1) mRNAワクチン後のアナフィラキシーについて
2) ワクチン接種希望の割合が最も低いのは日本
3) 塩野義のワクチン開発状況
4) 練馬区:250の診療所をワクチンの主要接種場所に指定
5) 死者多数のイギリスで政府批判噴出
6) 暗雲漂うWHO調査チームの武漢視察
7) インドで集団免疫が達成されつつある?
8) ファウチ:米国も「ピークを過ぎた」と
●mRNAワクチン後のアナフィラキシーについて
→12月末のNEJMの総説です。
まだモデルナmRNAワクチンのアナフィラキシー反応の頻度については、まだ分かっていない時期に記載されています。
要点は以下です。
・恐らくはPEGに対するIgE介在性のアナフィラキシー反応。過去の他のワクチン接種等で感作されていた可能性がある。
・一部は脂質あるいはPEG-脂質を介したIgE非介在性のアナフィラクトイド反応を含んでいる可能性があるかもしれない。
・mRNAワクチンでアナフィラキシーを起こした人は、PEGあるいはpolysorbateを含む薬剤を避けるべき。
polysorbateはPEG誘導体であり、交叉反応するようです。
総説内には他のワクチンの情報を含んだ表がありますが、もしもmRNAでアナフィラキシーを起こした場合には、他のワクチンの多くもダメである可能性が高そうです。
感作例にboostした後の再接種になりますので、ワクチンにこれらが含まれていないか注意が必要です。
ワクチンが接種できない場合には、リジェネロンやイーライリリーの抗体製剤による受動予防が、次の選択肢になるのでしょう。
Maintaining Safety with SARS-CoV-2 Vaccines
https://t.co/A3keRIOcf5?amp=1
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・現在(20/12月)まで、SARS-CoV-2の感染予防のためのmRNAワクチン開発は成功を収めている。進行中の第3相試験では重大な懸念事項はまだ発生していない。
発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などの全身症状はワクチン群で多くみられるが、多くは接種後24-48時間以内に発生している。
過敏症反応(Hypersensitivity adverse events)はワクチンとプラセボ群の両者で頻度は同等だった。
・イギリスのMHRAは、ファイザーmRNAワクチンの緊急使用を認可。2020年12月8日、イギリスの医療従事者と高齢者を対象とした予防接種が開始されたあと、食物・薬物アレルギー歴がありエピネフリンを携帯していた40歳と49歳の女性2人に接種後10分以内に発症したアナフィラキシー例が報告された。
・12月11日、米国FDAはファイザーのmRNAワクチンにEUAを発行し、12月14日より医療従事者への投与を開始した。12月15日、32歳のアレルギー歴のない女性が投与後10分以内にアナフィラキシーを起こした。
その後、米国では約200万人の医療従事者にワクチンを接種し、アナフィラキシーが複数報告された。発生率は従来の他のワクチンが100万人に1人であるのに対し、約10万人に1人の10倍の頻度だった。モデルナのmRNAワクチンは12月18日にEUAが発行され、やはりアナフィラキシーの可能性例が報告されている。
・イギリスMHRAは、食品・医薬品にアナフィラキシー歴のある患者をファイザーmRNAワクチンの接種対象から除外することを発表した。
米国CDCは、ファイザーおよびモデルナmRNAワクチン投与に関するアドバイスを発表し、PEGや、polysorbatesなどのPEG誘導体を含むワクチン成分のいずれに即時型アレルギー歴のある人の接種対象からの除外を推奨した。
(*ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、略称 PEG, マクロゴールとも))
・アナフィラキシー反応は急速発症する重篤な多臓器反応であり、窒息、血管虚脱、他の合併症による死亡するリスクがある。
・アナフィラキシー反応の原因は抗原とIgEの結合による肥満細胞の活性化である。患者は過去に抗原曝露歴があり、感作による特異的IgEを有している。
類似した反応は以前はアナフィラクトイド反応として知られていたが、IgEを介さないため現在は非IgE介在性と呼ばれている。両者は症状が類似しており、エピネフリンに対する反応も同等であるが、後者は肥満細胞および好塩基球の直接活性化、他の経路などで発症し、抗原への初回曝露時でも起こりうる。
・イギリスの2例および米国の1例の検討では、アナフィラシー反応ではないかと考えられている。初回投与薬剤へのアナフィラキシー反応は典型的ではないが、過去に接種したワクチンに含まれていた共通成分により感作されたのだろうと説明可能である
・IgEを介したアナフィラキシー反応は歴史的には、卵やゼラチン、ラテックスなどのワクチン製造工程の不活性成分に関連している。
・ファイザーとモデルナのmRNAワクチンは、脂質ベースのナノ粒子を使用している。これによりmRNAが細胞内に入るまで酵素分解から保護している。一部の集団では、ワクチンの脂質あるいはPEG-脂質複合体に関連した非IgE介在性反応をおこしやすい可能性があるかもしれない。
一方でPEG化リポゾーマルドキソルビシンのような製剤は、最大40%で輸液反応(infusion reaction)を起こすが、これは補体活性化で起こると推定されており、薬剤への曝露歴がない患者で起こり、2回目以降の使用で反応が減衰する事が知られている。
・PEGは稀ではあるがIgE介在性の即時型反応、反復性アナフィラキシーを起こしうる隠れた危険性(hidden danger)を持っている。mRNAワクチンは両者ともにPEG2000を含有している事から、アナフィラキシー反応との関連が懸念されている。
感作リスクは分子量が大きいと高くなり、PEG3350やPEG4000を含む腸管前処置薬(bowel preparations)によるアナフィラキシーが報告されている。mRNAワクチン接種後にアナフィラキシー反応を起こした人は、さらなる知見が得られるまで、PEGあるいはpolysorbateを含む他の薬剤を避けるべきである。
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・他のワクチン中のPEGあるいはpolysorbate含有についての表
アストラゼネカ、J&J、Novavaxのワクチンは polysorbate 80を含んでいます。
→この総説の後、モデルナmRNAワクチンではアナフィラキシーはファイザー製の1/4程度である事が判明しています。
アストラゼネカのワクチンでは現時点でアナフィラキシーの報告が出ていません。
実際にはPEGに対するIgE介在性のアナフィラキシーではなく、多くはアナフィラクトイド反応なのか?
