shuの花日記

山や近所で見かけたお花をエピソードを添えて掲載しています。お花の説明は主にウィキペディア、花図鑑を参考にしています。

秋の薬師岳ハイキング(後編)

2024-10-13 05:30:00 | 山行・旅行
この記事は秋の薬師岳ハイキング(前編)からの続きです。

(薬師岳山頂から見た北薬師岳と手前の金作谷カール。遠くに立山、剱岳、後立山連峰)


山行初日の夜は19時半に就寝した。宵の時間にいっとき雨が降りテントが濡れたが、夜半に小用に出たときには、空に満天の星が輝いていて、天の川もくっきり観えた。冬の星座のオリオン座が東の空に顔を出していた。小用から帰るときテン場を横切るベージュ色をした小動物を観た。ネコほどの大きさで、ネコより太めの長い尻尾があった。テンだと思った。小動物はテントを避けるようにして、ぴょこぴょこと跳ねるように去って行った。

翌朝は1時半に目覚めた。空に星はなかった。
薬師岳の山頂に向けて出発したのが2時ちょうどだった。しかし忘れ物に気づき戻ったので、2度目の出発が2時8分となった。
寒くなかったがレインウエアの上下を着用し、手袋もはめて歩いた。

(地図はクリックすると大きくなります)


S氏が先に歩いてその後を筆者が続いた。薬師峠から薬師平までは沢登りで、沢を詰めると岩が重なる急登となった。15分ほど歩いたところで暑くなり、レインウエアの上を脱いだ。テン場から40分余り歩いて薬師平に着いた。途中から筆者が先に歩いた。道は緩やかな登りが続き、周囲にハイマツの葉先が白く光って見えていた。
 

3時37分に薬師岳山荘に到着した。山荘の軒下でしばらく休ませてもらった。寒暖計が7℃を示していた。風も出てきていたのでフリースを中に着て、さらにレインウエアを着た。ここから山頂までのコースタイムが50分だ。出るには早すぎるので、4時20分まで行動食を食べながら待つことにした。
ガスがかかっていたが、時折晴れ間から富山市の街明かりが見えていた。


4時20分に薬師岳山荘を出て山頂に向かった。風が強くなってきていた。時折ガスが晴れて星空が見えた。オリオン座が天頂に来ていた。
握りこぶしほどの石で埋まった道をジグザグに登っていった。ヘッドランプの明かりを頼りに踏み跡を忠実に辿った。
4時51分に避難小屋跡(石室)があるピーク(標高2895m)に着いた。西からの強い風を避けるため、5時ちょうどまで石室の東側の壁にもたれて休んだ。

5時14分に薬師岳の山頂に到着した。この日の一番乗りだった。
お社に参拝し、強い風を避けるためお社の東側に回ると、ちょうど良い岩があり腰掛けて日の出を待った。秒速10メートルほどの風が吹いていた。
 

10月6日の富山市の日の出時刻は5時50分で、それまでに30分余りあった。ガスが強い風で流されて、時折晴れて北薬師岳や立山連峰、後立山連峰の山々が見えていた。
(S氏撮影)


5時47分に東の空が明るく輝いたが、すぐに雲に隠された。


その後数分して雲の上から陽が昇った。
(S氏撮影)


その後太陽は雲に隠れ、周辺もガスに包まれてしまった。何人かがそれを見て下山していった。私たちはガスが晴れると信じて待った。20分ほどしてガスが晴れた。
山頂にいた20人ほどの登山者の中から、「来た~!」と声が上がった。冒頭の写真はその時に撮ったものだ。
(S氏撮影)


左の山が剱岳(標高2999m)、右の高い山が立山(同3015m)のようだ。右奥に見えているのは後立山連峰の山々のようだった。




結局、山頂に1時間7分滞在して、6時21分に来た道を戻った。


下山途中に、雲の隙間から槍ヶ岳が見え隠れしていた。


6時51分に薬師岳山荘に到着し、そこでレインウエアを脱いだ。
薬師岳山荘から薬師平まではS氏と離れて、筆者が写真を撮りながら先に歩いた。紅葉したクロマメノキやチングルマがきれいだった。






