思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

『味でさぐる世界の文化 ヨーロッパ・中近東』 健啖先生の地政学的な食エッセイ

2024-12-23 10:28:26 | 日記
『味でさぐる世界の文化 ヨーロッパ・中近東』
西岡秀雄

著者は人文地理学の先生。
慶應の名誉教授も務めた人ですが、
日本トイレ協会名誉会長でもある。
肩書きの幅広さよ。

人文地理の先生が世界各国を回った際に感じた
ご当地食文化を綴った一冊。
なので、歴史や地理を踏まえてレポートされている感じ。
楽しい。

ちなみに初版は1990年である。
ロシアはソ連で、ドイツは東西に分裂しています。
時代…。

先生の滞在頻度によって情報量も変わるようですが、
特にフランスが厚いですね。
フランスは緯度が高い割に、偏西風のおかげで温暖。
(勉強になるなあ)
おとなりのドイツ(黒パン、ビール)に比べても
自然の恩恵に恵まれている(白パン、葡萄酒)土地柄。
ただし水は悪いので、食事のお供はワイン。
コニャック地方は地質が悪くて上等なブドウがつくれないので、
下級ブドウ酒を蒸留してブランデーにしたのが
高級ブランデー・ヘネシーの始まり。

18世紀は数十年おきに猛烈な寒波に襲われて飢饉に。
1789年はパリが零下31.8度を記録し、セーヌ川が凍結。
寒すぎ!
そりゃフランス革命も起きるよな、と思ってしまう。
そんな飢饉であっても美味しい料理を追求するから
ザリガニやエスカルゴの料理があるのでは、と。
まあ、一理ある気はしますが、どうでしょう笑

って感じで各国の食文化が先生のエッセイ風に紹介されます。
小ネタも多い。

イギリス人は保守的でしきたりを守りたがる。
朝食はベーコンと卵と決めたら、親子3代ずっとそれを守る、とか。
優秀な種牛は輸出して、自国民は安い牛肉を食べるとか。
イギリスのことあまりお好きじゃないのかな笑

ポルトガルにはタラの料理法が365種類あるらしい、とか。
毎日タラ食ってるってことかな。

デンマークビールの始まりは、
コペンハーゲンの酒屋がドイツ・ミュンヘンの醸造工場から
盗み出した一握りの酵母から、とか。
絹を盗んだ坊さんエピソードみたいだ。

にしても、先生、いろんな国に行ってらっしゃるなあ。
各国で地元の食文化を取材しているのは偉いなあと思うし、
相当に健啖なんだろうな。
うらやましい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『物語 ヴェトナムの歴史』 ... | トップ | 『乙女の密告』 いけず京乙... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事