これで巨大与党に対抗できるのか。つい先週の金曜日の8日、衆院東京8区から「野党統一候補」として出馬すると表明していた「れいわ新選組」の山本太郎代表が11日、出馬を取りやめると発表した。横浜市内の街頭演説で明らかにした。

 山本氏は演説のなかで「結論から言うと東京8区から出ません」「思った以上に混乱が大きくなってしまった。東京8区ですでに活動し、支援してきた人の声を受け止めると決めた」と謝罪した。

 東京8区では立憲民主の支部長、吉田晴美氏が6年間にわたり活動をつづけ、出馬を予定していた。そのため山本氏が出馬を表明すると地元支援者が猛反発、「#吉田はるみだと思ってた」と書かれたプラカードを持った市民約100人が駅前に集まり抗議していた。立憲民主の枝野代表も「率直に言って困惑している」と不快感をあらわにしていた。

 東京8区は、自民党の石原伸晃元幹事長が連続10回当選している選挙区だ(うち2回は8区を含む旧4区)。2012年、山本氏はこの選挙区から立候補して負けている。

■東京8区からの出馬は立憲からの打診

 突然の出馬断念の裏に一体何があったのか。街頭演説で山本氏は「本当は一人で泥をかぶろうと思ったけど」と、枝野氏を痛烈に批判し、これまでの経緯を洗いざらいぶちまけていた。

 山本氏によると、東京8区からの出馬は、立憲からの打診だったという。少なくとも8月9日、8月27日、9月17日、9月24日と4回、話し合いをしたとしている。

 立憲候補の吉田晴美氏が東京8区から降りることについても、立憲サイドからは、吉田氏本人から了解を得たと連絡があったという。山本氏が東京8区からの出馬表明を10月8日にすることも、<それで結構です>と立憲から応答があったそうだ。一方的な言い分ではあるが、どうやら山本氏本人は、すべて話はついたと信じていたようだ。

「お互い、意思疎通が不十分だったのでしょう。でも、やはり野党第1党である立憲の責任が大きいと思う。もし、山本さんが誤解したとしたら、誤解させるような言い方をしたのではないか。いつも立憲は詰めが甘い。どこまで立憲候補だった吉田さんの意思を確認していたのか。吉田さんの支持者を軽く考えていたのではないか。枝野代表は詳細を説明すべきです」(野党関係者)

 これでは野党支持者はシラケる一方だ。