思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2014年1月 ③

2020-10-08 16:06:14 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年1月 ③>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『新選組遺聞』子母澤寛
新選組三部作の二冊目。
素晴らしくおもしろい。
沖田は”青黒くてイカツイ男”と明記されてるのに、
どこから美少年説が混じってきたのか。
司馬遼太郎の『燃えよ剣』な気がするけど。
「余談」という表現をちょこちょこ使ってて、
ここら辺も司馬に影響与えているのかな、とか。

(子母澤寛の新選組三部作は、
 『新選組始末記』『新選組遺聞』『新選組物語』の3作のこと。
 大正12年ごろから取材を始めたため、
 新選組の生き残りの隊士や、屯所として使われた八木家の嫡男などは
 直接取材ができています。
 新選組の歴史的資料として高く評価されている3冊。
 とはいえ、生き残りの関係者もだいぶ高齢だったため
 子母澤寛自身は学術性よりも、聞き取った「話そのもののおもしろさ」を
 重視していたとか。
 司馬遼太郎が若い頃に読んでめちゃくちゃ影響を受けたという
 エピソードでも、結構有名。
 司馬遼太郎『新選組血風録』では「子母澤寛氏が取材され」的な
 前置きを入れつつ、新選組三部作からの引用がちょいちょい出てます)


『鎌倉河岸捕物控 道場破り』佐伯泰英
途中で投げ出していたのを読了。
自宅安静でやることない時に読む分にはいい具合のエンタメ。


『まんまこと』畠山恵
しゃばけじゃない江戸シリーズもの。
主人公の転機となった失恋がびみょーな気が。
それと、語られているほどお気楽な性格に見えない。

(<まんまこと>シリーズと呼ばれているものの一作目。
 それはさておき、私、
 『まんまこと』は2009年にも一度読んでいるのですが…。
 まったくもって記憶に残って無いのか、初読のような感想メモですね。
 自分の記憶力が怖い…!!)
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伊坂幸太郎『マリアビートル』

2020-10-07 11:37:17 | 日記
すごい久しぶりに伊坂幸太郎作品読みました。
(読書メモを見返したら5年ぶりだった)

すごい疾走感!
楽しくて、一気に読んでしまったもったいない!!

細かい伏線ですよ〜って感じの会話もたくさんあったので、
お酒も控えめにして読みました。
すごいな伊坂幸太郎!
『マリアビートル』が全8巻とかだったら、
減酒できてちょっとダイエットにもなったかも!
(そしたら面白さは半減するか…)

デビュー作『オーデュボンの祈り』からお約束設定のキャラ
下劣人間(クソガキ)が今回も出ていまして、
そこらへんのエピソードは本当にムカムカするんですが。
この悪魔的少年が「なんで人を殺しちゃいけないの」と
偉そうに質問を繰り返すあたりで、
14歳悪童の卑小さというか限界みたいな感じを描いていて
(そんな単純な論でぶった斬らないところも伊坂節で素晴らしいのですが)
なるほどなるほどという感想です。
まあ、「クソガキ…っ!!!」って思ってムカムカしてたけど。

伊坂作品でおなじみ設定の、エキセントリック超人と、
凡庸ぶってる超人、今回もいい感じです。
そんな簡単に死なせないで!

木村のおじさんは良い人ではあるけど、
同じくらいダメな大人でもあるので、
渉くんは祖父母かお母さんに育ててもらった方が
いいんじゃないのか。
余計なお世話ですけどね。

果物コンビ、とても良かった。
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【読書メモ】2014年1月 ②

2020-10-06 09:11:39 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年1月 ②>


『顔 face』横山秀夫
主人公のヒロインが、オジサンが描く昭和の女性っぽくて、
どうかと思ってしまった…。
理想の女性像書きたいなら、もっと突き詰めた方がいいし、
23歳のそこそこマジメで気の強い女性を書きたいなら、
それは不可能だ。
大人しくオジサンを主人公にすべきだったと思う。
映像化向きの作家だと思うし、ドラマ化前提で読めば
(仲間由紀恵で映像化したらしい)入りやすいのかもしれないけど、
組織に対してこんな幼稚な考え方しかできない23歳女子に
事件は解決できないと思う。


『ルパンの消息』横山秀夫
作家デビューのきっかけとなった処女作の改訂版。
すごく面白かった!一気に読めた。
やはりこの人はオジサン達を主人公に描けばいい。
前半、喜多の変貌が腑に落ちなかったが、
嫁の存在でスッと収まった。
そこらへん、やっぱ上手い人なんだな!!


