律令制の時代の後期に越前国から加賀国が分割され、手取川以北の加賀郡と手取川以南の江沼郡の二つの行政区が敷かれた。
江沼の名は、大聖寺川(だいしょうじがわ)・梯川(かけはしがわ)・動橋川(いぶりはしがわ)の川を意味する江と、柴山潟・木場潟・今江潟の沼から付けられた。
江沼郡は後に北部が能美郡として分割され、江戸時代においては全域が大聖寺藩領となり、その中心地は大聖寺(現加賀市大聖寺町)であった。
大聖寺から一同に眺めることができる大日山(標高1368m)、富士写ヶ岳(同942m)、鞍掛山(同478m)を江沼三山と呼び、いずれもハイカーに人気がある。
特に富士写ヶ岳は、作家で登山家の深田久弥氏が登山好きとなるきっかけの山であり、日本百名山の愛好家からは「原点の山」「ゼロ番目の百名山」と呼ばれている。そのため地元のハイカーだけでなく、全国の百名山ファンが足を運んでいる山である。
富士写ヶ岳の遠景。(写真をクリックすると大きくなります。)
前置きが長くなったが、シャクナゲが満開の4月後半に富士写ヶ岳を登ってきたので、その様子をご覧いただきたいと思う。(地図をクリックすると大きくなります。)
登山口に立派な看板が設置されていた。ダム湖に架かる吊り橋を渡っていく。
吊り橋を渡り終えると、いく種かの山野草が出迎えてくれた。
(左)ホクリクネコノメ(ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草)。(右)サワハコベ(ナデシコ科ハコベ属の多年草)。
(左)ムラサキケマン(ケシ科キケマン属の越年草)。 (右)サギゴケ(別名ムラサキサキゴケ、サギゴケ科サギゴケ属の多年草)。
数十メートル歩いて、ここからダム湖畔を離れて山に入る。いきなり急登だ。
同じ時期に登った荒島岳ほど花は多くない。しかし所々で観られる花が癒やしとなる。ニョイスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)。
ユキザサ(ユリ科マイヅルソウ属の多年草)。
こちらは樹木の花で、ツクバネウツギ(衝羽根空木、スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木)のようだった。
再びニョイスミレ。影絵でミッキーマウスを映した。
ガマズミ(スイカズラ科ガマズミ属の落葉高木)の花が咲いていた。
ガマズミとコバノガマズミの違いは葉柄の長さで分かる。ガマズミの葉柄は1cm以上ある。この写真でお分かりだろうか。
ツバキの仲間もまだ咲いていた。北陸ではユキツバキも観られるが、これは鋸歯が鈍く細かいのでヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属の常緑高木)のように思えた。
蘂がきれいなこの花はウワミズザクラ(バラ科サクラ属の落葉高木)だと思う。この花を観ながら1回目の休憩を取った。
ここから再び急登となる。足元にカンアオイの仲間を見つけた。花は観られなかった。
薄紫色のスミレはオオタチツボスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)のようだった。荒島岳で観たようなスミレ類の大きな群落は観なかった。
ここで再びユキザサの群落を観た。
(左)この特徴のある樹皮はナツツバキ(ツバキ科ナツツバキ属の落葉小高木)のように見えた。(右)ナツツバキの3本の幹の間からヤマモミジ(カエデ科カエデ属の落葉高木)の葉が広がっていた。
チゴユリ(イヌサフラン科チゴユリ属の多年草)を見つけた。
ようやく中間地点に到着。ずいぶん時間がかかってしまった。
ミツバツツジの仲間が現れた。北陸で観られるミツバツツジの仲間はユキグニミツバツツジ(ツツジ科ツツジ属の落葉低木)で、雄しべは10個ある。
ユキグニミツバツツジはさらに標高が高いところでも観られた。
