ギターを独学で練習している人は少なくないだろう。 私もその一人である。 ギター(ここではクラシックギターを主にする)を全く初めて触ると言う人も少なくないだろう。 そうした人がまず考えるのは、どの教本、そんな教則本がいいだろうか? 実際に書店で中身を見てから決める事が良いに決まっているのだが、こうした楽器の教則本などは一般的な書店にはあまり種類なども少ないので、自分が求めている本には出合うことが少ない。
ネットではこうした教則本は数多く見つける事が出来るけど、中身を確認することが出来ないので、自分のレベルに合った物や、欲しい内容かどうかは購入してからでないと分からない。
今はYouTube動画などでもクラシックギターのレクチャー動画も数多くあるので、そうした動画も参考にすると良いと思う。
しかし、動画だけではギターの練習は無理なので、どうしても譜面が必要になる。 出来れば、練習曲が収録されているCDやDVDなどが付属している方が良いに決まっているだろう。
ある程度ギターを弾いていた人なら初歩的な演奏技術は取得しているので、少しレベルの高い教本などを探すのも良いだろう。
ただ、独学の場合には実際にギターの構える姿勢や指の形、押弦、運指などを客観的に見る事が難しい。 出来れば、大きな鏡を前にして、姿勢などをチェックしながら弾くのは良いだろう。
押弦の指の形やネック裏で支える親指の位置や形、右指の動きなどなど、指導者がいるなら指摘されて修正しながら弾くことで、しっかりと基礎を作る事が出来るだろう。
そうしたことが難しいので、独学はかなり努力しないと上達するにはレッスンを受けている人に比較すると時間が掛かる。
この時間が掛かると言う点からすると、仮に比較するなら、練習曲が10曲だとして、最後の10曲目を弾けるようになる事が目的だったとしたら、レッスンを受けている人の方が早く到達できるだろうと思われる。(私はレッスンを受けた事がないので実際には分からないけど、レッスンを受けている人の話からいろいろと考察することになる)どうしてか? それはレッスン時に運指や構え、次の音を弾く時の準備なども聴けるし、自分が悩むことが無く、先生に聞けば答えが返ってくるからである。
逆に独学だと、譜面にある指使いの指示がある個所は問題ないけど、特に指示が無い個所などは自分でどのような順序で押えるか? どの指で押えるか? さらに言えば、どのフレットの音で弾くのか? 教本に書いてある場合なら問題ないけど、カルカッシ教本などのようにほとんど譜面だけの場合には、そうした運指やどの指で弾くのかなどは全て自分で模索して判断する事になるから、そうした模索しながら練習するので、時間は数倍掛かるだろう。
模範演奏のCDや動画などを参考にして、曲自体の雰囲気や強弱、テンポや実際の音を感じる事が出来るから、そうした物を活用する事になるだろう。
しかし、時間を掛けて自分で判断することで、実際にはその譜面を理解する事が出来るし、運指や指使いなども自分で選択することでより曲を暗唱する事も出来る。 実際に私もカルカッシ教則本(溝淵浩五郎)で練習しているが、ほとんどの曲に関しての特にアドバイスや運指に関しても説明などもない。
譜面には最低限の押弦の指定があるが、ほとんどは自分で考えて弾くことになる。 さらには、譜面のハイフレットなどの指示がある個所は問題ないけど、その他の個所などで解放弦やローフレットで弾くか、ハイフレットで弾くかはその前後との関係を意識してどれほどスムーズに移動できるか? さらには、音もハイフレットとローフレットの音のどちらが曲の中では良いのか?
