songbookの自己回顧録

「教えて!goo」で見つめてきた自分自身と、そこで伝えられなかったことを中心につづってきましたが、最近は自由なブログです

松田聖子さん12~その歌声の特異性~

2007-04-18 00:00:02 | 音楽
さて、前回述べた83年の、私の考える3度目の絶頂期。聖子さんはその後もヒット曲を出し続け、その後現在にも続く活躍ぶりは、わざわざ私が書くまでもないことです。

「蛍の草原」も、すばらしい曲ですし、「あなたに会いたくて」を始めとした、本人による作曲の曲が増えてきたことは喜ばしいことです。

でも、私の中に、「4度目以降の絶頂期」は確認できませんでした。といって、別に否定しているわけではありません。ただ、やはり、第1期の絶頂期以降永遠に失われてしまった聖子さんのパワフルでみずみずしい、あの声が今でも恋しい。

教えて!gooでも記しましたが、聖子さんの声は、私の知る範囲では、唯一無二の魅力を持ったものでした。同時期のデビューで考えれば、声のみずみずしさだけならば、河合奈保子さんのほうが上だし、(こういっては何ですが)ルックスも彼女のほうがはるかにアイドルらしい。清純っぽい歌声、逆に影を持ったような雰囲気や色気で聖子さんを上回る人は何人でもいました。

ならば、なぜ聖子さんがトップでいられたか。私は、「かわいらしさの中にある娼婦性」であると考えています。

河合奈保子さんのようにさわやかさを極めているわけでもなければ、中森明菜さんのように憂いを匂わせているわけでもない。聖子さんの声には、明るさの中に、どこか湿度があるのです。

また、今まで述べてきたような歌い方(風は秋色の引き技、夏の扉の「あ」など)は、まさにコロンブスの卵。真似することは誰にでもできるが、そういう歌い方を(たとえ偶然や、勘によるものだったとしても)編み出したのは、彼女が最初なのです。

さて、聖子さんについては、他の方面でもいろんなことが語られています。多方面から総合的に考えて聖子さんを評価しようとする「訳知り顔な」評論家や、生き方に共感を覚える、などといった安直なファンの方もいますが、私は、聖子さんの音楽を、そんなつまらない「付加価値」によって語られるのはまっぴらですので、あくまでも音楽面に絞って語ってまいりました。

ですが、ひとつだけ、聖子さんの「歌以外での」功績で、あまり語られていないことがありますので、最後にひとつ。

84年に聖子さんは「Rock'n rouge」を発売し、この曲をイメージソングとして、カネボウの化粧品キャンペーンCMに、自らが出演しました。

今の時代の目で見ると、「だから、何?」と、何の違和感も持たれないかもしれませんが、当時の化粧品CMの事情に詳しい人ならば、画期的なことだったことがわかると思います。実は、洗顔剤などの周辺製品は別として、その頃までの化粧品、特に口紅のCMは、白人モデルを起用するのが常識とされていたからです。理由は安直で、「色映えがよいから」。

そこに聖子さんが、自分の歌を引っさげて乱入して来た。
現在当たり前のように出演している、化粧品CMの日本人女性タレントたち。彼女たちのために最初に道を作ってくれたのが聖子さんであったということは、意外に知られていないことなのです。(それまでにも夏目雅子さん等日本人モデルはいましたが、どちらかといえばモデルとしての出演であり、お茶の間でおなじみのアイドルが出演するということは、それまでなかったのです。)



いやあ、長かった。思いっきり。

次回、少し充電してから、改めて自らの履歴をふり返ります。
コメント (3)
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