1) mRNAワクチンによるアナフィラキシーについての続報
2) mRNAワクチンの死亡減少効果は驚異の99%
3) ワクチン供給体制に暗雲
4) ワクチン先行接種5039例中2例で副作用疑い、うち1例はアナフィラキシー疑
5) イギリスは7月31日までに国内成人全員にワクチン接種する
6) オーストラリアでは明日からワクチン全国接種開始予定
●mRNAワクチンによるアナフィラキシーについての続報
→ファイザーワクチン約1000万回、モデルナワクチン760万回接種後の副作用報告です。
問題のアナフィラキシーの頻度はそれぞれ4.7 vs 2.5/ 100万接種であり、ワクチン開始早期の11.1 vs 2.5に比べファイザーワクチンの頻度が減少しています。
ファイザーワクチンによる発生率の低下が、アレルギーの既往のある患者の接種を控えるようになった事が関連している可能性はあるでしょう。
もうそうであれば、ファイザーワクチンによるアナフィラキシーが既知となった時点から遅れて接種が開始されたモデルナワクチンの初期データはそれを考慮する必要があります。
アナフィラキシーの発生頻度は、両者には実際にはほとんど差がない可能性がありそうです。
現時点でアナフィラキシーによる死亡者はなし。
女性の発症頻度が高いのは確実だと思います。これは免疫学的に説明可能なのか??
Reports of Anaphylaxis After Receipt of mRNA COVID-19 Vaccines in the US—December 14, 2020-January 18, 2021
https://t.co/2m3YxxGOxU?amp=1
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・2020年12月、FDAはCOVID-19予防の2つのmRNAワクチンの緊急使用許可(EUA)を出した(ファイザー12/11、モデルナ12/18)。
・ワクチン接種が開始されると、これら2種のワクチン接種後のアナフィラキシー症例が報告され始めた。
・米国における初期のアナフィラキシー推定発生率は、ファイザーのワクチンが100万投与あたり11.1件(2020年12月14-23日)、モデルナのワクチンが100万投与あたり2.5件(2020年12月21日- 2021年1月10日)であった。本解析はその後の投与データに基づいたアナフィラキシー発生率に関する更新データである。
・ワクチン接種後の有害事象に関する自発的報告システム(VAERS)に、ワクチン接種後のアナフィラキシー疑い例が届け出られている。CDCの医師がこれらの報告を評価し、Brighton Collaborationのアナフィラキシー症例定義に基づいて症例を分類した。
・2020年12月14日から2021年1月18日までにファイザーワクチン9,943,247回、モデルナワクチン7,581,429回の接種が行われた。
・VAERSに報告されたアナフィラキシー(レベル1-3)から、CDCによりBrighton Collaborationの症例定義を満たす66件が同定された。
ファイザーワクチンによる47件(4.7件/100万回)とモデルナワクチンによる19件(2.5件/100万回)であった。アナフィラキシー症例は複数のワクチンロットにまたがっていた。
・CDCのレビューによると、両ワクチンによるアナフィラキシー症例の特徴は類似していると結論づけている。接種後30分以内に発症した症例と30分以降の発症例の間でも、明らかな臨床的相違は見られなかった。全身の蕁麻疹、びまん性の発赤、血管浮腫、喘息様症状、吐き気が頻度の高い症状であった。
・66例のうち21例(32%)は、他のワクチンや造影剤、何らかの点滴、抗菌薬、ラテックスなどによる過去のアナフィラキシー歴を持っていた。
・アナフィラキシー例の61例(92%)は、緊急治療としてエピネフリンが投与されていた。全例が医療機関による治療を受けた。34人(52%)が救急外来で治療を受け、32例(48%)が入院した。18例はICU管理となり、7例は挿管された)。
・挿管された7例は症状発現までの中央値は6分(1分以内- 45分)であり、1人を除いた全例が11分以内に発症した。7人がエピネフリン、6人がステロイド、5人が抗ヒスタミン薬が投与された。顔面、下、喉頭の血管浮腫が4人にみられた。入院期間は1-3日だった。
・追跡情報が得られた61人(92%)については全員がすでに退院したか、VAERS報告時点ですでに回復していた。アナフィラキシーによる死亡例は報告されていない。
・COVID-19による死亡率を考慮すると、ワクチンの利点はアナフィラキシーのリスクをはるかに上回っている。アナフィラキシーは急性発症で致死的となりうるため、すべての症例でただちにエピネフリンを投与する必要がある。
