こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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オーラルケアの勉強会&咳が止まらない私。

2010-08-10 22:50:20 | 訪問看護、緩和ケア
今日は、めぐみ在宅クリニックでのデスケースカンファレンスは休止になり、代わりに「オーラルバランス」などの口腔ケア商品を扱っているT&K株式会社の方のプレゼンになりました。

一緒に、隣町の訪問歯科の先生も一緒に来て、ちゃっかり宣伝までして帰りましたが・・

ケアマネさんにもちょこっと声をかけたので、20人以上になってしまい、サンプルが足りなくなるということもありましたが、まあ何とかなるもんです。

ちなみに、このオーラルバランスのシリーズは、人工的に唾液に含まれるものと同じ酵素が入っている保湿ゼリーで、水に薄めてスプレーするものから、口腔内に塗って保湿効果を高めるものかで何種類かありました。
そして、発泡剤を使わない歯磨き粉と口腔ケア用のスティックタイプの口腔ケア用ブラシもセットにして、サンプルを頂きました。


ドライマウスのかたで、口腔ケアが不十分で、口の中でバイ菌の膜(バイオフィルム)が張っているいるような方は、このスプレーで保湿しながら、スポンジで取って行くときれいになるということでした。
「口あかない人いるよね。」と後で話していたら、柔らかブラシもくれました。

商品に関しては、「どんな時にどれを使うか、フローチャートにしてくれないと分かりにくい。」と小澤先生が言ったら、「これは薬事法で禁止されているんです。大きな声で、これで感染が予防できるとか、ドライマウスが治るとか、言ってはいけないんです。」とのこと。

なるほど、いろいろあるわけなんですね~。
この商品の売りは、唾液と同じ酵素が入っているので、荒れた口腔内の粘膜の再生がはかれる・・・らしいということが分かりました。(そうは言っていませんが、それらしいお話でした)

けれど、全部そんな感じのお話なので、いまひとつはっきりしたプレゼンではなく、出席者の多くは、あとで「商品説明に終始したね~」と話していました。
一緒に来た歯科医の先生も、どうせ来たのならもう少し口腔ケアについて具体的な話をしてくれるのかと思ったら、宣伝だけして帰りました。
まあ、業者さんにお願いしたんだからそうなりますよね。
でも、ドライマウスの患者さんはたくさんいらっしゃいますので、サンプル試させていただきます。
化学療法後の口内炎はとても辛そうですから、少しでも楽になるといいですね。

ちなみに、個人的には和光堂から出ている、口腔ケア用のウェットティッシュは、味もさわやかでいいです。
あれを指に巻いて、口腔の中を拭くとすごくすっきりします。


ところで私の咳ですが、5日ほど前からまたひどくなって、家でも出るようになってしまいました。
エアコンの近くはヤバいです。冷たい飲み物飲むとしばらく止まりません。
一度出始めるとしばらく止まらないので、とても困ります。
そのうち、オェっとかなるし・・・
先週末アスべリンとかユニフィルLAとかトン用でリンコデとか出たけれど、全然効果なし。
採血の結果CRPもWBCも正常値。マイコプラズマも否定され、あと百日咳の検査がまだ残っているけど・・

で、「やはり気管支の過敏性が亢進しているんですね。このままだと、気管支喘息に移行しちゃうといけないから、ステロイド使ってみませんか?」って。

ステロイド・・・ウーン。

私の母は、40そこそこで、近所の開業医に喘息発作のたびに大量にステロイドを使われて、ステロイド依存性の喘息になって、最後はDMや骨粗しょう症も合併して亡くなっているので、すごく抵抗があります。

「2週間で徐々に減らして切りますから。30mgから始めます。」

といわれ、ステロイドは使い方さえ間違わなければ効果絶大だということも分かってはいるけれど・・。
第一、本当に治るのかなー??

一度は待ってもらったけれど、これ以上続くと、仕事にも支障が出てくるし、とにかく不愉快なので、使ってみることにしました。

ジスロマックもでたし、なんか本当に病気になった気分です。

今度こそ、ちゃん止まるかな??

