経験やエビデンスは、ケアにはとっても大切だと思います。
医療者の誰でもが、緩和ケアをできるようになれるかどうかについては、医療・看護にとってその原点を問われているのではないかと思います。
私は、緩和ケアを一人でも多くの人に伝えていこうと思うけど、その内容は緩和ケア独自とか、緩和ケアなりの高度な技という認識は持っていません。
確かに、緩和ケアは、医療・看護において専門領域があるくらいなので、それなりの知識と経験が必要なのだと思います。
緩和ケアは、何か特別なことをしようとしているわけではありません。
緩和ケアは、医療や看護にとってごくごく根本の、大切なことを大切にすることだと思っています。
おそらく、将来的には緩和ケアはがん患者さん以外にも行われることになるのではないでしょうか。
なぜなら、緩和ケアはケアの考え方、アプローチの方法のことを述べているのであって、ある疾患にだけ適応させるようなものではないと思うからです。
医療や看護において、緩和ケアの考え方、アプローチの方法を広く普及させることにおいて、疾患の特徴や薬剤の使用方法、患者さんのケアの方法などを紐解いた文献は、本屋さんにたくさん置いてあるし、ネットでも情報が得られる状況になってきました。
これはこれで、とてもいいことだと思います。
ただ、私が思うのは、この緩和ケアの基本やコツを知識として得て、経験するだけでは不十分ではないかということです。
今の医療や看護、そして緩和ケアにとっては、知識や経験よりももっと大切な根本を、問いたださなくてはならないのではないかと思えて仕方ありません。
根本。
それは、患者さんを思う気持ち。
「あなたのことを大切に思っています。」という気持ち。
それがないと、いくら、緩和ケア、緩和ケアといっても骨抜きになるのではないかと思います。
そのケア、本当に、心を込めることができていますか?
ケアのひとつひとつを、患者さんやご家族のことを思いながら、大切にすることができていますか?
終末期の患者さんだから、そうするというのはおかしな話です。
人間はみな、平等に死を迎えます。
だからこそ、どんな患者さんにも、そしてその方にとって大切な人にも、「あなたのことを大切に思っています」という気持ちを込めてケアは提供されるべきだと思います。
「あなたのことを大切に思っています」ということを、日常のケアの中に込めることが必要なんだということを、人に伝えるのはとっても難しいと実感せざるを得ない日々。
このことを伝えようとすると、「自分は否定されている」と感じる人がでてくるのは避けられません。
緩和ケアという考え方を、日本でやろう!とされた方は、もっと、もっとすごい苦労をしながら、緩和ケアをこの国に導入してくださったのだと思います。
(緩和ケアを志している方なら、その方のお名前は容易く想起できることですね…)
緩和ケアは、年々、広がっています。
緩和ケアという言葉、概念、症状マネジメント、心のケア、グリーフケア、在宅療養…などなど、その考え方は着実に広がっています。
でも、その根本を失ってはいけない。
そのことがどうしても気になる今日この頃です。
ああ。
だらだら書いちゃった。
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