さらに進むとお待ちかねのシャクナゲが現れた。この山で観られるのはホンシャクナゲだ。本州の新潟県西部以西と四国山地に分布する。
花がきれいなものを選んで写真を撮った。
今年はシャクナゲが裏年に当たるらしい。それでもたくさん咲いていた。表年にはさらに花数が多いようなので、また行ってみたいと思う。
ホンシャクナゲは枝先にまとまって花をつける。このつぼみでは花数は8つあった。
シャクナゲの群落に見惚れていたが、足元にきれいなスミレの仲間が咲いていた。タチツボスミレの仲間のように思うがよく分からない。
こちらはさらに登ったところで観たスミレの仲間。
トクワカソウ(イワウメ科イワウチワ属の多年草)がまだ咲いていた。
ブナの森を歩いて行く。早春の積雪期にはどこでも歩ける場所だ。山頂まではもうすぐだ。
(左)タムシバ(モクレン科モクレンの落葉高木または低木)。(右)ムシカリ(ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または小高木)。
11時10分に山頂に到着した。コースタイムが2時間20分のところを2時間48分もかかってしまった。
山頂からかろうじて白山を眺めることができた。
山頂から少し南へ下った所に日陰を見つけ休憩した。
下りも同じ我谷コースを歩いて13時17分に下山した。下山中にも写真を撮ったので、幾枚かをご覧いただきたい。
クイズではないが、植物の名前を写真の後に書いたので、お楽しみいただければと思う。
ムシカリ、別名オオカメノキ。
ツルシキミ、別名ツルミヤマシキミの果実。
ツルシキミ。幹の基部が地上を這うのが特徴で、葉や花、果実などはミヤマシキミとほぼ同じ。
スミレの仲間。
タムシバ。
ホンシャクナゲ。
ユキグニミツバツツジ。
ユキザサ。
ガマズミ。
ヤマツツジ。
ヘビイチゴ(バラ科キジムシロ属の多年草)。
シャクナゲ満開の富士写ヶ岳ハイキング(完)
江沼の名は、大聖寺川(だいしょうじがわ)・梯川(かけはしがわ)・動橋川(いぶりはしがわ)の川を意味する江と、柴山潟・木場潟・今江潟の沼から付けられた。
江沼郡は後に北部が能美郡として分割され、江戸時代においては全域が大聖寺藩領となり、その中心地は大聖寺(現加賀市大聖寺町)であった。
大聖寺から一同に眺めることができる大日山(標高1368m)、富士写ヶ岳(同942m)、鞍掛山(同478m)を江沼三山と呼び、いずれもハイカーに人気がある。
特に富士写ヶ岳は、作家で登山家の深田久弥氏が登山好きとなるきっかけの山であり、日本百名山の愛好家からは「原点の山」「ゼロ番目の百名山」と呼ばれている。そのため地元のハイカーだけでなく、全国の百名山ファンが足を運んでいる山である。
富士写ヶ岳の遠景。(写真をクリックすると大きくなります。)
前置きが長くなったが、シャクナゲが満開の4月後半に富士写ヶ岳を登ってきたので、その様子をご覧いただきたいと思う。(地図をクリックすると大きくなります。)
登山口に立派な看板が設置されていた。ダム湖に架かる吊り橋を渡っていく。
吊り橋を渡り終えると、いく種かの山野草が出迎えてくれた。
(左)ホクリクネコノメ(ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草)。(右)サワハコベ(ナデシコ科ハコベ属の多年草)。
(左)ムラサキケマン(ケシ科キケマン属の越年草)。 (右)サギゴケ(別名ムラサキサキゴケ、サギゴケ科サギゴケ属の多年草)。
数十メートル歩いて、ここからダム湖畔を離れて山に入る。いきなり急登だ。
同じ時期に登った荒島岳ほど花は多くない。しかし所々で観られる花が癒やしとなる。ニョイスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)。
ユキザサ(ユリ科マイヅルソウ属の多年草)。
