とうとう、バイクを購入することに決めました

実は、私、中免の『超・ペーパードライバー?』なのです。10年くらい前に免許を取ったのですが、バイクの購入は家族の反対のために断念しておりました。
以前から、250ccのバイクに乗りたいと渇望していました。そう思いつつも、バイク購入という実行に移せなかったのは、忙しさと、本当にバイクを購入しようという動機付けが弱かったからだと思います。
私に動機を「うぉりゃ~~~~!!!」と与えてくれたのは、患者さんでした。
佐藤さん(仮称)は、とんでもない山奥の山荘に近いところに居を構えておりました。その佐藤さんは、がんの終末期を迎えておりましたが、「死ぬまでに、一度は家に帰りたい」というご希望を持っておられました。
担当医からは、「自宅療養は無理」とはっきりと伝えられてしまっていた佐藤さんでしたが、佐藤さんは担当医を心底信頼しておりましたので、
「自分は、先生を信頼している。だからこそ、がんばって、先生が無理だと言うことを自分の力で可能にしてみせる」と、話されていました。
医療者としては、「現実的には、無理だろう」と医学的に判断したいところでしたが、その人その人が持つ可能性としては、自宅に帰ることを「不可能ではない」「可能にしたい」という思いが私にもでてきました。
佐藤さんが、「家に帰ってみせる」というお話をされている時は、とても素敵な表情でした。担当医への信頼、治療への忍耐、希望をかなえるための直向さ…。
で。
佐藤さんをどうしても一度、家に帰してあげたい、家に帰っていただきたい、との思いは私の中でむくむくと成長しておりました。
しかし。
佐藤さんのご自宅は、とんでもない山の中にありました。佐藤さんが「こんな病気になるなんて、考えてなかったから…」と後悔を表明するくらい、体の調子が悪い人には、かなり難関なところに、佐藤さんは住んでいらっしゃいました。
そんな理由で、自宅に帰るのは無理だろうと判断されておりました。が。
私は、ひそかに、「実現してみせるわよ」と、確固たる根拠は持っていなかったのですが、「実現できる」そんな気持ちになっておりました。
そこでまず、私が行動したのは、佐藤さんの自宅の環境を知るということでした。
ネットで調べられる地図の検索範囲では、佐藤さんの住所を入力しても佐藤さんの自宅は明確にすることはできません。それに気がついたのは、佐藤さんの家探しを始めて、2回目のことでした。
佐藤さんのおうちは、「どうして?」「こんなところに、よく家を建てましたね」「田舎過ぎます!」ってなところにありました。
ナビもお手上げな場所。とうとう佐藤さんにおうちの場所をご指南いただきながら…。
佐藤さんのおうちにたどり着けたのは、3回目のトライの時でした。
この経験のおかげで、佐藤さんの自宅の環境を実際に知っていた私は、佐藤さんを「今だ!!!」というタイミングで、外出という形で佐藤さんに、自宅で過ごす時間を持っていただくことができました。
佐藤さんに纏わる経験のおかげで、とんでもない田舎…、山…に住む人たちがいる、ということがとてもよくわかりました。
私は、この土地に居住して2年くらいですが、地元の人なら、住所の地名を見れば、大体は場所がわかるはずです。
しかし!
私は、まだ、住所を見ても、「聞いても」ピンとこないことが多いのです。
このままでいいのかな?と思い、地元を知らなきゃという気持ちにさせていただけたのが、佐藤さんでした。
仕事のために、地元を知るというのでは味気ないですが、地元を知ることで、仕事にも役立つというつもりで、あらためて、自分の住んでいる街・環境を知りたいと思えるようになりました。
車には似つかわしくないような?細い道路しかない山間には、バイクはぴったりです。趣味と実益?をかねて。
ようやくですが。
ライダーになるぞ~~!
