<読書メモ 2011年3月 ④>
カッコ内は、2019年現在の補足コメントです。
『漂民宇三郎』井伏鱒二
「ジョン萬次郎漂流記」を思い出す。
井伏先生は、漂流ものが好きなのか。
(漂流がお好きかどうかはさておき、
『ジョン萬次郎漂流記』で第6回直木賞(1938)受賞後の
第二の漂流モノが『漂民宇三郎』です。
こちらも史実をベースにした小説らしいですが、
主人公の宇三郎は架空の人物のようです。
強風で遭難した富山の商船が米国の捕鯨船に救助され、
ハワイやらロシアやらを経由して日本に帰るまでの物語。
乗組員の中で一人だけ帰国せずにハワイに残った宇三郎の
聞書き、という構成になっています。
ドラマチックなこともミステリアスなことも無いんだけど、
ページをめくる手が止まらないんですよね。
井伏鱒二、良いよね!)