特に和音などになるとハイフレットでは音色が気にらないとか、移動する事が問題ないなら開放弦やハイフレットを選択することもあるだろう。
こうした事などは独学で練習する時には常に悩むことになる。 しかし、この悩みも意外と楽しいと思えることでもある。
自分で譜面の音符をどのフレットで、どの指で、どのような移動で弾くのか・・・。 いろんな選択肢がある事を理解したり、フレットの音を知ることなども含めて、ギターの音と音符を身に着ける事にもなるので、レッスンで先生に指示された通りに弾いているだけよりも、実際には将来的には上達するための要素を蓄えることになるだろう。
多くの人が指摘する独学の弱点は、悪い癖が付くとか、弾き癖が付くとか、そうした癖が上達を妨げる事になると。 そうした独学のデメリットを言う人も少なくない。 しかし、私は独学でも十分にプロレベルに到達することは可能だと思っている。 独学の場合にはどうしても先を急ぐ傾向があるので、練習曲でも次の曲に早く行きたいと思う気持ちがあるので、基礎的な練習や基礎的な知識などをしっかりと身に付けないで進んで行く人が居るからだろう。
もちろん、自分独りで弾いているので、悪い癖などを自分で修正する必要もあるし、実はそれが難しいのであるが、多くの練習曲を弾き続ける事で、その都度修正する事が出来る。 自分のスタイルを持たない事が上達の秘訣だと思う。 自分のスタイルを持つことは自分の弾く癖を作ることで、どの弦をどの指で弾くのかなんてことは決めない方がいい。
どの弦でも、どの指でも弾けるようにする事や、どの指でも譜面に忠実なら何も問題ないし、音色のバランスなどを考えながら自分で選択することも楽しい。 そうしたいろんな視点を常に持ちながら練習することで独学でも十分に上達する事が出来る。
私も練習曲を弾いていて、何度も何度も何度も弾き続けているとどうしても飽きる。 さらに、難しい個所を何度も何度も何度も繰り返して練習するのも結構な忍耐が必要になるし、同じ指や運指をするので、指も痛くなったり、相当な疲労も覚える時も有る。
そうした時には別の教本の練習をすることにしたり、ポピュラー曲の練習をしたり、ジャズの基礎練習をしたり、適当にアドリブで弾いたりして、気分転換をしながら練習することにしている。
なので、可能な限りギターの教本をいろいろと購入するのは良いことだ。
すぐに手に取って開くことが出来る所に置いて、すぐに切り替えて、練習するようにしている。
こうすることで、ある程度弾けるようになっても、基礎的な練習を繰り返して弾くことは大切だろう。
ギターは車の運転と同じだと言う事を何度も書いているけど、毎日弾くことが出来るなら短時間でもギターを手にする事が良いに決まっている。
身体に覚えさせることは意外と難しい。 さらにはフレットの音を即座に把握して音符を読む力を付けるのも難しい。 よくギターの初期時にフレットの音を全て記憶して即座に弾けるようにする事を初歩の段階から唱える人も多くいる。 特にこれはアコギやジャズ系の教本には多く出てくる。
しかし、これはどうしても無理があり、記憶するにはどうしてもアルファベットを覚える事と同じで、単音を覚えても実は役に立たない。 実際の単語と同期した状態でないと実践としては活用できない。 ABCD・・・を覚えても単語として覚えないと使えないのである。
なので、フレットの全ての音を記憶しても、実際の曲の譜面として出てくる音をその都度把握して覚える方が実践的で実は記憶する事も簡単だ。
私は今でもフレットの音を全て覚えていないし、覚えられない。
しかし、最近ではこれまでの練習曲で出てきた曲の譜面を理解したり、運指を考える時に嫌でもフレットの音を理解する必要があるので、そうした場合にはハイフレットの音を一つ一つローポジションや開放弦の音と照らし合わせて覚えるようにしている。 そうすることで、逆に何時でもフレット上の音を置き換える事が出来るようになるのである。
アコギやジャズ系ではコードで覚える事が必須なんだけど、クラシックの場合にはコード表記もないし、コードで覚える事は全くない。
一度に数個の音を押える事があるが、特にコード名として覚える事がない。
常に音符を追うことだし、常に譜面の音符が全てである。
これはクラシックのギター以外でも当たり前で、基本的にはどの楽器でも共通の譜面を使用する事になる。
ただし、ギター専用の記号やギターに特化している記号などもあるので、ピアノ曲をギターで弾く時にはある程度の編曲も必要になったりする。
さて、いろいろ書いて来たけど、独学のデメリットも多々あるが、メリットもそれ以上にあると思う。
独学ならレッスン費用はない。 いろんな教本を買う事になっても、レッスン費用と比較すると各段に安価だろう。 さらに、通う時間も必要ない。自宅での練習時間は変わることはないが、仮にレッスンの講師との相性もあるので、自分が本当に知りたい事を教えてくれるとも限らない。
実際にレッスンに通っていても全く上達しない人も居るし、自分が知りたい事が全くできないと言う人も多々いる。
なので、私は敢えて言うなら、幼少期からプロを目指してギターを弾くなら別だけど、趣味で弾くなら特に講師などに師事することは必要ないだろうと思う。 自分で自分を観察して、自分なりに難度を解決する為にどうするか?を常に考察しながら練習することが大切だし、それが意外と楽しいのだ。
自分で押弦をスムーズに出来るように見つけるのは楽しい作業である。