PEG誘導体のpolysorbateなら本当は大丈夫なのか?
今後の知見の蓄積を待ちたいです。
●日本の状況
→東京都の推移
東京都 新型コロナ 633人感染確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210131/k10012842041000.html
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都内で新たに633人が新型コロナウイルスに感染していることを確認
都の基準で集計した31日時点の重症の患者は30日より1人減って140人
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本日の全国の感染数・推移
神奈川390人、埼玉243人、大阪214人、千葉212人
福岡127人、愛知121人、兵庫111人、北海道104人
京都76人、茨城63人、群馬61人、沖縄39人
1月31日 新たに確認された感染者数
https://t.co/90gSdETBQF?amp=1
→ワクチン接種希望の割合が最も低いのは日本
主要15か国の調査結果だそうです。
世界でワクチン希望者が増加傾向がある中、これについても日本は出遅れています。
100%安全なワクチンなどありえず、薬である以上一定のリスクがあり、その数値を我々はすでに入手しています。
コロナの感染リスクは流行状況により変動しますが、感染した場合の死亡率、合併症などの数値も我々はある程度の確度で数値を持っています。
ワクチン懐疑論、世界で後退 接種希望急増、日本は停滞 国際調査・新型コロナ
https://t.co/sALTNwULE5?amp=1
→塩野義のワクチン開発状況
ヒトではまだ1/2相試験の段階ですが、もう生産準備を始めていると。
年間1000万人分のワクチンを製造できるようです。
日本製ワクチンの製造工場に潜入 3月末に1000万人分の製造能力を目指す 岐阜
https://t.co/rpGye2XH53?amp=1
・塩野義のワクチンは、細胞培養で作成したspike proteinをアジュバントと共に接種する技術的にはインフルエンザワクチンと同じスプリットワクチンです。
アジュバントはインフルエンザワクチンのAlumではなくAmpligenを使用。
効果については動物実験では確認されています。
https://yakuji.co.jp/entry82719.html
→国内に生産ラインを持つ国産ワクチンは塩野義を含め5種が開発中。
タイプも4種類。
日本も頑張っています。
国産ワクチン 治験入り続く、生産ラインの整備も急ピッチで
https://sankei.com/west/photos/201209/wst2012090022-p1.html
→ワクチン接種も医療従事者の動員が必要
オリンピックを無観客開催するとしても、選手村や会場内の医務室に医療従事者の動員が必要
現在のコロナ流行レベルでは、いずれも医療従事者の派遣は困難となりそうです。
やはりゼロに近い制圧レベルが欲しいところです
練馬区でワクチン接種の具体案が見えてきました。
250の診療所を主な接種場所に指定。
補完実施施設として学校や区の施設にすると。
ワクチン接種 東京 練馬区 250の診療所でかかりつけ医が対応へ
https://t.co/8t6RQCphSy?amp=1
→死者多数のイギリスで政府批判噴出
ジョンソン首相の判断ミスの責任が問われているようです。
正解が分からない状況でも行動を選択しなければなりませんが、最終的には結果で責任を問われるのが政治家なのでしょう。
あれほど潔い謝罪会見を行った後でも、批判追及からは逃れられない。
政治とは厳しい世界だと思います。
一方で、この状況で3000人規模の大規模パーティを開いている民衆がいるのもイギリスです。
政治家の責任を問う前に、国民の自覚はどうなのよ?とは個人的には思います。
これの真逆が日本なのか・・・
危機対応「巨大な過ち」 英、死者増大で政府批判噴出 新型コロナ
https://t.co/pRnOiThzjM?amp=1
→暗雲漂うWHO調査チームの武漢視察
無駄な時間が過ぎ去っています。
本日は武漢の市場を視察したようですが、多くの患者が確認された海鮮市場とは20キロほど離れた別の場所だと。
もはや意味不明です。
我々はとんだ茶番を見せられているのかもしれません。
https://t.co/zjVjXW7dNu?amp=1
→インドで集団免疫が達成されつつある?
私的には今日の仰天ニュースですが、感染者の割合が一定数に達すれば当然達成可能でしょう。
インドの平均年齢は25歳ですから、重症化率が極端に少なかったのだろうと仮定すれば理解可能です。
感染者は1日12,000人ですが、全国718地域のうち146地域で1週間、18地域では2週間新規感染者ゼロと。
ただしブラジルのマナウス市も集団免疫達成と想定された後に、変異株P.1の出現による再流行が起きています。
安心するのはちょっと早いかと。
https://t.co/hjrlC2DM1d?amp=1
・インドの感染者数(上)と死亡者数(下)の推移
確かにピークは9月中旬頃で、その後にどんどん減少しています。
https://arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
→ファウチ:米国も「ピークを過ぎた」と
こちらも確かに数は減っていますが、マスクや水際対策などがようやくまともになりだした結果を見ているだけかもしれません。
ワクチン接種率は全然まだまだですが、ファウチは集団免疫を達成したと考えているのでしょうか?
米専門家トップ「感染拡大のピーク過ぎた」
https://t.co/FdsCyVUN0a?amp=1