『文学ときどき酒』丸谷才一対談集
1985年初版の丸谷才一対談集。
というわけで、初出は昭和40年〜50年代。
谷崎潤一郎夫人や、里見弴(!)と対談してる〜!!!
教科書に出てくる人やんけ〜!!!
です。
なにはともあれ、丸谷先生はインタビュアーとして
エピソードの引き出し方がうまいし、
相手のコメントを受けての知識の応酬がやばい。
人名やら文学作品やら海外古典やら思想やら、
めっちゃ知識が飛び交うじゃん!
ぜんぜんついて行けないじゃん!!
対談の文字起こし担当者の苦労が偲ばれるぜ!
はい。
以下、メモ。
河盛好蔵(1925−2012)
「小説の中のユーモア」
イギリス文学やシェイクスピアにはユーモアやファニーさがある。
フランス文学にはユーモアはない。あるのはエスプリ。
なるほど。
井伏鱒二はゆったりした文体、ユーモアのある文章。
太宰治はエスプリ。河盛先生曰く「セカセカ、トカトカ」した文体笑
ちなみに、日本でフランス文学が流行ったのは、
訳者がこぞって使っていた岸田國士下訳による『模範仏和大辞典』
(岸田パワーで訳語が豊富)があったから、説。
石川淳(1899−1987)
石川氏の『江戸文学掌気』で丸谷先生は宇和島・山家清兵衛の話を
知ったそうです。
この対談(昭和55年)が『日本の町』に生きている(昭和56年)。
里見弴(1888−1983)
教科書の人!!
対談初出は昭和52年、90歳頃だな。
白樺派でおなじみ、有島武郎・有島生馬の弟。
泉鏡花や正宗白鳥が知人としてサラッと出てくる。
すご〜。
泉鏡花のデビュー作『冠弥左衛門』の原稿料は
お醤油5合瓶1本だそうです。
丸谷先生も「せめて1升」と言う笑
大岡信(1931―2017)
漢詩に出る植物と日本の植物は違うそうです。
「紫陽花」は我々が想像する「アジサイ」ではないとか。
松柏の如し(節操ある人の例え)の「柏」は日本の「カシワ」と違うとか。
和歌の様式美の話しもおもしろかった。
丸谷さんはルールに縛られるの嫌い派ですが、
大岡さんは共通の美意識には一種の教育機能や
感覚を鍛える(もしくは楽しむ)効果があるのでは、という意見。
それ、わかるかも。
「花ならば吉野、紅葉なら龍田」で、
あらし吹く三室の山のもみぢ葉は龍田の川のにしきなりけり(能因法師)
という句がある。
地理的には三室山の紅葉が龍田川に落ちることはありえないけど。
おお、これぞ様式美だ!
あと「松に鶯はとまらない」と藤原為家に叱られた親王の話し、好き。
丸谷さんはインタビュー物は書評に値しないとおっしゃってますが、
個人的には丸谷さんの対話・対談、めちゃ好き。
1985年初版の丸谷才一対談集。
というわけで、初出は昭和40年〜50年代。
谷崎潤一郎夫人や、里見弴(!)と対談してる〜!!!
教科書に出てくる人やんけ〜!!!
です。
なにはともあれ、丸谷先生はインタビュアーとして
エピソードの引き出し方がうまいし、
相手のコメントを受けての知識の応酬がやばい。
人名やら文学作品やら海外古典やら思想やら、
めっちゃ知識が飛び交うじゃん!
ぜんぜんついて行けないじゃん!!
対談の文字起こし担当者の苦労が偲ばれるぜ!
はい。
以下、メモ。
河盛好蔵(1925−2012)
「小説の中のユーモア」
イギリス文学やシェイクスピアにはユーモアやファニーさがある。
フランス文学にはユーモアはない。あるのはエスプリ。
なるほど。
井伏鱒二はゆったりした文体、ユーモアのある文章。
太宰治はエスプリ。河盛先生曰く「セカセカ、トカトカ」した文体笑
ちなみに、日本でフランス文学が流行ったのは、
訳者がこぞって使っていた岸田國士下訳による『模範仏和大辞典』
(岸田パワーで訳語が豊富)があったから、説。
石川淳(1899−1987)
石川氏の『江戸文学掌気』で丸谷先生は宇和島・山家清兵衛の話を
知ったそうです。
この対談(昭和55年)が『日本の町』に生きている(昭和56年)。
里見弴(1888−1983)
教科書の人!!
対談初出は昭和52年、90歳頃だな。
白樺派でおなじみ、有島武郎・有島生馬の弟。
泉鏡花や正宗白鳥が知人としてサラッと出てくる。
すご〜。
泉鏡花のデビュー作『冠弥左衛門』の原稿料は
お醤油5合瓶1本だそうです。
丸谷先生も「せめて1升」と言う笑
大岡信(1931―2017)
漢詩に出る植物と日本の植物は違うそうです。
「紫陽花」は我々が想像する「アジサイ」ではないとか。
松柏の如し(節操ある人の例え)の「柏」は日本の「カシワ」と違うとか。
和歌の様式美の話しもおもしろかった。
丸谷さんはルールに縛られるの嫌い派ですが、
大岡さんは共通の美意識には一種の教育機能や
感覚を鍛える(もしくは楽しむ)効果があるのでは、という意見。
それ、わかるかも。
「花ならば吉野、紅葉なら龍田」で、
あらし吹く三室の山のもみぢ葉は龍田の川のにしきなりけり(能因法師)
という句がある。
地理的には三室山の紅葉が龍田川に落ちることはありえないけど。
おお、これぞ様式美だ!
あと「松に鶯はとまらない」と藤原為家に叱られた親王の話し、好き。
丸谷さんはインタビュー物は書評に値しないとおっしゃってますが、
個人的には丸谷さんの対話・対談、めちゃ好き。