はぁ~~疲れた。
この2-3日、喉風邪というのか咳とがらがら声で音読なんてできない状態。
そんならいっそ読まなきゃあかん本を読むぞ、とこの本(他館から貸し出し)を
読了する決意で取り組みました。
最大の問題は私の経済学の知識のなさだったと思われますが、
もしもっとよく分かったなら、すごく面白い本だったのだろうと思います。
門外漢の私でさえそう思った部分のいくつかをご紹介します。
ます一番興味深かったのは、移転価格操作、reinvoicingという操作で
イギリスという国がどれほどの主導権をとっているかということです。
世界で第一位がイギリス、次がアメリカという順位だそうです。
reinvoicingとは分かりやすく言うと、
「貿易当事者間であらため取り決めた価格を公式の記録とは別にすること」
これで途上国が毎年約1千億ドルの資金損失となっているというのです。
ジャージー島というタックスヘイブンで牛耳られている場所の記述は
まるでスパイ小説か、政治腐敗を糾弾するべく捜査を進める
サスペンスもんを地で行く主人公の気持ちになります。
ジャージー島とは?
・位置 イギリス本土南から160km、フランス沖から16km
・人口 85,000人くらい
・面積 116平方km
・気候 夏で平均気温20度
・公用語 英語
地名・道路などには、フランス語が多い。
・通貨 英国ポンド
英国本土のお金とジャージーで発行しているお金両方が使えるが、
ジャージーのお金は、ジャージー島でしか使えない。
・公用語 英語
地名・道路などには、フランス語が多い。
・切手 ジャージー島で発行する独自の切手がある。本土では使えない。
・政府 イギリス(U.K.) から独立した政府を持ち、党派のない政府。
・産業 金融・観光・農業 (農業はGDPの5% 1996年)
ジャージー島は、イギリス連合王国(the United Kingdom)に含まれない。
1066年のノルマンディーの征服で、
ウイリアム公がノルマンディー公国の王兼イギリスの国王になった時、
ジャージー島もノルマンディー公国の支配下におかれた。
1204年、英国王であり、ノルマンディー公国の王であったジョン王が、
フランス国王に屈した時、ジャージー島およびその他の英国チャネル湾の島は、
地理的には、フランスに近いのにもかかわらず
フランスの領土とならず英国王に忠誠を誓った。
そして1341年、何度もフランスから侵略され続けたジャージー島および、
その他の英国チャネル湾の島は独立政府を持つこととなった。
英国王に忠誠を誓ったこの島は簡単に言えば英国王の所有物であり、
英国属領となっている。
今でもそのままの状態になっている歴史ある島なのです。
ジャージー島は、英国の税法には縛られていないタックス・ヘイヴン(tax haven)・税金避難区域の一つ。
いわゆるオフショア・金融センターになっている。
そして金融業が、島の第一の産業になっている。
金融業が他の産業を追いやってしまったということらしい。
イギリス本土で買い物すると、ついてくるヴァット(VAT)や、
相続税、その他もろもろの税はなし。
*参考資料:ジャージー観光局オフィシャルサイト*
ロンドンの中心部の金融センター街(約2キロあたり)を、
シティー・オブ・ロンドン・コーポレーション、通称シティといいます。
ここのメイヤーになると、それは世界の金融のドンも意味するほどの権力を手に入れられ、
女王陛下も首相も上回るほどの力を持つのだそうな。
ドルが基本通貨になっている以上、
私は金融もアメリカ、ウォール・ストリートが世界の中心だと思っていたので
この本を読んで、実はイギリスのシティが旧帝国主義の頃に植民地としていた地域と
これほど緊密に租税回避をして莫大な額のお金を得ていたとはびっくりした。
アメリカでもイギリスでもこうやってわずか1%にも満たない富裕層が
ほとんど税金を自国に払わずに楽々とお金が入るなんて驚いた。
その一方で貧しい人との格差が開くばかりだと著者は述べている。
TIMEでもなぜ格差が埋まらないかと取りざたされるけど
大富豪たちは自分に有利なように、銀行家、会計士、弁護士などを雇い
ほとんど納税を逃れるような仕組みを次から次へと産みだしているのです。
そりゃぁ格差是正なんてムリだなぁ。
もうすぐ日本も8%の消費税と
明日から医療費の初診料は同じ病院でも別の科だと
そのつど払わなくちゃいけなくなる。
社会保障費、年金の額もどんどん目減りする方向に話が進んでいる。
その一方でこんな不正があると、頭くるなぁ、許せないぞ。
だって納税は国民の義務じゃないですか。
私も毎年確定申告してきちんとなけなしの貯金から税金を納めています。
それをなしで済ますことができるとはなぁ~~。
ケイマンやジャージー、そしてオランダ、アメリカのデラウェァ州などが
例として挙げられていました。
哀しいのは、慈善活動もしているロックグループ、U2のボノが
自分の印税収入に対する納税義務責任を逃れるために
自国ではなくオランダで納税申告の処理をしているという部分でした。
それじゃぁ、彼の慈善活動は隠れみのなの??
