1) 無症候感染は感染者の3分の1から4分の3近くまで存在する可能性
2) ワクチンを組み合わせて接種した場合の効果を検証する予定
3) 中国製ワクチンは新たな変異を誘発する恐れがある?
4) 緊急事態宣言後に首都圏の飲食店の来店数は7割減
5) 各地域約3000人規模の抗体保有率調査結果
6) 感染者が自然減のインドでは、デリー州の抗体保有率が56%
7) 米国はワクチン無効の変異株出現に備え、ブースターワクチンの迅速審査を検討中
8) WHO調査団「実験室から流出したことを示す証拠はない」
●無症候感染は感染者の3分の1から4分の3近くまで存在する可能性
→ここまで無症状の感染者が多いと、発熱等による症状でのスクリーニングは施設内アウトブレイク防止の観点からはほぼ無意味という事になります。
現在、介護施設、病院などでのアウトブレイクとその被害の甚大さが問題視されていますが、上記の事実を踏まえた上で対策を考えなければなりません。
職員全員を対象とした頻回のPCR以外には対策はないような気がします。
コストの問題はプール制を導入する事で削減をはかるのかと。
The Proportion of SARS-CoV-2 Infections That Are Asymptomatic A Systematic Review
https://acpjournals.org/doi/10.7326/M20-6976
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・無症候性感染はSARS-CoV-2感染の特筆すべき特徴であるが、その頻度は不明である。
・無症候性感染の割合を調べる目的で、Google News、Google Scholar、medRxiv、PubMedから情報を検索した。観察あるいは記述研究で、SARS-CoV-2のマススクリーニングに関する報告を選択した。
2020年11月17日に報告されたもので、定義された期間内に症状の有無に関わらずPCR検査または抗体検査を行ったものを検討対象とした。
(結果)
・61件の検討が対象となった。43件は感染を判定するために鼻咽頭スワブのPCRを用いていた。18件は現在あるいは過去の感染を調べる目的で抗体検査を実施したものだった。
・縦断的データを有する14件の検討では、陽性と判定されたが検査時に無症状だった4分の3が無症状のままであった。最も質の高いエビデンスは、イギリス(n=365,104)とスペイン(n=61,705)の全国規模のサンプル抽出血清検査であり、感染者の少なくとも3分の1が無症状であることが示唆されていた。
・縦断的に追跡した14検討では、検査時無症状のPCR陽性者のうち中央値72.3%(IQR 56.7-89.7)が無症状のまま経過していた。
追跡期間の中央値は14日(IQR:14.0~15.8)だった。
・抗体検査を使用した調査では、無症状感染者の割合中央値は41.2%(IQR:32.6~48.1)だった。
・現在までに得られているデータからは、SARS-CoV-2感染者の少なくとも3分の1は無症候感染であることが示されている。COVID-19の制圧戦略は、無症状感染者の割合と感染リスクを考慮して、今後変更されるべきであろう(should be altered)。
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・検査時無症状かつPCR陽性で最後まで無症状だった割合
検討によってばらつきが大きいですが、nが最大の米国の検討では68%が無症状のままです。
・抗体検査で陽性であった例で無症状だった割合
ここでもばらつきがありますが、nが大きい検討に注目すると3-4割が無症候感染という結果。
抗体検査は特に軽症例で感染後に自然消失する傾向があるので、実際の頻度が低く見積もられてしまう可能性があると思います。
→PCR陽性感染で最後まで無症状である例のウイルス量の推移について
昨年出されたダイアモンドプリンセス号の報告があります。
船内でPCR陽性だった712人のうち、検査時無症状だったのは410人(58%)。
そのうちの96人の経過観察で11人はその後に発症し、85人(88%)は最後まで無症状。
単純計算するとクルーズ船での感染確定事例のうち、0.58x 0.88= 51%は最後まで無症状だったという事になります。
Natural History of Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection
https://t.co/Dzg9Hsh0ZW?amp=1
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・SARS-CoV-2の無症候性感染の自然経過に関する知見は少ない。
・ダイヤモンドプリンセス号でのアウトブレイクで乗員乗客3711人のうち、712人が感染し、これらのうち410人(58%)が検査時に無症状だった。
・船内検査時に無症状だった感染者96人と、検査陰性の32人がその後に経過観察された。
・無症状感染者96人中11例がその後中央値4日で発症した。
・船内検査陰性の32人のうち8人はその後72時間以内にPCRが陽転化したが、全例無症状のままだった。
・PCRで診断が確定され、感染消失(PCRで2回連続陰性)まで無症状であった90人について解析した。
(結果)
・無症候感染例90例の内訳は乗客58人、乗員32人だった。
平均年齢59.5歳(IQR 36-68, range 9-77)で、高血圧(20%)、糖尿病(9%)など持病を持つ人は24人(27%)だった。
・PCR陽性から、最初のPCRが陰性化するまでの中央値は9日(3-21)であり、8日目、15日目の累積感染消失率はそれぞれ48%, 90%だった。
・年齢が高いほど感染消失までの期間が長かった(36歳と68歳では4.41日の遷延:95%CI 2.28-6.53)。
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・各年代別のRT-PCRによるウイルス量の推移。
