このフードは他の輸入フードとはちょっと違っております。
原産国はニュージーランドなのですが、レッドハート株式会社のオリジナル商品でもあります。
レッドハート株式会社は同じくニュージーランド産のフード『ジウィピーク』の日本総代理店です。
その会社がジウィと同じコンセプトで求めやすいフードをというテーマで作ったのが『キアオラ 』です。
「ニュージーランドって人気あるの?」
自然が豊かで良いイメージがあるよね。それについてはまた後ほど。
キアオラ のフードはビーフ、ベニソン、ラムの3種類があります。
3種類とも自然放牧で牧草で育てられた家畜の肉が使われています。
以下が表示されている原材料の一覧です。
ビーフ
ビーフ生肉、乾燥サーモン、えんどう豆、ポテト、全粒亜麻仁、鶏脂、乾燥ビーフ
キャノーラ油、天然フレーバー、フィッシュオイル、タウリン
ビタミン類(ビタミンEサプリメント、ナイアシン(ビタミンB3)
パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、ビタミンAサプリメント
チアミンモノニトレート(ビタミンB1)、リボフラビンサプリメント
塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、ビタミンB12サプリメント
ビタミンD3サプリメント、葉酸(ビタミンB9)、塩化コリン)
ミネラル類(塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄、炭酸カルシウム
硫酸銅、硫酸マンガン、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト、亜セレン酸ナトリウム)
酸化防止剤(ローズマリー抽出物、グリーンティ抽出物、スペアミント抽出物)
ベニソン
ベニソン生肉、乾燥サーモン、えんどう豆、タピオカスターチ、全粒亜麻仁、鶏脂、
ポテト、キャノーラ油、天然フレーバー、乾燥ベニソン、フィッシュオイル、タウリン
以下ビーフと同じ
ラム
ラム生肉、乾燥サーモン、えんどう豆、ポテト、乾燥ラム、全粒亜麻仁、鶏脂
キャノーラ油、天然フレーバー、フィッシュオイル、タウリン
以下ビーフと同じ
3種類全て一番最初の原材料は生の肉です。犬のタンパク源として理想的ですね。
生の肉とは言っても、ドライフードですから最終的にはローストされています。
ちょっと引っかかるのは2番目の乾燥サーモン。
最初に書いたように、外国産ではあるけれど日本法人のオリジナル商品なので
元の言語で書かれた原材料名がわからないんですね。
サーモンを温風で乾燥させたものなのか、それとも一般的なサーモンを加熱加工して挽いたサーモンミールなのかがわかりません。
ディハイドレートのような特別な製法のものなら、何かしら説明があると思うので
多分普通のサーモンミールなのだろうというのが、私の推測です。
ミールの状態でメーカーが仕入れたときにどんな酸化防止剤が使われているのだろう?という疑問があります。
アメリカではフィッシュミールには合成酸化防止剤エトキシキンの使用が義務付けられていますが
↑2022年9月5日追記
アメリカでは原材料の段階のフィッシュミールにエトキシキンまたはBHTまたはトコフェロール酸化防止剤の使用が義務付けられています。
EUではエトキシキンの使用は禁止されています。
この製品の原産国であるニュージーランド、またオーストラリア、カナダではエトキシキンの使用は認可されています。
つまりフィッシュミールのエトキシキン使用に関しては、アメリカ産は赤信号赤に近い黄信号
EU加盟諸国産は青信号、NZ/オージー/カナダは黄信号ということになります。
キアオラ の「乾燥サーモン」については、私が個人的にサーモンミールのことだと推測し
サーモンミールであればエトキシキンが使用されている可能性がある、という不確かなことですみません。
その次の原材料は、ビーフとラムではえんどう豆とポテト、ベニソンではえんどう豆とタピオカスターチです。
えんどう豆とポテトが生の状態のものか、乾燥した粉状なのかがわかりません。
生の状態なら重量に水分が含まれるので、調理後の実質の量は後に来る乾燥ビーフ・ベニソン・ラムより少ない可能性があります
しかし乾燥した粉状なら、えんどう豆とポテトが占める割合がより高くなります。
その場合、原材料一覧の上位に来る乾燥素材である乾燥サーモンとえんどう豆が
このフードのタンパク質源の実質のメインである可能性が出て来ます。
↑2022年9月5日追記
製品の粗たんぱくの割合などから考えると、えんどう豆もポテトも乾燥品ですね。
と言うか、一般的にペットフードの豆やポテトは乾燥した粉かフレークです。
ベニソンではタピオカスターチが使われています。