顔見知りの先生のところだと、恥ずかしいし、なんか話がそれちゃいそうで・・
因果な商売です。
わざわざ、あまり顔を知らない先生のところに行っています。
Yamamoto先生プレドニン大丈夫ですか??

在宅呼吸ケアセミナー報告4の続き

2010-08-09 23:27:56 | 訪問看護、緩和ケア
squeezing(呼気介助)

1.体位排痰法と組み合わせる。
2.呼気の間に胸郭の動きに合わせて圧迫する。
3.接触面を大きめに取る。
4.局所的な圧は避ける。
5.最大吸気位から徐々に圧を加える。
6.呼気終末に圧が最も強くなるようにする。

基本の4つの形です。

肺上葉のスクイ―ジング  第4肋骨から上が肺上葉になる。
             両掌を重ねて置き、吸気の後に自然に呼気に合わせてゆっくり圧迫し、
             最後に一番圧をかけます。

中葉のスクイ―ジング   45度から60度側臥位で行います。  
             第4肋骨から下に片方の掌、乳房から脇に下がって第6肋骨にも掌。
             両方の手のひらで挟むように、呼吸に合わせて圧迫。

外側肺底区スクイ―ジング 側臥位で脇の弟8肋骨が肺の一番下あたり。
             胸郭を挟むように前後から、胸郭のお動きに合わせるようにやや引き下ろす感じで。

後肺底区スクイ―ジング  背中で第10肋骨、脇で第8肋骨が、肺の一番底。
             うつぶせで行います。

とはいえ、読んで分かるようなものではなく、何回か講習を受けるのがベストです。
私は、宮川哲夫先生に実際やってもらったことがありますが、呼吸がとてもらく~にできます。
気持ちいい~って感じですね。

または、知っている人に実際の動きをやってもらいましょうね。
胸郭は、直線的には動きませんので、無理に圧を加えると危険です。
COPDの人など、長いこと呼吸器疾患を患っている人は、特に胸郭の動きが悪く、硬いので注意します。


ADLトレーニングの際は、腹式呼吸をとりいれながら行います。

歩行や階段昇降時は、1・2で吸い、3・4・5・6で吐き出します。(吐くときは口すぼめで)
この6拍にリズムで運動をすることで、より楽に動くことが出来ます。
特に階段や重いものをとるなどの動作は、この呼吸で行います。

運動療法は、ちょっと「息苦しいな」くらいで行うのが効果的だそうです。
頻度としては、最初は5分くらいから始めて、週3回以上なるべく継続します。
運動内容は、病状によって異なりますので、主治医と相談の上行います。

でも、ベット上での上肢や下肢のの挙上、腹式呼吸などはなるべく早い段階から行うほうがよい良いです。
足元にジムボールを置いて蹴るなども、とてもよい運動です。
実際患者さんにやってみましたが、結構足に力が入って、だらだら足踏みするより、本人も楽しいみたいでした。
また、ペットボトルを持っての万歳も効果的です。
腹筋に関しては、仰臥位で膝を立て、頭を起こして自分のおへそをみる。3秒キープで戻す。

運動中の呼吸困難感は、呼吸困難感が多少強いくらいまでで行うのが良いようです。
またパルスオキシメ―ターでの酸素飽和度が
90%で休息85%で酸素投与の検討  となっているようです。
が、実際はみなさんもっと思いっきり下がりますよね。
しかも、低酸素になれちゃって、けろっとしてたりしますね。

以上の事などを集大成して、石川 朗先生が作ったのが「長生き呼吸体操」です。
約5分のビデオテープですが、ラジオ体操を6/8拍子に編曲して、「1・2」で吸い、「3・4・5・6」
で息を吐きながら、老人でも呼吸器疾患があっても出来るように仕上げてあります。
実際、これをとりいれての研究チームが良い結果を出しているみたいですよ。

今の呼吸機能が良くなることは難しいけれど、現状を維持し、呼吸困難感が軽減されることでADLが
拡大するといわれていました。
これは、医学の友社で、2000円で売っています。
悲しいことにVHSでした・・。

