英語で人生修行していこう!

50代で塾講師
独学で英語の上級をめざしています

わが意を得たり/翻訳者で読む<その2>

2013-08-10 19:39:28 | 英語力UP
自他共に認める遅読者の私。

その証拠に漫画も読むのが遅いです。
一字一句ゆるがせにせずに読むのでコミックも案外疲れます(汗)。

最近ブームになっている『探偵ナイトスクープ』のテレビ脚本家でもある百田尚樹氏の『モンスター』。
たぶん早い読み手なら2時間ほどで読んでしまえるでしょうね。
4日ほどかかったなんて、私がどれだけじっくり読む人なのかわかりますよね。

母国語でもこうなら外国語の英語の書いたものなんてもっと時間がかかります。
だから仕方ないのでタスクを自らに課すことになる。
たとえば一日10ページで半月で終わらそう、とか予定を組むのです。

論理的に読むということも1級の長文読解で満点をとりたいと思ったことから
自分に習慣づけを心がけました。
というのも、語学の4つのスキル、聞く、話す、読む、書くのうち
私が一番欲しかったのは、「深く読む」だったからです。
独りでどんどん知識を深めたり広げたりできるのは自問自答できる「読む」ことでしょう?

TIMEを1週間で読み終える課題をやっていたときのことです。
書いた記者のTS、topic sentenceは、一つの段落のどこにあるのか探しました。
こんな作業を3年ほどやると、早くは読めないのも当然ですよね?
でも、深く読めるようにはなったので悪いことばかりじゃないです。
日本語の参考文献に下線を引くように、大切だと思える箇所に同様に下線を引けるようになる。
そうすると、一通り読み終わってからその部分だけを合体させれば
要約、アブストラクトが見えてくるという面白さが味わえます。
あっ、面白くないでしょうか(汗)。

翻訳者の作品を読ませていただくと、自分の世界がすこし開かれるようで
これも地味に楽しい。

たぶん資格試験にパスするためのゲートをくぐった後だから
見えてくる世界が異なって見えるようになったのかな?
ある程度の量を負荷をかけて、熟読or精読したおかげだと思います。

次なる「翻訳者で読む」の翻訳家は中里京子氏。
彼女は先生になるために教育学部社会学科地理が専攻だった方です。
ひょんなことから英会話クラスに通い始めて、そこからイギリスへ留学。
そこで御主人のイギリス人と出会い結婚→来日、現在に至るという具合です。
なんとフェローの先輩にあたります。
とても謙虚で前向きなすてきな女性です。
「煎じつめればご縁と運」
http://www.fellow-academy.com/fellow/pages/tramaga/backnumber/221.jsp

彼女は私が大好きな小説(映画もすてき!)『ピアノレッスン』の翻訳者でもあります。
彼女のご主人との二人三脚の翻訳方式は、そうだよな、そうしなきゃムリだよな、と
うなづくことばかりです。

というのも、5回目の課題文(NYTからユーロの失業率について)で
どうしても文脈から自分の拙訳が文意に沿わないので悶々としていたある日。
塾の仕事の前に英会話の講師でもあるオージー男性講師に尋ねたのですね。

そうすると、いとも簡単に雲が晴れて、まるでミステリーの謎解きのような経験でした。
『あぁぁぁ~、だからか!』という具合です。
こういうのが病みつきになる第一歩なんでしょうね。

熟読の極みまでいかないと味わえない体験でしょうか。
何せ一字一句訳してみても、どうしても訳せない箇所がある。
まぁ、そういうところは普通の読書ではネチネチこだわったりしませんやん??
そこをスルーせずに、解決を図ってみると次に同じ言い方に出くわしたら
いともたやすく読めるようになる訳です。
気分爽快ってこういうこと?

話を戻しましょう。
中里京子さんのこの本は2年前に出版された翻訳本です。
この不死細胞HeLA細胞(ヒーラ細胞)がデジタル定期購読しているNature誌で
最新ニュースに取り上げられていることから検索して読むことにしました。

労働者階級の黒人女性だったHenrietta Lacksが、子宮がんになることから
物語が始まるのです。
癌細胞を研究室で培養しようと当時1950年代、研究者たちはしのぎを削っていました。
彼女から採取されたがん細胞だけがなぜか培養に成功したのです。
そこから名づけられたのが名前と苗字からとった「ヒーラ」。
倫理的な問題がクローズアップされだしたのは、最近のことです。
人種差別的な匂いもありそうなだな。
http://www.fellow-academy.com/fellow/pages/tramaga/backnumber/221.jsp

ところで中里さんの師匠にあたる方、田口俊樹氏は元・高校英語教師です。
https://www.fellow-academy.com/fellow/pages/tramaga/backnumber/bk_1.jsp
田口氏は私と同じやり方で読解力を上げたんだ、と納得しました。

そうなんです!
熟読して、その内容が語れないときちんと読んだことにならないのです。
それともう一つ大切なことは、日本語力の大切さ。
かなり日本語の文献も読まないとそれと比例して英語力は上がらないのですね?
塾生にもいつも話してることズバリです。

そしてもう一つ大切なことは、翻訳家として世の中に作品を出すようになっても
中里さんは田口ゼミにずっと通う生徒でもあるということです。

臨床心理士をしている友人も同じように大学の心理学科の教授から
いまだにスーパービジョンを受けています。
たぶんそうやって妙にぶれそうになるのを
客観的に教えて軌道修正してもらえる「場の力」が必要なのでしょう。

謙虚にかつ大胆に。
そして母国語の力も英語力と同様に磨いていく職人をめざす。
ふぅ~む。
縁の下の力持ちってのは、自分に向いていそうだけど
問題はかなりの分量を毎日こなさないとその高みにいけそうもないってことですね。

とりあえずポピュラーサイエンスのこの『不死細胞~』の中里さんの作品を
じっくりお盆過ぎまで読んでみようと思います。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (大阪の主婦)
2013-08-11 09:13:09
この話、英検1級の読解問題でたしかでてた!
自分が受験した回ではないが、二次に合格したあと見たから2010年秋の試験ちゃうかな~。

しかし。。。暑い。。。。暑すぎ。。。。(泣)

来週もまたお互い元気で~(汗)
返信する
Unknown (あっこ)
2013-08-11 09:46:09
中里氏と田口氏のインタビュー面白かったです。
田口氏は、実は私が2年間お世話になった先生の先輩なんですよね。
直接お会いしたことはないのですが、田口先生の本をいただいたり、メーリングリストにも入れさせてもらってました。

特に日英のトライアルとかで、Nativeに見てもらいたくなるのですが、いつでも当てにできるわけじゃないし、自力で訳すしかないなと思ってます。
でも、実際仕事になったら、なりふり構わずですかねー(笑)

私も熟読は最近よくやっていますが(翻訳とレッスン)、どこまで理解しているのか、謎です~。
返信する
好奇心がアンチエイジング? (sylphide1832)
2013-08-11 11:43:59
マダムへ

カネボウの白斑騒動とか降圧剤の京都府立大などのディオバンにも代表されるように
自分で考えることを放棄してると、足元をすくわれるような事件がいっぱいじゃないですか?
やっぱり自分の身は自分で守るって大切だなぁって思うのです。
メディア・リタラシーってこんなに情報が多い良い時代になればなるほど
必要なことだって思ったりします。
昨日から上記の本を読み始めてるけど、ジョンホプキンス大学附属病院ってのは、極貧の人々の無料治療を施すために創られたというのはびっくり!
裏読み大好きな私は、患者の事前承諾なく担当医が研究目的に病巣細胞を取り放題してきた過去もありそうな???
物事には裏表ってあるんや、と思ってます。
暑さで溶けないように・・・・・・・<祈>
返信する
私、日本語に難ありかも (sylphide1832)
2013-08-11 11:49:59
あっこさんへ

あっこさんの何を尊敬するかって、日本より暑そうなマニラに敢えて×3移住したことです!
もう私には無理・・・・。連日37度ー30度くらいの気温の上下しかない日本でも天候を恨みます。

私が最後の砦風にお願いするオージー男性は日本語能力検定2級をもつ方。
ご多分にもれず奥さまは日本人。
こういう好条件が揃っているので、どうしてもあとここだけ!というところでおなじみの単語がどうしても日本語にできない場合に尋ねています。

課題の内容にかぶるので、詳しくは言えませんが
言い換えてもらって、
『あっ!そうなんか。自分の既成概念が邪魔してたんやな』
というエポック・メイキングな部分満載です。
どちらの語学にも多少の知識がないと多分うまくいかないかもな、と思っています。
職人にならねば、と私は読みに特化していこうと決意しています。
返信する

コメントを投稿