緩和ケアチームって言葉を耳にしたことはありますか?
医療者、特に、がん医療・がん看護に熱心に取り組もうとしている医療者には当然のごとく、知れ渡っている言葉ですが、一般の方々には認知度としてはどうでしょう?
緩和ケアチームについて話そうとすると、とても長くなるので、割愛します。
で。
私は、緩和ケアのみならず、ケアを行う時には、コミュニケーションが大切だと思っています。患者-医療者のコミュニケーションだけでなく、医療者-医療者のコミュニケーションもとても大切です。
患者-医療者のコミュニケーションを熟考するのは、必然として、残念ながら、今の医療の世界では、医療者-医療者のコミュニケーションにもたくさんの課題があります。
私の個人的な意見としては、自分の職種である看護師のことを話題にせずにこんなことをいうのは気がひけますが…、医師にはコミュニケーションが苦手な方がたくさんいらっしゃるような気がします。
ある勉強会で聞いた内容…。
実は、主治医というのは、
1)悪気はない。でも、人には聞けない。
患者さんにいいケアを提供したいと思うのはどの医師も同じことなのですが、医師のプライドもあるのでしょう、なかなか「聞いたほうがいいこと」は聞けないようです。
2)上司からはこう教わった気がする。
上司に対する気兼ねがあるのかしら?患者さんのケアに「上司からいわれたから」の判断をもってくると、患者さんの真のニードを見逃してしまうことが多いのでは…。
3)人の患者に口出ししないでほしい。
…と医師は感じているらしいですが、複雑な問題を抱えている患者さんこそ、いろんな専門職が協働して介入すれば、主治医も楽になれるのに…ね。
4)看護師の視線が辛い。
看護師は、患者さんに24時間かかわっている職種で、患者さんに最も近い職種でもありますから、患者さんの辛さを「何とかしたい」という気持ちをもって当然なのですが、医師がリーダーシップを発揮できていないと、医師に不満を持ちやすいのです。
5)「どうしますか、って聞かれても」
以前は、看護師は医師の子分のように捉えられているところがありました。そうではないはずですが、今も、困難な問題に直面すると、看護師は「先生、どうすんのよ!」と主治医を責めてしまうところがあるのかもしれません。どうしますかと聞かれて、困ったなーと感じる医師ならいいのですが、逆切れされると、チームワークは崩れてしまいます。こんなやりとりは、医療に限らず、どの職種でもストレスフルだと思います。
6)患者にそんなこと、いえないよ。
誰しも、患者さんをがっかりさせるようなことはいいたくないものです。しかし、がんは根治できないものが多く、「根治できない」といった内容のことを伝えることは、医療者にとっても辛いことです。だからといって、そこから逃げていると、結局は患者さんに不利益が及びます。この言葉は、医師の本音だといえますが、裏読みすると、「誰か、助けてくれー」というヘルプを求める言葉にも思えてきます。
7)困っていない主治医が一番困る。
これは、本当に困る。
…だそうです。
そして、緩和ケア医というのは、主治医と同じ医師ではありますが、「困ったなー」と思っている医師に対して、協働しようじゃないか!とコミュニケーションをフルに活用することになります。
主治医だって、患者さんを苦しめようと思っているわけじゃない。だから、一歩引いて、提案をしてみる。そして、主治医のそれまでの努力・苦労をほめる。緩和ケア医は、医師同士の潤滑油を担う役割でもあるのかもしれません。
このようなことは、緩和ケアチームに携わる医師にとっては、大切なこととして、どなたにも認識されていることと思います。
でも。
よく考えてみると、緩和ケア医の主治医との協働のためのコミュニケーションって、緩和ケア医だけに求められるものなのかしら?
医療者がお互いに協働するためには、全ての医師、すべての医療者に必要なことだと思います。
勿論、緩和ケア医だからこそ、必要なコミュニケーションスキルもあるでしょう…。
私も医療者なので、こんなことをいうのはおかしいかもしれませんが、今の医療には、コミュニケーションがとても不足していると思えてなりません。
すっかり、看護師のことを棚にあげてしまった気がします。
今後は、看護師のことも書かなくちゃ。