思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『蜜蜂と遠雷』今更だけど読んだ!良かった!!

2021-04-26 17:45:36 | 日記
今更ですが、ようやく読みました。
いや〜、読んで良かった!
さすが恩田陸。
さすが本屋大賞。

芳ヶ江国際ピアノコンクールという架空のコンクールの
予選から本戦までの短い期間を濃密に描いた物語。

個性も生い立ちも異なる4人の主人公を、それぞれ丁寧に描く。
演奏も生活も野生児的な16歳の少年、風間塵。
元天才少女で一度ドロップアウトした20歳、栄伝亜夜。
ハイブリッド混血王子でスター性抜群の19歳、マサル・カルロス。
参加者最年長28歳会社員の再挑戦者、高島明石。

一人ひとりが自分の才能と向き合い、音楽と向き合い、
お互いに影響を受けながら成長していく様が、とてもまっすぐ。
まっすぐで、飾り気なくて、胸に迫る。

とにかく、4人が4人とも大切にしているのは、
自分がどのように成長できるか、何処へ向かうか。

こういう系でよくある「足を引っ張る」「ライバルを陥れる」
という発想は彼らにはない。
わかりやすい悪役がいないストーリーの純粋さが、
逆にヒリヒリするというか、結末まで読み手が油断できないというか。

こういう純度の高いストーリーを、
これだけ人の心を動かす熱量と表現で書き切るっていうのは、
やっぱり凄いことだと思う。
恩田陸は凄いんだなあと、今更ながら思いました。

これにて直木賞(ようやくだ!)。
『チョコレートコスモス』のピアノ版と言っても良い作品かも。
コメント
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