7時26分に薬師平に着き、ザックを下ろして10分余り休んだ。薬師平からは逆にS氏に先に行ってもらった。


(すれ違いのハイカーと槍ヶ岳)


(イワイチョウ)
 

7時29分にテン場に戻るとS氏がテントの撤収をほぼ終えていたので、筆者は水汲みと朝食の支度をした。
9時2分までテン場で休憩し、その後太郎山(標高2373m)へ向かった。太郎山からは薬師岳だけでなく、水晶岳や三俣蓮華岳などの山々が見渡せた。




太郎山から太郎平に下り、その後数カ所で休憩を取りながら、2人がそれぞれ自分のペースで下山した。最後は一緒になって12時40分に折立登山口に着いた。
下山後クルマで立山インターに向かう途中、立山吉峰温泉で汗を流した。高速道路に乗ったときには、北アルプスの山々は皆雲に隠れてしまっていた。短い晴天であった。

S氏とともに、楽しく歩けたことに感謝したい。

(ミヤマキンポウゲの残花)


(有峰湖に向かって下りていく)


(ゴゼンタチバナ)


(ツタウルシ)


(ブナの大木)


最後までご覧いただき、ありがとうございました。
秋の薬師岳ハイキング(完)

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12 コメント

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おはようございます^^ (attsu1)
2024-10-13 06:46:22
一枚目を見て、雲を見下ろす景色、
先日、「荒谷山の雲海」をニュースで見ました。
雲を見下ろす景色、高山なのを感じます。

寒暖計が7(@_@)
やは山は、すっかり秋、寒かったのでは?
それでも、もう少ししたら、雪が降るんでしょうから、
今が1番良い時期なんでしょうね

薬師岳の山頂に到着した。この日の一番乗り
1番乗りなんて、頂上とともに、何か嬉しく感じそうですね^^

帰り道の紅葉したクロマメノキやチングルマ、
これはまた綺麗、登山したからへのお土産のようです。

遠方に見える剣岳、立山etc、
素敵な景色をたくさん見せていただき、
ありがとうございます^^
返信する
Unknown (山歩き)
2024-10-13 08:38:37
絶景を観るためとはいえ深夜の出発とは驚きました。ヘッドランプで足元は見えても、周囲はよく見えないかと思います。
前日にS氏が単独で登頂されたのは、深夜のハイキングに備えた下見だったのでしょうか。
山頂で粘った甲斐がありましたね。装備が不充分であれば寒くて撤退となるところ、ベテラン山男のお二人がそんなへまをする筈ありませんね。

その絶景に、ガスや雲が良いアクセントですね。雲一つ無い青空のもと山肌の隅々まで見えるのも中々ないと思いますが、適度な白が絡む瞬間を切り取るのも難しそうです。

高速道路に乗ったときには、北アルプスの山々は皆雲に隠れてしまっていた。とのこと。視界不良の山頂から下りたら雲が払われることもありますが、その逆で良かったですね。
返信する
attsu1さん こんにちは (shu)
2024-10-13 15:20:28
>attsu1 さんへ
>おはようございます^^... への返信

コメントありがとうございます。
標高が1000m上がると気温は6℃下がるようです。
薬師岳山荘の標高は2700mですから、下界より16℃ほど下がるので、10月の朝の気温が7℃というのは温かい方だったかもしれません。
一方風速1mにつき体感気温は1℃下がるので、山頂はかなり寒く感じました。

仰るようにそろそろ雪が降る頃です。山小屋は10月20日が最終営業日だそうです。
紅葉もそろそろ見納めになります。
よい時期に行けてよかったと思います。
返信する
山歩きさん こんにちは (shu)
2024-10-13 15:29:22
>山歩き さんへ
>絶景を観るためとはいえ深夜の出発とは驚きました。ヘッドランプで足元は見えても、周... への返信

前日にS氏が登ってくれていたので、安心でした。
写真の通り、足元はよく見えますが、周囲はほとんど見えません。
下山時にこんな景色だったのかと驚くところがたくさんありました。

山頂は風が強くて寒かったです。
衣類、食料とも十分持っていましたが、温かい飲み物もあればよかったと思いました。

山の写真には雲があるとよいアクセントになりますね。
冒頭の写真を撮った後、さらにガスが抜けて見通しが良くなりました。しかしガスがかかっていた方が面白いと思い、これを選びました。

