胃がんで幽門側狭窄がみられている患者さんに、「ブスコパン、舌下、0.3ml」という指示がでました。
周期的に、髪の毛がどっちゃーーーっと濡れるくらいの嘔吐がみられていて、患者さんがとても気の毒なくらいでした。
意識はもうろうとされていたのですが、これが意識がしっかりしていたらどうなっていたか…。
そして、指示通り、ブスコパンを舌下ーっ。
しかーし。
意識がもうろうとしていた患者さんが…。
「にっがーーーーーーいっ」と悶絶されておりました。
えええ?そんなに苦いの?そうなん?そうなん?
そこで、ポンは、舌下に使った残りのブスコパンのほんの一滴を指に垂らして舐めてみました。
うぉぉぉぉおおおおおおおおおっ~~~っ、にっがーーーーーーーーーーーーー~~~~~~~いっ。
ほんの一滴ですが、舐めたとたん、口の中に苦みが速攻で…、さささささーーーっと広がりました。
こりゃ、あかんわ…。
結局、気の毒だったけど、鼻から胃までチューブを入れてドレナージすることにしました。
ああ。あのブスコパンを0.3mlも口に入れるって、地獄に近い苦さだったろうに…。
ある症例研究で、ドルミカムの舌下っちゅうのを読んだことがありますが、おそらく。
注射製剤は注射製剤であるからにして、口に入れてはならん味がするのではないかと推測いたしました。
注射製剤の舌下の難点は「苦み」ってことでしょうけど、その苦みって、その3文字で表すには足りんくらい、苦いですぞよ…。
よく、学生さんに伝えています。患者さんのお薬の残りがあれば、それが少量くらい口にしても問題のないものなら、ちょっと試しに口にしてみたらいい、患者さんの気持ちになれますよーーーって。
これは相当、いい経験になりました。
患者さんにはとても申し訳なかったです。
ところで、死前喘鳴の時にはスコポラミンが舌下されることがありますが、こちらのお味はいかがなものなのでしょうか…。