陶子の心の窓

今日わたしの心の窓は開いていたかな?あなたはいかがでしたか?

極と匠 京のかがやき

2018-11-12 10:58:23 | 日記
京都国立近代美術館名品展、極(きわみ)と匠 今日のかがやき展を見てきました。
書店かどこかで割引券を置いていたので、いただいてきてあったのです。
もう最終日!というタイミングでちょうど時間に余裕があったので、よしっ☆と出かけることにしました。
ちなみに、当初最終日は11月11日(日)でしたが、会期が延長となり、14日(水)までやっています。気になる方はぜひ!

HPなどの前情報もなく出かけましたので、メインは絵画かとおもっていましたが、全くの予想外でした。
もちろん、屏風絵など見事なものがたくさんありましたが、思わず涙ぐんでしまうほどの超絶技巧な作品もありました。
それは牙彫(げちょう)といわれる、主に象牙を使った細工です。鯉の鱗や龍の爪が動く感じは本物のようです。展示物と、その作りをよりわかりやすくクローズアップしたVTRも流れていました。白手袋をはめて龍の細部を見せているところなんて、○○動物園に龍の赤ちゃんが誕生しました~というニュースでも見ているかのようでしたよ。素晴らしい!
動きにリアリティのある作品も良かったですが、石川光明の『蓮根に蛙牙彫置物』という作品が好きでした。蓮根に泥がうっすら着いた感じが妙に琴線に響いたのです。
金工(きんこう)も見どころです。
明治に入り、廃刀令が施行されたことにより、それまで日本刀を手掛けていた職人は廃業に追い込まれました。
でも、これまで培ってきた技術を生活用品の装飾に生かす道を切り開いた人もいるんですね。
香炉、花瓶、名刺入れ…。これらに精巧な細工を施しています。
遠目で見る作品のたたずまい、近寄ってみたときの精巧さ。ため息がでるような芸術品です。

現在も、職業がAI人工知能にとってかわる!と戦々恐々ですが、いつの時代もすたれていく職業はあったのですよね。
その時代ではあたりまえにあった技術。でも時代を経て芸術に昇華することもある。それには技術を語り継ぐものと引き継ぐものの真摯な心意気があったのでしょう。

話は飛びますが、ドラマ『僕らは奇跡でできている』の第1話、2話あたりで、イソップ物語『うさぎとかめ』のお話がでてきます。
「どうして、かめは寝ているうさぎを起こさなかったのか」という問いに、主人公の高橋一生さん演じる相河先生は、かめは地面に近いところで一生懸命前だけを見て進んでいた。うさぎに気が付く余裕もなかった、という答えを出します。
そもそもかめは視線が低くて、寝ているうさぎが視界に入ってこなかったし、うさぎに勝とうとは思っていなかった、ということです。
それに対して、うさぎは勝負に勝って「すごい!」と言われたかったのだ、とバッサリ。

今はSNSも手伝って、みんな、お店でもなんでも「いいね!」を欲しがっています。
だけど、いいね!は後からついてくるものだと思います。
「これだ」と決めたことをわき目もふらず、少しずつ少しずつ積み上げていくことはかめの歩みのごときでしょう。
これだけ情報があふれいている現在において、わき目もふらずに自分の仕事に邁進していくって、それだけで尊敬に値するような。

テレビドラマの一場面が不意に思い出されてリンクしてしまった。
そんな展覧会でした。
Comment    この記事についてブログを書く
« 一日三食の意味 | TOP | 靴箱の冬支度 »
最新の画像もっと見る

post a comment

Recent Entries | 日記