ららみ先生のピアノのおけいこ

自閉症でも、発達障がいでも、
両手でピアノが弾けるんです♪
ピアノが弾けるって、素晴らしい!

つばらつばら

2016-10-09 | 読書、文学など

夫が京都に出張に行き、“つばらつばら”と云うお菓子を、お土産に買ってきてくれました。

“つばらつばら”とは、面白い響きのお菓子だな~と思って箱を開けますと、
中に栞が入っていました。

『浅茅原 つばらつばらにもの思へば 故りにし郷し思ほゆるかも
(あさぢはら つばらつばらに ものもえば ふりにしさとし おもうゆるかも)  万葉集 巻三

万葉歌人・大伴旅人が、太宰府長官として九州に赴任した折に、“つばらつばらに”
すなわち、“しみじみと”物思いをしていると、故郷の都のことがあれこれと浮かんでくる
と詠んだ歌です。
“つばらつばら”は、しみじみと、心ゆくままに、あれこれと、という意味の万葉のことば。』

 と書いてありました。

少し調べましたら“浅茅原”は“あさつばら”と読む場合もあるらしく、
“つばらつばら”を導く、枕詞として使われているそうです。

大伴旅人は、太宰府に赴任した時は、既に50代後半。
故郷には、もう帰れないかもしれないな~と思う日々も、きっとあったはずです。

その思いを歌に詠んだのですが、“つばらつばら”  と云うリズミカルな言葉を使うことにより、
全体の印象が、悲観的になり過ぎず、程よい情緒が醸し出されているように思います。

また、浅茅原を“あさつばら”と読んだ場合は、歌の調べが一層リズミカルになり、
ちょっとしたユーモアすら感じられます。

このように、強い望郷の思いを、美しい調べにのせてサラッと詠むなんて、
大伴旅人って、何て素敵!!

京都のお菓子“つばらつばら”を前に、万葉の世界に思いを馳せた、秋のひとときでした。

あっ!そのお菓子は本当に、つばらつばら(しみじみ)と美味しくて、心に染みたのでした。

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