70代は他の年齢層に比べて、全経過に渡ってウイルス量が10倍程度(3-5サイクル分)は高そうです。
→無症状患者のウイルス量の動態を調べた報告もすでに出ています。
Ct値から推定されるウイルス量からは、colonizationとは考えられません。
RT-PCRでのウイルス量で見る限り、有症状者よりウイルス量はやや少なく、ウイルス排出期間も短い傾向という結果。
ただし大きなな差があるわけではないと。
著者らは症状の有無に関わらず、隔離対象とすべきと論じています。
・PCR陰性化までKM曲線
有意差はギリギリありませんが(p=0.07)、無症状患者のほうが早く陰転化する傾向はあります。
●ワクチンを組み合わせて接種した場合の効果を検証する予定
→イギリスで800人を対象に行うようです。
ファイザーとアストラゼネカのワクチンを組み合わせ、間隔も変えて投与すると。
異なる種類のワクチンでも2回接種すれば良いとなれば、ワクチン供給事情も変わってくると思われます。
ワクチンの種類は違いますが、結局は宿主免疫をspike proteinで刺激するという点では一緒なので、理論的には初回boostがしっかりなされれば、2回目はどれを使っても効果は同じである可能性はあるかもしれません。
複数ワクチンの効果検証 英で世界初 新型コロナ
https://t.co/TAdaTqQfts?amp=1
●中国製ワクチンは新たな変異を誘発する恐れもあると警告
→フランスのマクロン大統領の発言です。
中和抗体の誘導が不十分な場合、ワクチン接種者への感染成立が起こり得ます。
この場合、免疫学的選択圧からの免疫逃避がおこり、免疫応答をエスケープする変異を誘発するリスクを述べていると思われます。
いずれにしても、情報が不十分なワクチンが世界で使用されるのは確かに危険と言えるかと。
https://t.co/7Ut6DIaZDd?amp=1
→シノファームとシノバックのワクチンはどちらも全粒子不活化ワクチンです。
後者は不活化全粒子にアジュバントとしてAlumを使用したもので、技術的には現行のインフルエンザワクチンと同等です。
シノファームについては私自身は不活化全粒子ワクチンという意外に情報を把握していません。
アジュバントがシノバックと異なる可能性はあるかもしれません。
シノバックについては1/2相試験の結果が出されています。
中和抗体誘導能で見た効果は、やはりこの方法ではかなり弱いです。
高用量投与でも回復期血漿の半分以下という結果でした。
https://t.co/No14hZvAMi?amp=1
●日本の状況
→東京都の推移
東京都 新型コロナ 577人感染確認
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210205/k10012851231000.html
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都内で新たに577人が新型コロナウイルスに感染していることを確認
都の基準で集計した5日時点の重症の患者は、4日より2人増えて117人
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本日の全国の感染数・推移
神奈川288人、埼玉227人、大阪209人、千葉239人、
兵庫96人、北海道93人、福岡91人、愛知86人
茨城56人、群馬43人、沖縄41人、岐阜37人、静岡34人、京都32人
2月5日 新たに確認された感染者数
https://t.co/90gSdETBQF?amp=1
→緊急事態宣言後に首都圏の飲食店の来店数は7割減
1週間毎に区切っても、68.3%→76%→75%減
時間帯別では午後5時から8時までが79.4%減
午後8時から午前0時では93.5%減
緊急事態宣言は予想以上に機能しています。
飲食店を全滅させないよう、支援の在り方が適切か現時点で再検討が必要かと思われます。
首都圏1都3県の飲食店を訪れた客 緊急事態宣言で約7割減
https://t.co/4rKB3qVWVZ?amp=1
→ファイザーのワクチンに続いて、アストラゼネカも厚労省に承認申請
アストラゼネカのワクチンは国内に生産拠点があります。
現在の生産能に関する情報を持ちませんが、ファイザーの供給予定によっては、アストラゼネカのワクチンが先行で投与開始というシナリオは十分にありそうです。
アストラゼネカのワクチンは65歳以上における効果の臨床データがありませんが、Ad26のアデノウイルスベクターワクチンであるJ&Jが高齢者に有効であるというエビデンスがあるので、理論的には有効だと考えて問題ないと個人的には思っています。
https://t.co/6hQd84kw8h?amp=1
→各地域約3000人規模の抗体保有率調査結果
東京0.91%、大阪0.58%、宮城0.14%、愛知0.54%、福岡0.19%と。
抗体保有率、東京0.91% 新型コロナ、前回の9倍―厚労省
https://t.co/WECwNLn3Ae?amp=1
→感染者が自然減のインドでは、デリー州の抗体保有率が56%。
抗体保有率の結果も、インドで集団免疫が達成された事を傍証しています。
問題は抗体価が低下したとき、再感染による感染者の再増加が起こるのか?
変異株が世界の主流になったときも、集団免疫は保持されるのか?
https://t.co/2KCe9fDJap?amp=1
→米国はワクチン無効の変異株出現に備え、ブースターワクチンの迅速審査を検討中
ワクチン承認や緊急使用許可のための臨床試験は義務付けない方針
数週以内に提案をまとめ、一般の意見も公募すると。
コロナ変異株向けブースター、米FDAは審査迅速化目指す=高官
https://t.co/594Wkrw1H9?amp=1
→WHO調査団「実験室から流出したことを示す証拠はない」
「コウモリが生息する洞窟までウイルスを追跡する作業が必要」
どのようにパンデミックにつながったのかについて、「新しい情報を入手している」と。
WHOの中国調査団「新型コロナ起源、コウモリ生息地調べる必要」
https://t.co/aEQDss9k7H?amp=1