍の吊り尾根で滑落事故があったようです。安全第一で行きます!

白い実をつけたシラタマノキ(ツツジ科シラタマノキ属の常緑小低木)の側にコゴメグサ(ハマウツボ科コゴメグサ属)の仲間が咲いていました。ミヤマコゴメグサでしょうか?


6時38分に冷乗越(標高2488m)を通過しました。ガスが出てきました。ガスが抜けると鹿島槍への稜線が見えます。冷池山荘はもうすぐです。


6時42分に冷池山荘に到着し、飲料水を補給しました。休むことなく先へ進みます。
冷池山荘を出るとテント場までの間にお花畑がありました。
ヒトツバヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)です。


オヤマリンドウ、ミヤマアキノキリンソウ、セリ科の花が咲いていました。キンポウゲ科の果実も見えています。


左はヤマハハコ(キク科ヤマハハコ属の多年草)、右は花が終わったチングルマ(バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木)です。


左の写真にはウサギギク(キク科ウサギギク属の多年草)が見えます。セリ科の花はシラネニンジンのようです。ハクサンフウロも見えています。
右はタカネヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)かもしれません。タカネヨモギは日本の固有種で、本州の中部地方および東北地方に特産し、高山帯の日当たりが良い裸地に生育します。


7時28分に布引山に着きました。ザックを降ろして軽食を摂りました。

布引山から観た立山連峰です。

立山のアップです。

剱岳のアップです。

布引山で10分程度休み鹿島槍へ向かいました。ここから鹿島槍までのコースタイムは45分です。
途中にもお花が観られて癒やされました。


イワベンケイ(ベンケイソウ科イワベンケイ属の多年草)でしょうか。久しぶりに観ました。

西側の斜面にはトウヤクリンドウがいっぱいです。


左の写真はヤマホタルブクロでしょうか? 標高が2800mを越えていた辺りで観ています。右はオンタデの雄株だと思います。


左はハイマツの実。右はヤマハハコです。


ミヤマダイコンソウだと思います。

ガスが出たり晴れたりの繰り返しでした。


8時45分に鹿島槍ヶ岳南峰に着きました。山頂は広くて誰もいませんでした。
セルフタイマーで記念写真を撮りましたが、失敗しました(その後撮り直しました)。


三角点を入れて撮影しました。

山頂に30分佇みましたがガスが晴れることはなく、ようやく僅かなガスの切れ目に北峰に続く吊り尾根を観ることができました。

帰路は同じ道を戻り、12時20分に種池山荘に帰着しました。


翌朝、再び日の出の感動を味わおうかと一瞬思いましたが、無理をしないことにして下山しました。
日の出の時刻に富士山がきれいに見えました。

8月25日、9時10分に扇沢出合(柏原新道登山口)に無事に下山しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
鹿島槍ヶ岳(完)