ここしばらく持ち歩いている文庫本。
「犬が星見た ロシア旅行」 著者は武田百合子さん。
ご主人や親しいお友達とロシア旅行した時のことを日記風に記しています。
ツアーなので、そこで知り合った人たちのこと、現地のガイドさんとの会話など、百合子節がおもしろい。
クラ河畔の寺院を見学したときの会話。
・・・・
対岸の丘にも、巨大な女の像が、町を見下ろしている。片手に剣、片手にぶどう酒をもって佇っている。町の守り女神様であるらしい。全身、銀色に塗られて、てろてろと光っている。
私(百合子さん)「イヤらしいねえ。このオサムライもイヤだけど、あの女神様はもっとイヤらしいねえ。長崎の平和祈念像や大船や高崎の観音像みたい」
主人「出来たてというのは、こういうもんさ。古くなってくりゃ、あたりに馴染んでくるのさ」
竹内「どういうところがキライなのかね」
私「簡単なところがキライ。しわしわやひだひだがないからね。もっとくわしくまじめに丁寧にやってもらいたい」
竹内「モダーン彫刻がわからないんだな」
私「そうね。モダーンでなくても、埴輪やこけしもわからない。どこがいいのかわからない」
主人「百合子は犬だよ。どこへ行っても、臆面もなく、ワン、なんていってるんだ。何にもわからんくせにな」
・・・・
この会話の中のご主人の一言がタイトルの犬=自分ってことになったのかもしれません。
それにしても、私も今春鎌倉に行って大船の大仏を見ましたので、百合子さんのおっしゃっていることはよくわかります。
宿泊先の部屋の窓からも見えましたのでね。夜中に目が覚めて、怖いもの見たさでカーテンをそっと開けてのぞいてみたり・・(笑)。
闇の中に白い、巨大な大仏様が、やっぱりいました。
大きさ、をウリにした像は圧倒されこそすれ、正直あまり気持ちいいものではないですね。
ドライブしていて、「何?あれ」と言っているうちに、グワンと目の前に現れる像。たまにあります ^^;
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます