重複の正しい読み方はちょうふくなのは知ってるけど
例えばラジオなんかだとじゅうふくの方がピンとくると思う。
ちょうふくと聞いて思い浮かべる漢字は長福だったりするし^^
むしろちょうふくと読むのはアナウンサーと国語の先生位で少数派では?
慣例的に使われる読み仮名が正しく通じるはず。
「重複」の読み方は「ちょうふく」「じゅうふく」どっちが正しいの? 現役アナウンサーが解説!
「重複」の正しい読み方をご存知でしょうか? 正式な読み方は「ちょうふく」ですが、「じゅうふく」も間違っている訳ではありません。なぜ2種類の読み方があるのか、推奨されるのはどちらなのかなどについて解説します。
「重複」という言葉、日常生活では「ちょうふく」「じゅうふく」と2通りの読み方を耳にします。どちらの読み方が正しいのか、その意味や使い方とともに解説していきます。
■「重複」の本来の読み方は?
「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」です。
日本最大の国語辞典「日本国語大辞典」には「ちょうふく」「じゅうふく」どちらも記載があり、それぞれが初めて使われた文献も確認することができます。
ちょうふく【重複】 杜詩続翠抄(1439年頃)
じゅうふく【重複】 最暗黒之東京(1893)
つまり、「ちょうふく」は室町時代から、「じゅうふく」は明治時代ごろから使われていたことが分かります。
このことから、「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」であり、「じゅうふく」は後世になって登場した比較的新しい読み方だと考えられます。
■「じゅうふく」は慣用読み
この後から出てきた「じゅうふく」という読み方は「重複」の「慣用読み」と呼ばれるものです。
「慣用読み」というのは、正式な読み方ではないものの多くの人が使うようになった読み方のことで、中には慣用読みの方が浸透し、本来の読み方が使われなくなる場合もあります。
例えば「情緒」は、本来の読みは「じょうしょ」ですが、現在では慣用読みの「じょうちょ」の方が一般的です。「じゅうふく」も現在では多くの人が使う読み方です。
文化庁が平成15年度(2003年度)に行った世論調査によると、「重複」を「じゅうふく」と読む人が76.1%と、「ちょうふく」と読む人の20.0%を大きく上回りました。
慣用読みである「じゅうふく」も十分に定着しており、間違った読み方とまでは言えなくなっています。
■「重複」推奨される読み方は?
では、本来の正しい読み方である「ちょうふく」と、多くの人が使うようになった「じゅうふく」、どちらを使うべきでしょうか。
時代に合わせて最も伝わりやすく間違いのない言葉を選ぶことが求められる放送業界を参考にしてみます。
先ほどの世論調査から10年後の2013年に、NHKが放送のガイドラインをまとめた「間違いやすい日本語ハンドブック」によると、
重複 チョーフク △ジューフク(中略)伝統的にはチョーフク
とあり、「じゅうふく」も間違いではないが、伝統的な読み方にならい「ちょうふく」が望ましいとされています。
「じゅうふく」という読み方も一般的には通用しますが、改まった場などでは「ちょうふく」と読む方が良いでしょう。
■「重複」の意味は?
日本国語大辞典には「重複」の意味が次のように記されています。
ちょうふく【重複】
①同じ物事がいくたびか重なること。二重。
②重なり合うこと。重畳。
同じ物事、または同じかどうかに関わらず物事が「重なること」と説明されています。
■「重複」の使用例
「重複」は単体で使う場合と、熟語の一部などとして、他の語と組み合わせて使う場合があります。
単体で使う場合
・注文が重複してしまったのでキャンセルしてください。
・内容の重複がないよう確認が必要だ。
他の語と組み合わせる場合
・国内市場と海外市場に重複上場している銘柄を買った。
・彼は、今回の選挙に重複立候補している。
■「重複」の正しい読み方は「ちょうふく」だけど……
「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」であり、慣用読みとしての「じゅうふく」も広く認知されているものの、公の場などでは「ちょうふく」と読む方がよいでしょう。
ただし、言葉というものは絶えず変化していきます。「重複」の読み方も、10年、20年と時がたつうちに変わっていくかもしれません。なんと読むべきか、ぜひ、その時々で考えてみてください。
■執筆者プロフィール
笠井 美穂(かさい みほ)
福岡県出身。九州大学文学部を卒業後、KYT鹿児島讀賣テレビに入社。退社後は、報道番組を中心にフリーアナウンサーとして活動。これまでの出演は、NHK北九州放送局「ニュースブリッジ北九州」、NHK BS1「BSニュース」、NHK Eテレ「手話ニュース」、NHK ラジオ第1「NHKきょうのニュース」「ラジオニュース」など。
■「重複」の本来の読み方は?
「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」です。
日本最大の国語辞典「日本国語大辞典」には「ちょうふく」「じゅうふく」どちらも記載があり、それぞれが初めて使われた文献も確認することができます。
ちょうふく【重複】 杜詩続翠抄(1439年頃)
じゅうふく【重複】 最暗黒之東京(1893)
つまり、「ちょうふく」は室町時代から、「じゅうふく」は明治時代ごろから使われていたことが分かります。
このことから、「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」であり、「じゅうふく」は後世になって登場した比較的新しい読み方だと考えられます。
■「じゅうふく」は慣用読み
この後から出てきた「じゅうふく」という読み方は「重複」の「慣用読み」と呼ばれるものです。
「慣用読み」というのは、正式な読み方ではないものの多くの人が使うようになった読み方のことで、中には慣用読みの方が浸透し、本来の読み方が使われなくなる場合もあります。
例えば「情緒」は、本来の読みは「じょうしょ」ですが、現在では慣用読みの「じょうちょ」の方が一般的です。「じゅうふく」も現在では多くの人が使う読み方です。
文化庁が平成15年度(2003年度)に行った世論調査によると、「重複」を「じゅうふく」と読む人が76.1%と、「ちょうふく」と読む人の20.0%を大きく上回りました。
慣用読みである「じゅうふく」も十分に定着しており、間違った読み方とまでは言えなくなっています。
■「重複」推奨される読み方は?
では、本来の正しい読み方である「ちょうふく」と、多くの人が使うようになった「じゅうふく」、どちらを使うべきでしょうか。
時代に合わせて最も伝わりやすく間違いのない言葉を選ぶことが求められる放送業界を参考にしてみます。
先ほどの世論調査から10年後の2013年に、NHKが放送のガイドラインをまとめた「間違いやすい日本語ハンドブック」によると、
重複 チョーフク △ジューフク(中略)伝統的にはチョーフク
とあり、「じゅうふく」も間違いではないが、伝統的な読み方にならい「ちょうふく」が望ましいとされています。
「じゅうふく」という読み方も一般的には通用しますが、改まった場などでは「ちょうふく」と読む方が良いでしょう。
■「重複」の意味は?
日本国語大辞典には「重複」の意味が次のように記されています。
ちょうふく【重複】
①同じ物事がいくたびか重なること。二重。
②重なり合うこと。重畳。
同じ物事、または同じかどうかに関わらず物事が「重なること」と説明されています。
■「重複」の使用例
「重複」は単体で使う場合と、熟語の一部などとして、他の語と組み合わせて使う場合があります。
単体で使う場合
・注文が重複してしまったのでキャンセルしてください。
・内容の重複がないよう確認が必要だ。
他の語と組み合わせる場合
・国内市場と海外市場に重複上場している銘柄を買った。
・彼は、今回の選挙に重複立候補している。
■「重複」の正しい読み方は「ちょうふく」だけど……
「重複」の本来の読み方は「ちょうふく」であり、慣用読みとしての「じゅうふく」も広く認知されているものの、公の場などでは「ちょうふく」と読む方がよいでしょう。
ただし、言葉というものは絶えず変化していきます。「重複」の読み方も、10年、20年と時がたつうちに変わっていくかもしれません。なんと読むべきか、ぜひ、その時々で考えてみてください。
■執筆者プロフィール
笠井 美穂(かさい みほ)
福岡県出身。九州大学文学部を卒業後、KYT鹿児島讀賣テレビに入社。退社後は、報道番組を中心にフリーアナウンサーとして活動。これまでの出演は、NHK北九州放送局「ニュースブリッジ北九州」、NHK BS1「BSニュース」、NHK Eテレ「手話ニュース」、NHK ラジオ第1「NHKきょうのニュース」「ラジオニュース」など。