アジアンスイーツによく使われるあの丸い粒々がおなじみですね。
これはキャッサバという南米産の植物の根茎から取ったデンプン質です。
グルテンを含まないのでアレルギー対応食によく使用されます。
ベニソンではタピオカのいくつか後にポテトも使われているので、他の2つよりも炭水化物が1種類多いですね。
その次の全粒亜麻仁。フラックスシード とも呼ばれるものです。
植物性のオメガ3脂肪酸であるαリノレン酸と食物繊維が豊富です。
追記
αリノレン酸がオメガ3脂肪酸として活用されるためには体内でDHA、EPAに変換する必要があります。
犬はこの変換の能力が高くないので、犬にとって亜麻仁はオメガ3脂肪酸摂取源として適当ではありません。
次の鶏脂。その名の通りチキンの脂肪です。オメガ6脂肪酸とオメガ9脂肪酸を含みます。
何も書かれていませんが、ビタミンEなどで酸化防止がされていると推測します。
また不確かですみません。
ビーフではこの後に乾燥ビーフが記載されています。
ラムでは乾燥ラムは亜麻仁よりも前に記載、ベニソンでは乾燥ベニソンはもっと後ろ。
これらは乾燥して水分を含まないので、一番最初に記載されているそれぞれの生の肉よりも実質のタンパク質は多い可能性があります。
フードの原材料一覧は重量が多く含まれる順に記載されているので
これら3種のフードは、含まれる動物性タンパク質の量は同じではないことがわかります。
ベニソン(鹿肉)はビーフやラムよりも高価ですから、仕方ない部分もありますね。
そしてこれらの乾燥ミートも乾燥サーモンと同じく、ミールなのか乾燥肉なのかが分かりません。
多分ミールなんだろうな〜、という曖昧さがここでも残ります。
その後に続くキャノーラ油とフィッシュオイル はオメガ3とオメガ6脂肪酸の摂取源ですね。
少し前後しますが天然フレーバー。これはちょっと「なぜ?」な部分です。
肉と魚で犬にとって魅力的な風味は十分な気がするのですが......。
そしてタウリン。
肉に含まれるアミノ酸であるメチオニンとシステインから合成されるアミノ酸です。
心臓の働きに大きな関係があります。
その後に延々と続くビタミンとミネラル類。
原材料に内臓肉の記載がないので、ビタミン&ミネラルの添加は多くなりますね。
ちょっと意外だったのは、ミネラル類の吸収を高めるための加工方法が
アミノ酸との複合体ではなくて「硫酸銅」「硫酸亜鉛」などのように
硫酸との化合物が多く使用されていること。
どれも飼料への食品添加物として日本で認可されているもので、もちろん安全ですが
アミノ酸との複合体に比べて、胃腸などにやや刺激が強い場合があります。
直接サプリメントとして摂るわけではないし、少量なので神経質になる必要はないですが
ちょっとだけ「ほぉ」と思ったということです。
これも私見ですが、ビタミンやミネラルについてどんな種類のものを添加しているのかを
このように具体的に記載しているのは良心的で良いことだと思います。
(一般には単純にビタミンBとか鉄とか亜鉛などの元素の名前を並べただけというものが多いです。
酷いのになると元素記号が並んでいるだけという場合もあります。)
最後の酸化防止剤は3種類の植物由来の抽出物というのはプラス面ですね。
↑2022年9月5日追記
一般的に植物由来の酸化防止剤は安全だけど効果が弱いという欠点があります。
3つの違う種類のものを使うことで、弱い部分を補い合う効果が期待できます。
「ふ〜ん。それでキアオラ のフードをまとめると?」
キアオラ のフードはシンプルなレシピで使いやすく良いフードだと思います。
本文中で書いたように、原材料のうち乾燥素材について曖昧な部分が残念ですが
それでも、やはり高品質で良心的な製品だという印象です。
ハーブ類や野菜、果物が使われていないので、トッピングなどのアレンジがし易いのも良いですね。
ジウィピークの総代理店が販売しているフードなので
「ジウィの価格に躊躇する方は、ジウィと混ぜてお使いください」とも説明されています。
またこの製品の大きな安心点は、輸入代理店のオリジナル商品なので
輸入の窓口が1つ=並行輸入品の心配がないというところです。
それからひとつだけ。この製品はNZ産の高品質な肉類が使用されていますが、
NZというと「自然が豊かで食も安全」という漠然としたイメージを持つ人が多い印象があります。
けれども上でサーモンミールの箇所で書いたように、エトキシキンの使用基準などについて知っておきたい点もあります。
家畜の成長ホルモンについても、全面的に禁止されているEUと違ってNZでは一部認可されています。
(肉牛には使用可。乳牛、羊には使用不可。)
「ニュージーランド産だから」というだけでは安全の理由にはならない、ということは消費者として気をつけておきたい点です。
次回はナチュラルパランスを取り上げたいと思います、