思惟石

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『数学小説 確固たる曖昧さ』 小説ですが数学です

2024-02-06 13:37:44 | 日記
『数学小説 確固たる曖昧さ』
ガウラヴ・スリ
ハートシュ・シン・バル
訳:東江(あがりえ)一紀


なんとなく『フェルマーの最終定理』や『素数の音楽』の
仲間っぽいタイトルですが、こちらは「小説」です。
とはいえ、数学(無限級数がメインかな)の話しも
分かりやすい説明でたっぷり描かれているので
「フェルマー」「素数」が好きな人にはオススメの本。

主人公のラーヴィはインド人。
数学者であるおじいちゃんがいたけれど、
12歳の頃に他界。
おじいちゃんと共に数学への情熱も消えてしまった。
という始まり。

とはいえそこそこ勉強はできるので、
頑張ってアメリカのスタンフォード大学(名門!)に入り、
数学の良き師と仲間に出会い、
進路をゴールドマンサックスか数学者かという
貴族の二択で悩むお話です。

なんだそれ!

と、文句たらたらですが、それはそれとして、
おもしろいのよこれが。

数学の小ネタ(小さくないかもしれない)を丁寧に説明してくれて、
読者にも「数学おもしろ〜」と思わせる絶妙な話し運び。
さらにわかりやすい図解もあります。

特に、無限級数の「発散」と「収束」の証明はとてもキレイ。
「数学すげ〜」ってなります。

スタンフォードの学生の割には数学にたいして純朴すぎでは?
(無理数や虚数を知らんままスタンフォード来たの?的な
場面がぼちぼちかある)とか、
現実的なツッコミを入れたらキリがないけれど、
そんなのどうでも良いんです。
数学っていいな、と思える、いい読み物なのです。

ユークリッドの5つ目の公理に関する
問答もおもしろかった。
そもそも、1〜4も、私にとってはシンプルじゃないんですが…。

ちなみに作中作として数学者の手紙や日誌が書かれていまして。
訳者が日本語の一人称バリエーションチャレンジでも
してたんかな?
(小生、余、我輩、愚生、某(それがし)、僕(やつがれ)、
我、身共、吾人)
ちなみにちなみに訳者は東江(あがりえ)さんと読む。
日が「あがる」方向だから東を「あがり」と読むの、いいよね。
コメント
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