伏見酒屋の女将 ～京都三条京阪近くの名物女将～

つい先日、京都へ行った時の時間調整に、三条京阪辺りでは老舗の「居酒屋 伏見」へ顔を出した。ん十年以前には準常連級の勢いで通ったものだが、今やこのお店の名物女将（めいぶつババア）は覚えている由もなし。案内されるカウンターに座り、飲み物の注文を済ませたら女将が言う「カワハギの刺し身が美味しいよ」と、カウンターの席に座っている客に、順番におすすめしているので、ワシが余計な口出しをした「さっきから、すすめているのはカワハギばかりやね？」と・・・・。



女将はカチンと来たらしく「そんなら放っとこ！」と、それから一切の注文を聞こうとしなくなったのだ。両脇のお客も、こちらを意識した苦笑の中、カワハギの刺し身を突っつきながら、ワシも時間調整であるからして、ビール一本で済むなら逆に上手いお話だと、かれこれ20分間くらい外国の方のお話を聞いていた。このお店は京都ガイドブックに載っている手前、外国からの観光客も多いのだ。両脇の客には「鯛のあら煮750円を450円にしとくよ」などと、頻繁におすすめを売り込みに来る名物女将。



ワシは推測した・・・伏見酒屋の女将は、カウンターにお客を案内した時は既に、「カワハギの刺し身」を人数分売り込むつもりで、厨房に注文を通しているのだ。従って、目論見が外れるとカチンと怒りが込み上げて来る法則だったのだ。怒るのも大人気ないし、ワシにも怒る理由がないのでビールを飲んでいると女将が「兄さん、つまみ何作ろう？」今更かよ！　「鱧の柳川ちょうだい」ワシは怒っていないので、忘れた頃に再度、女将を怒らせに訪れるだろう。

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