山で降られて下りたら晴れるのは、山歩きではよくあることです。今回はその逆でした。
運もあるでしょうが、良い日程を選んで良かったと思いました。
返信する
星空 (takan32)
2024-10-13 20:38:25
shuさんへ、私のブログにいいね!をありがとうございます。
山の上から見る星空は、いつもは見えないような星まで見えて、これぞ、満天の星空になりますね。感動ものですね。流れ星が見えると、さらにいいですね。
返信する
テン場 (なつみかん)
2024-10-13 21:16:33
shuさん、こんばんは~
トップのお写真、このまま山カレンダーの写真に出来そうですね。
本当に素晴らしい景色に息を吞みました。
夜中に出発するなんて、しかも気温が7℃!
その甲斐がありましたね!!
ベテランお二人なのでできることですよね。
満天の星空もさぞ美しかったことでしょう。

ところで、最初テン場が分からなかったのですが、テント場のことなのですね。
そこにテンが出てきて・・というくだりがあったので、混乱してしまいました。
テンの出てくる場所!?(笑)
返信する
takan32さん こんばんは (shu)
2024-10-13 22:56:47
>takan32 さんへ
>星空... への返信

コメントありがとうございます。
空気が澄んできたので、いっそう星がきれいでした。
これで昔のように視力が良ければなおきれいだったことでしょう。
そこだけが残念でした。
返信する
なつみかんさん こんばんは (shu)
2024-10-13 23:03:32
>なつみかん さんへ
>テン場... への返信

コメントありがとうございます。
テン場は山屋の業界用語の一つですね。
植物業界(学会?)に植物用語があるように、山にも山の専門用語があります。
ブログには初めキャンプ場とかテント場と書いていたのですが、皆さまお分かりのようだったのでテン場で通すことにしました。
今回はテン場はテンが出没したので、余計ややこしかったですね。失礼しました。
クマでなくて良かったです。

今週も暖かかったですが、山ではそろそろ雪が降る時期です。
例年だともう初雪が降っているのですが、今年は暖かいですね。
地球温暖化のせいでしょうかね。
返信する
薬師岳 (ran1005)
2024-10-14 12:32:55
北アルプスは中央道から長野や白馬に向かう途中で終始望める連峰ですが、
登山をしないので山脈の名はなかなか覚えられません。
shu様は私が良く見ていた北アルプスの反対側・富山側から登山されたのですネ。
薬師岳は「北アルプスの貴婦人」ですか・・・素敵なのですネ。
薬師岳山頂から見渡す山並みの雄大さは、頂上を極めた人のみが味わえる
達成感と感動ですネ。
山頂の澄んだ空気の中で仰ぎ見られるオリオン座の美しさも想像出来ます。
チングルマの綿毛の様な種と葉の紅葉が一面広がって居たのですネ。
かなり以前ですが、私も中央アルプスのお花畑で一面に紅葉した
チングルマを見た時の感動を思い出してしまいました!
返信する
ran1005さん こんにちは (shu)
2024-10-14 16:01:04
>ran1005 さんへ
>薬師岳... への返信

コメントありがとうございます。
松本からから安曇野を経て大町に向かうと、北アルプスの山々が見えますね。
私の記憶では、常念岳、有明山、大天井岳、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五龍岳、唐松岳、白馬岳などが見えたと思います。
南アルプスの山々が見える、茅野から甲府への道と共に、私にとっても大好きなドライブコースです。

富山県に5年ほど住みました。富山平野からは、立山、剱岳などが見えましたが、薬師岳は一番西側に大きく見えました。
実際に登ってみても大きな山でした。
北アルプスの紅葉というと、涸沢や立山室堂が有名です。薬師岳では紅葉する木々の数がそれほど多くなく、代わって草紅葉がきれいでした。
ranさんが紅葉の時期にお出かけされた中央アルプスは、千畳敷カールだと想像しました。
北アルプスの涸沢と一二を争う、山の紅葉のメッカですね。

今回は天候に恵まれ、穏やかな秋の山行を楽しめました。
来週末は小屋仕舞いです。北アルプスは冬に入っていきます。
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