「英語で細かいことまではしゃべれないけど、伝えられる範囲で思ったことを伝えるんです。それが彼らの考えている方向性と合致していたりすると、すごく喜んでくれる」
自分は社交的ではないと、ネットワーキングに関しては受け身ですが、気がつくとフェイスブックには1000人近いミュージシャンの友達が……。その8割が外国人の音楽関係者です。
ニューヨークジャズ詣でが始まって17年。この間のニューヨークのジャズシーンは、益子さんの目にはどのように映っているのでしょうか。
「70~80年代にクロスオーバーとかフュージョン(融合)のブームがありましたが、今はもっと広いジャンルの壁が、どんどんなくなってきています。クラシック、現代音楽、民族音楽……。ニューヨークには世界中から人が集まっているから、その人たちの国の要素も音楽に入ってくる」
女性ミュージシャンとアジア系ミュージシャンの台頭が顕著なのも最近の傾向。ただし、日本人はあまりいないそうです。
「高い評価を受ける女性ミュージシャンが増えています。それから、中国、韓国、インド系の人たちも増えているんですが、おもしろいのは、そういう自分のエスニックなルーツを出す人とまったく出さない人がいること。また、30~40歳あたりから自分のルーツを掘り始める、みたいなことも見られますね。それぞれ個人的な理由があるんだと思います。ある程度年齢を重ねて、自分は何なのかと見つめ直すようになるんでしょう」
このような傾向は今後さらに強くなっていくと、益子さんは見ています。一方、アニメが好きで日本のゲーム音楽の影響を受けているミュージシャンも多いそうです。さらに、ジャズとヒップホップの融合も目立ちます。略