岸田政権は18歳以下の家族が居る家庭に1人10万円の給付をする事を決定した。 960万円の所得制限はあるものの、この上限はあたかも単なる制限はありますよと言う、言い訳が出来るための制限だろう。
実質的には18歳以下の家庭の世帯主の年収は90%以上はこの所得制限以下である。 これでは制限の意味がないだろう。
世帯主の収入だけで世帯収入とするのもあまりにも不公平だ。
共働きで1800万でも、世帯主の収入が960万円以下なら給付対象になるのは誰も納得できないだろう。
そもそも、18歳までの学童、学生は医療費も無償化されているし、授業料も効率ならほぼ無料、私立でも所得に対応して9割以上が補助されていて、実質的には無償化と言っても良い。 小中学なら給食費や修学旅行の費用、その他にはクラブなどで使う道具やウエアーなどの費用だろう。
塾などの費用はそれはある意味では無駄な費用だ。 別に塾やその他の習い事を無理にする必要は無い。 ある程度余裕がある家庭が子供にそうした経費を掛けるのは勝ってだけど、それが子育ての必須費用と言う考え方は間違いである。
逆に私は18歳以上の学生(大学生、学院性)への補助を考えるべきだと思う。 大学の学費は高校や私立の中学の数倍であり、今回の対象外になるのはあまりにも政府の考え方の馬鹿さ加減を物語る。
さらに言えば、こうした短絡的な給付金はほとんど意味がない。
その場凌ぎの現金なんて物はほとんど実質的な経済支援にはならない。
今叫ばれているSDGs:Sustainable Development Goals の考え方からもかけ離れている。 一時的に10万円の給付が持続可能な物か???
本当に必要な対策へもっとシフトする必要がある。 選挙公約で現金給付を歌った自公の浅はかな票目当の対策の無責任さを真剣に考えてもらいたい。
さらに言えば、本当にコロナで困窮する人への支援なら、子供限定の対象とすることにも違和感を覚える。 それをするならいろんな税金を徴収している形を変えることの方が公平な支援に繋がる。 ガソリン税や所得税、厚生年金課税、保険税、雇用保険、酒税やタバコ税などなど、もちろん、消費税に関しては物を買った人へ一律に税金が掛かる仕組みなので、私はある意味では賛成である。 税率に関する考え方はいろんな意見は有るだろう。
日本の企業の給料は世界レベルに比較すると相当に低い。 まずは給料が上がる仕組みを作る事が先決である。 なぜ子供が少なくなったのか? なぜ結婚する人が減ったのか? なぜ子供を産む人が減少したのか?
これは全て給料に対して、日本の物価がそれに見合った物になっていない。
例えば、25歳で結婚した世帯主の平均収入は450万円以下である。
さらに、各種税金を差し引いた現金収入は350万円程度だろう。
子供を産んで育てる場合には妻はある程度の期間はほぼ働くことは出来ない状態なので、家賃や食費、光熱費、その他車などの維持費用などを考慮するととても2人、3人とは子供を持つことは出来ない。
さらには将来的な子供への費用を考慮すると、多数の子供を育てるのは無理だ。そうした事を考えているからこそ、子供は作らない、作れない、1人がやっとであると言う夫婦が圧倒的である。
まずはこうした背景をどのように変える事が出来るのか? それは政府が個人への補助以上に必要な事は、企業が給料を引き上げる事が当然だとする政策が出来るかどうかだろう。 それは日本だけではなく、世界経済が伸びる事が絶対条件である。 しかし、日本の経済はそれ以上に伸び悩んでいるし、そもそも、物価自体が価格競争でなかなか上がらない。 そうなると、企業収益も伸びない、給料へ還元されることもない。 こうした悪循環がずっと続いているのである。
これは日本に限定した事ではないだろうが、アメリカやその他のヨーロッパなどの物価上昇率は日本の倍以上で、給与上昇率も日本の倍以上だ。
10万円の給付で前回の全人口への給付時には半分以上が貯蓄に回り、消費へ還元されなかったので、景気対策としての給付の意味は無い。
さらに、子供への支給と言いながら、結果的には親に給付される訳で、果たして、子供に使うお金に変るだろうか?
中にはこのお金で無駄な親のブランド品の購入費用だったり、車を買い替える費用だったり、さらには賭け事に費やしてあっさりと無くなるケースだって大いにあり得る。
本当に子供や景気対策としてお金を使うならば、全く別のアプローチが必須だと思うのは、当然の事である。
少なくとも、税金である以上は、税金を納めている全世帯が歓迎する政策でなければ納得することは難しい。
今の日本には子供を育てる環境が悪すぎる。 学校の教育の在り方や、教員や教師、保育士などの絶対数が足りていないし、預ける場所さえ足りていない。
まずはそうした環境を整える事が優先だろう。 それから、子供を産み、育てる環境が豊かであること。 親の負担が少ないこと、働きながらでも楽に仕事が出来る環境がある事。
されに言えば、日本の教育は一律に同じレベルにしようとする傾向が強く、各個人の個性や才能をどんどん伸ばすような教育やシステムが無い。
これは日本人の物に対する、各個人に対する意識を変えることも必要だろう。
もっと、各個人の個性や才能を認めて、各自の夢や希望、将来への意欲的な生き方を尊重する意識が必要だ。
その為の支援を国がもっと優先することも必要だし、そのために必要な資金提供も大切な政策だ。
現状の教育に対する対応は全く機能していない。 コロナ禍で自殺した若い人の数が過去最高となり、女性の自殺者は倍に増加した。
将来に対する不安や希望が見えない日本の将来や現状を改善するのは、短絡的な現金では全く補える物ではない。
10万円給付は選挙政策であるのは明らかで、経済対策とか、子供支援なんていうような謳い文句で片付けられるのは、税金を真面目に払っている国民に対する詐欺行為だ。
無駄な政策を繰り返す自公民の政権が続く限り、この国の豊かさは訪れることはないし、国民は永遠に貧困の悪循環から抜け出せない。
安倍晋三が安倍派を立ち上げ、そのトップに就いたそうだが、そもそも、政治家の権力行使が目に余る問題の中で、こうした権力優先主義が罷り通るような自民党の内部からは、国民優先の政策なんて生まれない。
政治家の保身のために政治が成り立っているようなこの国には、幸せなんて物は夢のまた夢である。