こちらは樹木の花で、ツクバネウツギ(衝羽根空木、スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木)のようだった。
再びニョイスミレ。影絵でミッキーマウスを映した。
ガマズミ(スイカズラ科ガマズミ属の落葉高木)の花が咲いていた。
ガマズミとコバノガマズミの違いは葉柄の長さで分かる。ガマズミの葉柄は1cm以上ある。この写真でお分かりだろうか。
ツバキの仲間もまだ咲いていた。北陸ではユキツバキも観られるが、これは鋸歯が鈍く細かいのでヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属の常緑高木)のように思えた。
蘂がきれいなこの花はウワミズザクラ(バラ科サクラ属の落葉高木)だと思う。この花を観ながら1回目の休憩を取った。
ここから再び急登となる。足元にカンアオイの仲間を見つけた。花は観られなかった。
薄紫色のスミレはオオタチツボスミレ(スミレ科スミレ属の多年草)のようだった。荒島岳で観たようなスミレ類の大きな群落は観なかった。
ここで再びユキザサの群落を観た。
(左)この特徴のある樹皮はナツツバキ(ツバキ科ナツツバキ属の落葉小高木)のように見えた。(右)ナツツバキの3本の幹の間からヤマモミジ(カエデ科カエデ属の落葉高木)の葉が広がっていた。
チゴユリ(イヌサフラン科チゴユリ属の多年草)を見つけた。
ようやく中間地点に到着。ずいぶん時間がかかってしまった。
ミツバツツジの仲間が現れた。北陸で観られるミツバツツジの仲間はユキグニミツバツツジ(ツツジ科ツツジ属の落葉低木)で、雄しべは10個ある。
ユキグニミツバツツジはさらに標高が高いところでも観られた。
さらに進むとお待ちかねのシャクナゲが現れた。この山で観られるのはホンシャクナゲだ。本州の新潟県西部以西と四国山地に分布する。
花がきれいなものを選んで写真を撮った。
今年はシャクナゲが裏年に当たるらしい。それでもたくさん咲いていた。表年にはさらに花数が多いようなので、また行ってみたいと思う。
ホンシャクナゲは枝先にまとまって花をつける。このつぼみでは花数は8つあった。
シャクナゲの群落に見惚れていたが、足元にきれいなスミレの仲間が咲いていた。タチツボスミレの仲間のように思うがよく分からない。
こちらはさらに登ったところで観たスミレの仲間。
トクワカソウ(イワウメ科イワウチワ属の多年草)がまだ咲いていた。
ブナの森を歩いて行く。早春の積雪期にはどこでも歩ける場所だ。山頂まではもうすぐだ。
(左)タムシバ(モクレン科モクレンの落葉高木または低木)。(右)ムシカリ(ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または小高木)。
11時10分に山頂に到着した。コースタイムが2時間20分のところを2時間48分もかかってしまった。
山頂からかろうじて白山を眺めることができた。
山頂から少し南へ下った所に日陰を見つけ休憩した。
下りも同じ我谷コースを歩いて13時17分に下山した。下山中にも写真を撮ったので、幾枚かをご覧いただきたい。
クイズではないが、植物の名前を写真の後に書いたので、お楽しみいただければと思う。
ムシカリ、別名オオカメノキ。
ツルシキミ、別名ツルミヤマシキミの果実。
ツルシキミ。幹の基部が地上を這うのが特徴で、葉や花、果実などはミヤマシキミとほぼ同じ。
スミレの仲間。
タムシバ。
ホンシャクナゲ。
ユキグニミツバツツジ。
ユキザサ。
ガマズミ。
ヤマツツジ。
ヘビイチゴ(バラ科キジムシロ属の多年草)。
シャクナゲ満開の富士写ヶ岳ハイキング(完)
シャクナゲは山に入ると、この時期、見られますね。
私は去年のゴールデンウィークに、滋賀県の釈迦岳に登ったら、シャクナゲが見ごろでした。
ヤマツツジの赤も目立ちますね。
さすが、深田久弥氏が登山好きとなるきっかけの山ですね!!
