(1)昨日(2月20日)は、小林多喜二が特高の拷問によって虐殺された日でした。下の年譜゚に、「(1933年)2月20日、赤坂福吉町で連絡中に、築地署の特高に逮捕され、警視庁特高により午後7時45分殺される。」とあります。
(2)2008年9月に『劇画「蟹工船」 小林多喜二の世界』(講談社+アルファ文庫)が刊行されました。読まれた方もあるかもしれませんが、下にそのカバー部分を載せました。
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もちろん原作も読みましたが、この「劇画「蟹工船」」、それからこの末尾に付けられた「写真でたどる小林多喜二の世界」、島村輝(女子美術大学教授)「解説「蟹工船」ー 時代を揺り動かすことばの力」、いずれもたいへん興味深い作品と思いました。
(3)ところで、小林多喜二の作品に「健坊の作文」があります。内容は北海道の蜂須賀農場の小作争議のことを扱った、4ページの短い児童作文の体裁をとった作品です。電車に乗っている時ならば、一区間で次の駅に着かないうちに読みを終わってしまうほどの短編です。
(4)私が、この作品を知ったのは、「少年戦旗」の復刻版の刊行を知らせるパンフでした。『少年戦旗』が復刻刊行されたのは1977年11月ですから、もう47年前のことです。そのころ私は、修士論文のテーマや、同時に文章についていろいろなものを検討していて、このパンフに引用された短編冒頭の1段落を読んで感動し、しかも内容が蜂須賀農場の小作争議を扱ったものとわかったので、研究に関わる手がかりがあるあるかもしれないと期待しましたが、あまりの短さにそれ以上には関心を払うことはなく、ほかは文庫に入っているものを読んだくらいでした。
(5)小林多喜二の作品・業績を収集して全7巻に編纂した人に手塚英孝という人がいます。手塚氏が編纂したものが1982年頃に刊行されましたが、これが「定本版」といわれているもののようです。
その後、10年ほどが経過する間に未収録文献が38点が見つかり、これを収録して「決定版全集」が作られました。それが下に載せるパンフレットのものです。
なお、手塚英孝氏には『手塚英孝著作集』(全3巻、1982~3年刊、新日本出版社)があります。この人の著作は、小林多喜二について知りたい方には不可欠ですが、それだけでなく、寡作ながら、作品も深いと思われます。
(6)長くなりましたが、上の劇画を読んで、小林多喜二の作品のうち文庫に入っていないものを読みたいと考えて検索すると、なんと「定本版」全7巻が1500円と出ていました。眼を疑いましたが、問い合わせたところ、状態は悪くないことがわかったので、ともかく、1冊の新刊の文庫を買うよりも安いのに惹かれて買いました。
まあ、満足です。しいて難点をいえば、全集物は何でも場所を取るということですね。
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北桔橋門〔きたはねばしもん〕まえから毎日新聞社方面
【コレクション 173 小林多喜二全集】
このパンフの大きさはB5判6㌻です。A5判の横長の用紙3枚分を、最初に左から3分の1を折り込み、次に右から3分の1を折り込むとできます。
下には、1~4㌻を載せました。長くなりましたから、これについてはもう説明を略します。
なお、3・4㌻は見開きです。
5㌻ 「追悼詩」:60年目の2月20日がめぐってくる
推薦文
宮本顕治 日本共産党中央委員会議長 先駆的で不滅
小田切進 日本近代文学館理事長・立教大学名誉教授 日本文学史上比類ない作家
6㌻ 装丁見本 特色
刊行案内:四六判 平均583㌻ 定価4万2千円(特別定価3万9900円)
1㌻
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2㌻
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三浦綾子『母』がありました。
3㌻
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4ページに続く
4㌻
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以上です。
今日はここで。
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今日の西の空
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