『あやし うらめし あなかなし』浅田次郎
怪談短編集。
浅田次郎は怪談と相性良くない気がする。
「紅い絆」と「虫篝(むしかがり)」は良かったが、他はイマイチ。
人情の奥底にある怖さみたいなのを扱う怪談は、
やはり宮部みゆきの独壇場では。
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森下典子『日日是好日』 日々の胃腸薬に良いね!

2020-10-02 11:06:47 | 日記
お茶を習った20数年で得た学びを、
20代の若かりし頃から40代になった現代に向かって
時系列でエッセイ風に振り返る内容。

季節の表現や、ちょっとした日常の気持ちの表現が
とてもうまいと思います。
読んでいると、自分も窓の外を眺めて、
一息つきたくなるような文章です。

掛け軸や茶器の銘などの洒落たうんちくも楽しい。
「不苦者有知」が「苦と思わざる者は、知有り」
または「フクワウチ」とか、知らなかった!&おもしろい!

「まんさく」の花が、一年の最初に「まず咲く」からというのも良い。
こういう季節の植物に詳しい大人になりたいものです。
と思って、早10数年、
季節感ゼロのガジュマルを枯らさず育てるだけでもギリギリです笑

和菓子の気が利いたネーミングや工夫も楽しい。
「福和内(ふくわうち)」「味噌松風」「越乃雪」。
「松風」は『まるまるの毬』でも出ましたが、
表面の焼き色や芥子の実の飾りに対して
裏側に模様が無い様が「うら寂しい」にかかっているとか。
「うらが無い」=「隠し事がない正直な様子」で
ポジティブに捉える考え方もあるようです。

銀座の空也(くうや)も出てきて、
私も予約必須のモナカをゲットするために
仕事を抜けて買いに行ったのを思い出しました。
ご進物用だったんですが、ちゃっかり自分用も買いましたもちろん。
会社のデスクで情緒ゼロでいただきましたが、おいしかった笑

日々と地続きだけど、普段は気に留めない諸々のこと、
改めて文字で読んで意識させてもらえるのは気持ちいいもんです。
ちょっと疲れたなあ、ちょっとネガティブになってるなあ、
というときに拾い読みすると、
すこし考え方を調整できる本だと思います。
日常生活を整える胃腸薬本。意外と大事だよなあ。
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【読書メモ】2014年1月 ①

2020-10-01 10:49:31 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年1月 ①>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『探偵、暁に走る』東直己
「猫」より面白かった。ハードボイルドの王道っぽくて。
しかし、ヤクザ業界の事情とかそんなに語られても…という感じもする。
こういう話が好きな人は多いのかもしれないけど。
そして「俺」は今回も大して推理も解決もしていない。
お酒の飲み方は「猫」より良かった。

(<ススキノ探偵>シリーズの9作目。
 最初に読んだ『猫は忘れない』同様、「俺」が50代です。
 私はこの段階で、50代の「俺」しか読んでなかったんですが、
 腕っ節が強いわけじゃないのに軽口ばっか叩いて
 厄介ごとのある方にばかり突き進んでいって、
 トンガリすぎなオッサンだな!!早死にするぞ!!!という印象。
 シリーズ開始時は28歳だったようなのですが、
 あなた今よりもトンガってたの?大丈夫?と不安になる)


『インシテミル』米澤穂信
クローズドサークルもののミステリ。
おもしろかったー。
軽い感じの心理描写がうまくて、他の作品も読みたくなった。
真犯人?が殺人に至った動機が気になるが、
まあ、敢えて書かないのが気が利いてるのかな。


『僧正殺人事件』ヴァン・ダイン
本格古典。
ファイロ・ヴァンスへの共感できなさにびっくりしたが、
そういう狙いのキャラクタらしい。
ウンチクや衒学的な長広舌の元祖っぽい。
これを突き詰めると京極みたいに無駄に(?)分厚い本が
できるのかな。
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