おなかの話第3回目です。
犬も人間と同じでおなかを下しやすい子がいます。
その原因は千差万別ですが、以前は丈夫だったのに
下痢や嘔吐をするようになったという場合には
意外なところに原因があったります。
「あたしのことを例に出さないでね。プライベートなことだから」
これは2019年に書いた記事ですが
おなかを下した時の基本的なことをまとめてあります。
ご参考まで。
おなかの不調で、調子が悪いとわかりやすいのは
下痢と嘔吐ですが、他のサインもリストアップしておきます。
- 草を食べる(代わりにカモミールなどオススメ)
- 食欲不振(これはわかりやすい)
- 飲水量が減る
- お腹をぐーっと伸ばすストレッチ動作の増加
- 自分の唇や空中、床などをペロペロ舐める
次のような症状は病院で診察を
- 下痢が2日以上続く
- 下痢と嘔吐両方の症状があればすぐに
- 嘔吐の後ぐったりしている場合はすぐに
- 吐きそうで吐けないという場合もすぐに
- 吐瀉物や便に血が混じっている
- 吐瀉物や便に誤飲したと思われる異物が混じっている
- 何かおかしいと思ったらとにかくすぐに
「おやつは美味しく食べないとねー」
若い頃は大丈夫だったことが加齢と共にダメになるのはおなかも同じ。
老犬は消化能力が落ちるので消化の良いものをと言われますが
胃液の分泌などは加齢の影響はそれほど受けないそうです。
年をとって弱くなるのは胃の蠕動運動(ぜんどう運動)
胃を支えている靭帯が弱くなって、胃の内容物を十二指腸に
送り出すための蠕動運動が弱くなってしまいます。
(老犬になると胃捻転のリスクが高くなるのも胃を支えている靭帯が弱くなるため)
また胃粘液(胃液とはまた別)の分泌は老化と共に減ってしまいます。
胃粘液は胃粘膜を保護し胃の中の食物を送り出す補助役ですから
これも胃の中の内容物がうまく送り出されない原因になります。
ゴロンと切った野菜や果物も、犬が若い頃なら
無理なく十二指腸に送り出すことができたのが
年を取るとこういった物は胃に残りがちになります。
一定の時間が経っても十二指腸に行かずに胃に残っているものは
体が異物だと判断して嘔吐します。
動物性タンパク質は胃での消化が容易なのですが
野菜や果物は犬にとっては消化しづらいものです。
老犬に野菜を与える場合は柔らかく煮たり
潰してピューレ状にした方がいいのはこのためです。
また単純に、野菜や果物の与え過ぎにもご注意ください。
人間の感覚で「体に良いもの」と思い込みがちですが
犬の場合には体に負担になることもあります。
また犬も年を取ると関節や内臓あちこちに悪いところが出てきて
痛み止めや治療薬を飲むことも多くなります。
これらの薬の副作用で唾液や胃液の分泌が低下していたり
胃粘膜が荒れてしまっていることがあります。
薬の副作用が下痢や便秘といった症状だと分かりやすいですが
こういう微妙な副作用は分かりにくいことが多いですね。
カモミールやスリッパリーエルム、マシュマローなど
胃腸の粘膜を保護するハーブ類をプラスするのも良いと思います。
「ふーん」
年を取ると膵臓が悪くなる犬も少なくありません。
膵臓が分泌する膵液には各種消化酵素が含まれていますから
膵臓の働きが悪くなると消化機能は落ちます。
この場合、消化酵素のサプリメントで補うのも有効です。
↑この商品、説明に「現代の食生活で不足しがちな消化酵素」とありますが
消化酵素は体が分泌するものですから、これはちょっと😣
製品自体は悪くなさそうなんですけれどね。
体が健康なのに食事のたびに消化酵素サプリを与えていると
自分で消化酵素を分泌する力が弱くなることもあるので
消化酵素サプリを与える際は獣医さんに相談してください。
ここまで書いてきたような理由で、年をとった犬は消化機能が落ち
お腹を下したり吐いたりすることが多くなることがあります。
胃腸のための療法食フードは上記のことをサポートしているため
フードの変更が有効な場合も多いようです。
↑これは一例
おなかの話1と2で書いたように、加齢と共に腸内細菌の分布も変わるので
プロバイオティクス(乳酸菌など)やプレバイオティクス を
サプリメントで補うのも良い方法です。
胃腸ケアや腎臓ケアのフードではプロバイオティクスが
添加されている場合も少なくありません。
もしさらにサプリメントを摂る場合には同じ種類の菌類を
所定の量よりも少量から与えることをお勧めします。
ざっとまとめますと
病院で診察を受けて大きな病気ではないと分かっているが
おなかが弱くて下痢や嘔吐がよく起こるという場合
- 胃が内容物を押し出す力が弱っている
- 薬の副作用で胃液や唾液が少なくなっている
- 薬の副作用で胃腸の粘膜が荒れている
- 膵臓の働きが落ちて消化酵素が働きにくくなっている
これらが関係しているかもしれません。
愛犬の不調は自分のことよりも心配になりますもんね。
何かしらヒントになることがあれば幸いです。
「おなかを大切に〜」