そういえば1月の1級エッセーのお題が、「世界から貧困はなくせるか?」というものでした。
私は教育、国連、テクノロジーを選んだのだけど、国連より腐敗にするべきでした。
なぜならこの本を読んで、イギリスやアメリカのような豊かな国のわずかな富裕層が
租税回避をしつつ、貧困に苦しむアフリカ諸国のエリート高官たちや
権力者との影のやり取りで、ますます富を増やしていくということを知ったから。
私はyesで書いたけど、答えはnoだなぁと思ってしまったな。
途上国に先進国と同じ権限を与えている国連より、
OECD[経済協力開発機構]のほうがずっと力があると
この本は教えてくれた。
お金というのは、すごい威力を持つ怖いもんですね。
86年の金融自由化からの申し子のようなこの制度。
多国籍企業と呼ばれる会社はほぼ例外なくやっているのです。
美しいものの裏に潜む悪の部分ということかな。
久々がっつり読書した気分です。
amazonで租税回避に関した本をあと1冊読む予定を立てています。
この2-3日、喉風邪というのか咳とがらがら声で音読なんてできない状態。
そんならいっそ読まなきゃあかん本を読むぞ、とこの本(他館から貸し出し)を
読了する決意で取り組みました。
最大の問題は私の経済学の知識のなさだったと思われますが、
もしもっとよく分かったなら、すごく面白い本だったのだろうと思います。
門外漢の私でさえそう思った部分のいくつかをご紹介します。
ます一番興味深かったのは、移転価格操作、reinvoicingという操作で
イギリスという国がどれほどの主導権をとっているかということです。
世界で第一位がイギリス、次がアメリカという順位だそうです。
reinvoicingとは分かりやすく言うと、
「貿易当事者間であらため取り決めた価格を公式の記録とは別にすること」
これで途上国が毎年約1千億ドルの資金損失となっているというのです。
ジャージー島というタックスヘイブンで牛耳られている場所の記述は
まるでスパイ小説か、政治腐敗を糾弾するべく捜査を進める
サスペンスもんを地で行く主人公の気持ちになります。
ジャージー島とは?
