宋斤の俳句「早春」昭和十三年三月 第二十五巻三号 近詠 俳句
近詠
水平らけく大いなる春來りけり
金魚溫む二つが三つ居たりけり
病兵に芝若かわかとなりきつる
この春の汐干知らずに蜊汁
またしても窓の句作れ春の宵
紙雛梅活けたれど出して置く
草餅にふるさとを言ふ海彼方
春暁の航空燈を眞東に
三朝にて
雪の中早春ひゞく三朝川
雪の川きよらかに里人鮎を言ふ
雪を見て温泉に腕革し居る
出雲大社
御屋根の雪解のしぶき寂かなる
松江にて
江のかすみ雨降ってゐる庭の松
春暁や舟行と決す雨をいざ
美保ヶ關にて
東風強し海鳥空にきりかやし
春の奏鳴曲
無門會同人有志が梅田映畫劇場へ新任同人星河君への激励に「春の東京リズム」を鑑賞
プレリュード (開幕を待ちつゝ)
陶壁の吸ふ燈の春の宵
幕間のみつまめなんど春ならぬ
アンダンテ
春愁をさゝなみと踏むタップ哉
ある時は音秘む踊春の夜を
ライトほのとしタクト急轉春のショウ
ビバーチェ
日章旗舞臺一面春の踊り
みなが歌ふみなは奏る春の夢
裸男の子燃ゆる火捧げて春たかし
戰捷を火振り春夜を闇を打ち
巌上のしゝむらに炬火冴えかへり
フィナーレ
少女はも希望にみちて樂濤々
春を泣きぬ必死の樂のひろごりに
陽炎に樂士百人働けず
百人の樂士ひもらや春盡す
冬至
むかしよりの日本と思ふ冬至哉
としよりの言葉にいふて冬至顔
寒見舞
寒見舞句作寒行挑みくる
戦地の句みな雪にして寒見舞
寒見舞歸省怠ること書いて
春宵雪暖かなり
如月や湯にひと日して驛路の句
水音のたち來て雪の暮れるゝかな
欄の外櫻は雪を花芽して
雪の山に溶けてはのぼる溫泉のけむり
雪の酒二盞の掟破りけり
醉ふて廊下に寝しとは雪も春の宵
此の事や春の雪もて頭冷さるゝ
早春社二月本句會
春朝日土に生れて飛べるもの
春入日しばらく風の藪疊
東風ぬくし朝にパンを割きながら
近詠
水平らけく大いなる春來りけり
金魚溫む二つが三つ居たりけり
病兵に芝若かわかとなりきつる
この春の汐干知らずに蜊汁
またしても窓の句作れ春の宵
紙雛梅活けたれど出して置く
草餅にふるさとを言ふ海彼方
春暁の航空燈を眞東に
三朝にて
雪の中早春ひゞく三朝川
雪の川きよらかに里人鮎を言ふ
雪を見て温泉に腕革し居る
出雲大社
御屋根の雪解のしぶき寂かなる
松江にて
江のかすみ雨降ってゐる庭の松
春暁や舟行と決す雨をいざ
美保ヶ關にて
東風強し海鳥空にきりかやし
春の奏鳴曲
無門會同人有志が梅田映畫劇場へ新任同人星河君への激励に「春の東京リズム」を鑑賞
プレリュード (開幕を待ちつゝ)
陶壁の吸ふ燈の春の宵
幕間のみつまめなんど春ならぬ
アンダンテ
春愁をさゝなみと踏むタップ哉
ある時は音秘む踊春の夜を
ライトほのとしタクト急轉春のショウ
ビバーチェ
日章旗舞臺一面春の踊り
みなが歌ふみなは奏る春の夢
裸男の子燃ゆる火捧げて春たかし
戰捷を火振り春夜を闇を打ち
巌上のしゝむらに炬火冴えかへり
フィナーレ
少女はも希望にみちて樂濤々
春を泣きぬ必死の樂のひろごりに
陽炎に樂士百人働けず
百人の樂士ひもらや春盡す
冬至
むかしよりの日本と思ふ冬至哉
としよりの言葉にいふて冬至顔
寒見舞
寒見舞句作寒行挑みくる
戦地の句みな雪にして寒見舞
寒見舞歸省怠ること書いて
春宵雪暖かなり
如月や湯にひと日して驛路の句
水音のたち來て雪の暮れるゝかな
欄の外櫻は雪を花芽して
雪の山に溶けてはのぼる溫泉のけむり
雪の酒二盞の掟破りけり
醉ふて廊下に寝しとは雪も春の宵
此の事や春の雪もて頭冷さるゝ
早春社二月本句會
春朝日土に生れて飛べるもの
春入日しばらく風の藪疊
東風ぬくし朝にパンを割きながら
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