ホクリクネコノメ、サワハコベ
北陸の名前や、沢、渓流が近いのを感じ、
登山を楽しませてくれますね
ユキザサ、
こちらも雪が付き、雪国を感じます。
ただ、雪のように白いってこともあるんですよね
ユキヤナギもそうですよね^^;
満開のシャクナゲ、
今年、私の感覚ですが、ツツジが例年より
綺麗に咲いているのを感じています。
当てにならない私の感覚ですが^^;
富士写ヶ岳ハイキング、
楽しませていただきました。ありがとうございます^^
ラストのウマノアシガタですが、これはキンポウゲ科ではありません。
花弁の凹みや葉の形、葉脈から見て、バラ科のキジムシロ属のいずれか、
ヘビイチゴかミツバチツグリあたりではないかと思いました。
あと中ほどの可愛いスミレですが、私はスミレは暗いのでさっぱりわかりませんが、
オオタチツボスミレでないことだけは確かだと思いました。
正確な名前はスミレに詳しい方に委ねたいと思います。
⇒ ミツバツチグリでした。訂正いたします。
富士写ヶ岳は、地元ではシャクナゲの山として知られています。
私はこれまで積雪期に2回と、秋に1回登ったことがありましたが、シャクナゲの時期は初めてでした。
今回は我谷コースでしたが、火燈山への周回コースではもっと数が多いそうです。
いずれ歩いてみたいと思います。
深田久弥さんは11歳の時に初めての登山でこの山に登り、健脚を褒められたのがきっかけで登山が好きになったとのことです。
その時は大聖寺から歩いたそうですから、すごい健脚です。
花の名前をいくつか間違えていました。
本文を訂正しています。
最後の花は別の写真を拡大してみたところ、茎に生えている毛が短いことと、葉の形からヘビイチゴのように思いました。
それにより、本文をヘビイチゴに訂正いたしました。
きれいなスミレの仲間については未だ名前が分かりません。
「富士写ヶ岳 スミレ」で検索して出てきたスミレの仲間には、オオタチツボスミレ、ニョイスミレ、ナガハシスミレ、タチツボスミレ、スミレサイシンがありました。
取り急ぎ本文はスミレの仲間としてあります。
お礼のご返事が遅くなり、申し訳ありませんでした。
さすがゼロ番目の百名山だけあって、途中で花が色々見られていいですね!
種類では全然少ない感じには見えませんでした。
春のブナ林もいい感じです。
スミレの仲間は名前が難しいですね。
野生の花を見つけると嬉しいですが、植物園と違って名前が分からないことが多いです。
今はGLの精度が良くなったので、少しはマシですが・・
ホンシャクナゲやムシカリ、ガマズミにタムシバなど、春の木々の花が綺麗ですね。
わたしだったら、コースタイムが倍かかりそうです・・・
深田久弥さんは植物にはあまり関心がなかったようです。
日本百名山を選ぶ基準として、山の品格、山の歴史、山の個性を挙げています。
一方、田中澄江さんは『花の百名山』『新 花の百名山』を選びました。
その基準は、彼女自身が書いている「花こそいのち」です。
スミレの仲間は私にはまだ難しいです。
GLは素晴しいですが、スミレの同定には不十分です。
実際、今回分からなかったスミレの名前は、GLによると「スミレ」「ナガハシスミレ」と出てきました。
いずれも違うと思います。
スミレの同定が難しい理由の一つに、一つの山に咲いているスミレの種類が多いことがあります。
スミレは好きな花ですので、もっと勉強したいと思います。
ゼロ番目の百名山とは言い得て妙ですね。残念ながら選から漏れた、入れれば良かったと思った山がいくつかあり、その一つが秋田駒ケ岳だったとか。
沢山のお花の写真に圧倒されました。私などは見逃すような花も丁寧に撮影され、流石は花日記と思いました。
その中でシャクナゲの次の、白と青紫のツートンカラーに見えるスミレ、目立ちますね。私は見たことがありません。
シャクナゲがもう咲きましたか。西なんですね。濃淡さまざま豪華に咲くシャクナゲは好きな花の一つです。