ワクチン投与を行うすべての施設は、アナフィラキシーに対応するための必要物資と、訓練された医療従事者を配置すべきである。
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・2つのワクチンによるアナフィラキシー症例のまとめ
頻度はファイザーが多めですがモデルナの2倍程度(4.7件 vs 2.5件/100万回)で、当初の推定発症率での4倍以上というほどの差はありません。
女性の頻度が圧倒的に多いのに驚きます(それぞれ94%, 100%)。
発症までの中央値は接種後10分で、約9割が30分以内に発症。
→蛇足で、アナフィラキシーのリスクを別の見方で検討してみます。
航空機の事故で死亡する確率は0.0009%だそうです(wikipedia「航空事故」より)。
およそ10万回に1回です。
アメリカ国内線だけに限ると0.000034%(300万回に1回)。
mRNAワクチンでアナフィラキシーを発症する確率は今回の検討では30万回に1回程度。
死亡例は1760万回接種でまだ1件も出ていません。
重篤な有害事象ですが、確率は許容できるレベルで低いといえそうです。
●mRNAワクチンの死亡減少効果は驚異の99%
→イスラエルから貴重なデータがどんどん出てきています。
mRNAワクチンの有効性は明らかで、かつ予想をはるかに超える効果です。
変異等により将来的に感染抑止効果が失われたとしても、最も重要なのは入院、死亡に至る重症化阻止効果です。
これまでのデータを見る限り、ワクチンの有用性はしばらくは問題ない可能性が高いように思います。
2回接種後2週間後からの効果で・・・
・死亡率減少 98.9%
・重症化阻止 99.2%
・入院率減少 98.9%
・感染阻止効果 95.8%
コロナワクチン接種、死亡防ぐ効果99% イスラエル
https://t.co/o8YIWb4Xwk?amp=1
●日本の状況
→東京都の推移
東京都 新型コロナ 新たに272人感染
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210221/k10012879041000.html
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都内で新たに272人が新型コロナウイルスに感染
都の基準で集計した21日時点の重症の患者は、20日と同じ82人
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本日の全国の感染数・推移
千葉163人、神奈川100人
埼玉84人、北海道63人、大阪60人、茨城46人、愛知32人、福岡32人
2月21日 新たに確認された感染者数
https://t.co/90gSdETBQF?amp=1
→ワクチン供給体制に暗雲
やはりというか、mRNAワクチンの国内供給は当面は厳しくなりそうです。
自治体の準備体制以前に、供給が律速段階になってワクチン接種プログラムは遅れるのでしょう。
多分大丈夫と考えるのは相当な楽天家だと思っています。
報告されているワクチンの有効性を見る限り、欧州含めた世界は全国民のワクチン接種完了による早期のコロナからの脱出を目指すでしょう。
当然それぞれが自国民優先となるはずです。
日本は祈りながらmRNAワクチンの供給を待つのか、それとも国内製造可能なアストラゼネカのワクチン接種に踏み切るか?
今後その決断も必要になるかもしれません。
ワクチン「4月までは非常に供給量が限られてくる」河野大臣
https://t.co/KBjhxsdDIs?amp=1
→国内で2例目の有害事象
それぞれ、蕁麻疹と寒気を訴えたようです。
記事によるとアナフィラキシー疑いは蕁麻疹の1例のみ。
現時点で5039例の接種終了。
新型コロナ ワクチン先行接種の2人に副反応の疑い
https://t.co/kPvmpBqWBM?amp=1
→イギリスは7月31日までに国内成人全員にワクチン接種を行うと。
全人口6700万人のうち、すでに1700万人が少なくとも1回のワクチン接種終了。
最優先グループに2月15日までに1回接種するという公約は果たしたと。
素晴らしい成果だと思います。
https://t.co/cWpOE4fCt9?amp=1
→オーストラリアでは明日からワクチン全国接種開始予定
20日に国内の各州都で反ワクチン抗議運動が行われたと。
とは言え、世論調査ではワクチンを10月までに接種したいと回答したのが71%。
有効性、安全性データの積み上げにより、いずれワクチン接種への方向性はゆるぎないものになるのでしょう。
コロナウイルス・ワクチン全国接種を前に反対デモ
https://t.co/dKvEYRdXtF?amp=1