なかなか取りきれない痛みで、毎日苦しんでいる加田さん(仮称)。
ナースコールが鳴り、加田さんのお部屋に行くと、案の定…、痛みで表情が曇っている加田さんがいました。
このところ、加田さんのお部屋に行くと、ほかのナースコールが鳴りませんように…と祈るような気持ちになります。
それくらい、ナースコールは鳴りっぱなし。
その時は、ありがたいことに、ナースコールの嵐の狭間だったみたいです。
時は、就寝前。ちょっとでも心地よく眠りについてもらいたいと思って、椅子に座って、加田さんのそばにいてることにしました。
そしたら、加田さん。
「何か、お話してよー。」
って。
自分の話を聴いてもらいたい患者さんは結構多いのですが、かえって、お話を聴かせてよと唐突に言われると、困ってしまうポンでありました。
「ええ?話をするの?ええ???ええっと、ええっと…。何、話したらええかな?」
困っていたら、そばについていた加田さんの付き添いさんがいいました。
「ポンさんの、失敗談っ!」
ポンは内心、思いました。
・・・・・・・・・・・加田さんは痛がっているのに、ここにきて、自分の失敗談を話すって、どーよっ・・・・・・・・・・・・・
おばちゃん、えらいことゆうなぁ。
とは思いましたが、とりあえず、自分が都会に引っ越してきて…。
バスに乗ろうと思ったのですが、うまく乗れずに、3台のバスを乗り過ごし、結局は歩いたこと、バスに乗って、降りようと思ったけど、降車のボタンを押したつもりが押せてなくて、結局降りそびれて、歩いて戻ったことなどを話しました…。
(なんてとほほなんでしょ)

しっかりと聴いてくれていたのは付き添ってくれていたおばちゃん。
「へー、ポンさんって、まだ、引っ越してきたばっかりなんや、ここ(職場)に来たばっかりなんや」
「へー、へー」
こんな会話をぎゃーぎゃーしていたのですが…。
加田さんのことが気になりました。
「加田さん、うるさくてごめんねー」とお詫びしましたら、「いいよーーー」と…。
内心、お話って、ほんまに何でもよかったのね???なんて思いました。
そのあと、何度かお部屋にうかがい、加田さんが眠りにつかれたことを確認しました。
ほ。
ところで、
患者さんから不意に、「何かお話してよ」って言われたら、何をお話します?
そんなこと、あまり考えたことがなかったから、困ってしまいました。
ちなみに、「何か歌って」と言われたら、その時の歌は、私は夏川りみの、「涙そうそう」に決めております。
ははは。
なんのこっちゃ。