・位置 イギリス本土南から160km、フランス沖から16km
・人口 85,000人くらい
・面積 116平方km
・気候 夏で平均気温20度
・公用語 英語
地名・道路などには、フランス語が多い。
・通貨 英国ポンド
英国本土のお金とジャージーで発行しているお金両方が使えるが、
ジャージーのお金は、ジャージー島でしか使えない。
・公用語 英語
地名・道路などには、フランス語が多い。
・切手 ジャージー島で発行する独自の切手がある。本土では使えない。
・政府 イギリス(U.K.) から独立した政府を持ち、党派のない政府。
・産業 金融・観光・農業 (農業はGDPの5% 1996年)
ジャージー島は、イギリス連合王国(the United Kingdom)に含まれない。
1066年のノルマンディーの征服で、
ウイリアム公がノルマンディー公国の王兼イギリスの国王になった時、
ジャージー島もノルマンディー公国の支配下におかれた。
1204年、英国王であり、ノルマンディー公国の王であったジョン王が、
フランス国王に屈した時、ジャージー島およびその他の英国チャネル湾の島は、
地理的には、フランスに近いのにもかかわらず
フランスの領土とならず英国王に忠誠を誓った。
そして1341年、何度もフランスから侵略され続けたジャージー島および、
その他の英国チャネル湾の島は独立政府を持つこととなった。
英国王に忠誠を誓ったこの島は簡単に言えば英国王の所有物であり、
英国属領となっている。
今でもそのままの状態になっている歴史ある島なのです。
ジャージー島は、英国の税法には縛られていないタックス・ヘイヴン(tax haven)・税金避難区域の一つ。
いわゆるオフショア・金融センターになっている。
そして金融業が、島の第一の産業になっている。
金融業が他の産業を追いやってしまったということらしい。
イギリス本土で買い物すると、ついてくるヴァット(VAT)や、
相続税、その他もろもろの税はなし。
*参考資料:ジャージー観光局オフィシャルサイト*
ロンドンの中心部の金融センター街(約2キロあたり)を、
シティー・オブ・ロンドン・コーポレーション、通称シティといいます。
ここのメイヤーになると、それは世界の金融のドンも意味するほどの権力を手に入れられ、
女王陛下も首相も上回るほどの力を持つのだそうな。
ドルが基本通貨になっている以上、
私は金融もアメリカ、ウォール・ストリートが世界の中心だと思っていたので
この本を読んで、実はイギリスのシティが旧帝国主義の頃に植民地としていた地域と
これほど緊密に租税回避をして莫大な額のお金を得ていたとはびっくりした。
アメリカでもイギリスでもこうやってわずか1%にも満たない富裕層が
ほとんど税金を自国に払わずに楽々とお金が入るなんて驚いた。
その一方で貧しい人との格差が開くばかりだと著者は述べている。
TIMEでもなぜ格差が埋まらないかと取りざたされるけど
大富豪たちは自分に有利なように、銀行家、会計士、弁護士などを雇い
ほとんど納税を逃れるような仕組みを次から次へと産みだしているのです。
そりゃぁ格差是正なんてムリだなぁ。
もうすぐ日本も8%の消費税と
明日から医療費の初診料は同じ病院でも別の科だと
そのつど払わなくちゃいけなくなる。
社会保障費、年金の額もどんどん目減りする方向に話が進んでいる。
その一方でこんな不正があると、頭くるなぁ、許せないぞ。
だって納税は国民の義務じゃないですか。
私も毎年確定申告してきちんとなけなしの貯金から税金を納めています。
それをなしで済ますことができるとはなぁ~~。
ケイマンやジャージー、そしてオランダ、アメリカのデラウェァ州などが
例として挙げられていました。
哀しいのは、慈善活動もしているロックグループ、U2のボノが
自分の印税収入に対する納税義務責任を逃れるために
自国ではなくオランダで納税申告の処理をしているという部分でした。
それじゃぁ、彼の慈善活動は隠れみのなの??
そういえば1月の1級エッセーのお題が、「世界から貧困はなくせるか?」というものでした。
私は教育、国連、テクノロジーを選んだのだけど、国連より腐敗にするべきでした。
なぜならこの本を読んで、イギリスやアメリカのような豊かな国のわずかな富裕層が
租税回避をしつつ、貧困に苦しむアフリカ諸国のエリート高官たちや
権力者との影のやり取りで、ますます富を増やしていくということを知ったから。
私はyesで書いたけど、答えはnoだなぁと思ってしまったな。
途上国に先進国と同じ権限を与えている国連より、
OECD[経済協力開発機構]のほうがずっと力があると
この本は教えてくれた。
お金というのは、すごい威力を持つ怖いもんですね。
86年の金融自由化からの申し子のようなこの制度。
多国籍企業と呼ばれる会社はほぼ例外なくやっているのです。
美しいものの裏に潜む悪の部分ということかな。
久々がっつり読書した気分です。
amazonで租税回避に関した本をあと1冊読む予定を立てています。