思惟石

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『乙女の密告』 いけず京乙女の乙女物語

2024-12-24 13:05:47 | 日記
『乙女の密告』赤染晶子

私は常々思っていたのです。
森見登美彦が好きだけれど、
くされ京大生の四畳半も臭そうな青春も良いのだけれど、
乙女の物語はないのか。
まあ、ないよな。

と思ったらこんなところにあったよ。
乙女のための乙女たちの物語が!
高尚な文章でどうかしてる乙女の生態を描く、
いけずな乙女物語が!

というわけで『乙女の密告』ですよ。
京都の外国語大学に通う乙女たちの物語です。
麗子様や百合子様が高嶺の花っぽく登場しますが、
実態は「留年組」である。
お姉様たちをよびすてにはできないよね。

ゼミの乙女たちは黒ゆり組とすみれ組に別れている。
宝塚っぽいが、分け方は変人バッハマン教授による
「いちご大福とウィスキーどちらが好きですか」
への回答次第で適当に、である。
なんじゃそりゃ。

そんな変人バッハマン教授はアンゲリカ人形を
常に抱いている。話しかけている。
変人だ!

そして乙女たちはアンネ・フランクの「アンネの日記」を
ドイツ語で読むスピーチコンテストに向けて
血を吐いている(がんばっている)。

いいね!
乙女だね!

いやもう最高。
すごく好き。

赤染晶子さんは『じゃむパンの日』も最高に良いのですが、
若くして鬼籍に入られたそうです。
もっと他の作品も読みたかった作家さんだけに、
残念。
『乙女の密告』は2010年芥川賞受賞作。

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