子どもたちと学習していると、昔の偉人とか権力者のことがよく話題になります。
藤原道長の「この世をば…」や足利義満、金閣寺、豊臣秀吉の「金の茶室」の話題などにやたらに反応してくる児童がいて、
「昔の偉い人は、すごく贅沢なことをしていたんだね」
「私も偉くなりたいな」
「先生(わたしのことです)はそういう人みたいになりたいと思ったことはありませんか」
など、聞いてきます。
そんなとき、私はいつも答えます。「絶対にいやだ。」
例えば義満ならば、夏場に家来に命じて富士山から氷を運ばせて、ひとり涼に入ることができたといいますが、こういっては何ですが、「その程度のこと」が、当時の最高級の贅沢。どれほど黄金に囲まれた秀吉でも、生クリームのケーキひとつさえ食べることのできなかった時代です。
現代の庶民ほど、人類の歴史上、贅沢のきわみを謳歌している人はいないわけです。過去の人たちの英知とたゆまざる努力により、私たちは「この世をば 我が物と思う 望月の…」と言いたくなってしまうほどのぜいを尽くしているといえるでしょう。
これほど豊かな生活を送っていながら、最近、今まで以上によく思うようになったこと。
「桜がきれいに咲いたね。」
「新緑がきれいだね。」
「紅葉狩りができそうだよ。」
「こんな日は、仕事なんか休んで、散歩でもしたいね。」
こんなことを言い続けて、はや20年近く。
ほとんどできずにいます。最近、わかってきました。おそらくこのまま、自分は定年になるまで、こんなささやかな自然を満喫することさえできずに過ごしていくのであろうと。
この、人間にとって一番感受性が鋭く、最も感動をすることができる時期、「美しい自然を味わう」ことさえままならず、老齢を迎えるしかない現実とは何なのか?
運よく休日とよい天気などが重なったとしても、ほとんどの場合は、仕事を引きずったままの休日。(まあ、職種にもよるでしょうが)自分はなんて貧しいのだろうと思ってしまいます。
子どもと一緒に授業をしていると、カブトムシの幼虫がさなぎになったり、あさがおがつるを伸ばして、つぼみをつけたりするのが、本当にひとつひとつ喜びと感動です。もちろん命を失うときの悲しみもあります。
そんな、命の営み、自然や景色の美しさ、季節の移り変わりを感じることがままならない日々の生活には、年を重ねるにつれストレスを感じるようになってきました。なぜ私たちには、こういうものを満喫することが許されないのか。
豊かな生活とはどういうものか、もっと考えていきたいですね。
藤原道長の「この世をば…」や足利義満、金閣寺、豊臣秀吉の「金の茶室」の話題などにやたらに反応してくる児童がいて、
「昔の偉い人は、すごく贅沢なことをしていたんだね」
「私も偉くなりたいな」
「先生(わたしのことです)はそういう人みたいになりたいと思ったことはありませんか」
など、聞いてきます。
そんなとき、私はいつも答えます。「絶対にいやだ。」
例えば義満ならば、夏場に家来に命じて富士山から氷を運ばせて、ひとり涼に入ることができたといいますが、こういっては何ですが、「その程度のこと」が、当時の最高級の贅沢。どれほど黄金に囲まれた秀吉でも、生クリームのケーキひとつさえ食べることのできなかった時代です。
現代の庶民ほど、人類の歴史上、贅沢のきわみを謳歌している人はいないわけです。過去の人たちの英知とたゆまざる努力により、私たちは「この世をば 我が物と思う 望月の…」と言いたくなってしまうほどのぜいを尽くしているといえるでしょう。
これほど豊かな生活を送っていながら、最近、今まで以上によく思うようになったこと。
「桜がきれいに咲いたね。」
「新緑がきれいだね。」
「紅葉狩りができそうだよ。」
「こんな日は、仕事なんか休んで、散歩でもしたいね。」
こんなことを言い続けて、はや20年近く。
ほとんどできずにいます。最近、わかってきました。おそらくこのまま、自分は定年になるまで、こんなささやかな自然を満喫することさえできずに過ごしていくのであろうと。
この、人間にとって一番感受性が鋭く、最も感動をすることができる時期、「美しい自然を味わう」ことさえままならず、老齢を迎えるしかない現実とは何なのか?
運よく休日とよい天気などが重なったとしても、ほとんどの場合は、仕事を引きずったままの休日。(まあ、職種にもよるでしょうが)自分はなんて貧しいのだろうと思ってしまいます。
子どもと一緒に授業をしていると、カブトムシの幼虫がさなぎになったり、あさがおがつるを伸ばして、つぼみをつけたりするのが、本当にひとつひとつ喜びと感動です。もちろん命を失うときの悲しみもあります。
そんな、命の営み、自然や景色の美しさ、季節の移り変わりを感じることがままならない日々の生活には、年を重ねるにつれストレスを感じるようになってきました。なぜ私たちには、こういうものを満喫することが許されないのか。
豊かな生活とはどういうものか、もっと考えていきたいですね。