というわけで、これくらいで報告は終了します。
変なこと書いていたら、駄目だしお願いします。

おしまい。


在宅呼吸ケアセミナー報告4

2010-08-08 22:46:17 | 訪問看護、緩和ケア
木曜日から家族でいくキャンプの準備で、落ち着いてPCの前に座れません。
夕方から、つきみ野サティにあるスポーツオーソリティに行たり、物置ひっくり返したりしていました。

ついでにサティのケーキ屋さんで美味しそうなスウィーツ買ってきました。



生ドーナツって書いてありましたが、要はスポンジ生地の上にババロアが乗っているドーナツ型のケーキです。
日向夏とチョコバナナとストロベリーとブルーベリーです。
日向夏は適度な酸味で美味しかったですよ~。


結構ひっぱていますが、呼吸理学療法についてです。


その前に、呼吸器の話って、PC関連と同じでやたら専門用語が出てきます。
めっちゃ分かりずらいと思いますが、だからと言って日本語で書いても難しいんですよね・・・。
たとえば、VTは一回換気量をさしますし、SPO2はパルスオキシメーターで測定した動脈血酸素飽和度 の事です。

で、面倒なので「呼吸器関連用語集」をみて、ご確認くださいませ。

コンディショニング:

リラグぜーション
呼吸補助筋の活動を抑制させるなど十分な弛緩をはかる。

これは、大きな枕を抱えて前傾し、身体を預けるようにしたり、半座位でもたれかかるようにしたり、呼吸が楽な姿勢をとります。

呼吸法トレーニング


横隔膜を動かす腹式呼吸:仰臥位で、上胸部と上腹部に介助者の手を置き、上胸部の動きを抑制しながら横隔膜の動きを促通させる。まず膝を軽く立てるか、膝の下に枕を入れ腹筋を弛緩させる。介助者の手を上腹部に軽く当てる。口から呼気より開始し、呼気を誘導するように上腹部を静かに圧迫し十分呼出させる。吸気は鼻から行い、吸気の始まる瞬間に横隔膜に軽く圧迫を加えるこの圧迫に抗して吸気を行わせる。このとき胸の手が動かないことを確認する。吸気相の間に軽い断続的な圧を加えることにより効果的である。

    吸気補助筋の活動が抑制し、横隔膜の活動が増加する。
    一回換気量が増大し、換気効率が改善し、呼吸仕事量が軽減する。
    下側肺の換気が改善し、換気血流比が改善する。
    Paco2が減少し、Pao2が上昇し、息切れが軽減する。
    長期訓練により、MMV(最低分時換気)が改善する。
    運動耐容能改善する。

口すぼめ呼吸:鼻から吸った息を、蝋燭の火を口をすぼめて吹き消すように、細く長く息を吐く。

    気道内圧の上昇による気道虚脱を防ぐ。
    RR、VE、FRCが減少し、VTが増大する。
    肺局所不均等換気が改善し、Sao2が改善する。
    呼気流速、非弾性抵抗がが減少し、呼吸仕事量が改善する。
    呼吸困難感が改善する。
    運動耐容量が改善する。

 と、難しいことが教科書には書いてありますが、とにかく呼吸が楽になるし、動けるようになるよ。ということです。

コンディショニング:

胸郭可動域トレーニング


シルベスター法:背臥位で膝を軽く立てさせる。一側の手で対象者の両前腕を持ち、他側の手は下胸部全面に置き固定する。深呼吸をさせ、両腕を頭上に上げ、呼気時に下制する。
要は吸うときに万歳させ、吐くときに下げるというわけです。

肋骨の捻転:仰臥位で術者が肋骨をねじるようにストレッチする。

呼吸筋ストレッチ:首や肩や肋間筋などをストレッチする。

体幹の捻転:呼吸体操など

棒体操

コンディショニング:排痰法

以前は肺の区域ごとに12体位が設定されていましたが、現在は基本となる5体位を覚えておけば、体位変換が難しい患者さんでも大丈夫です。

ずっと仰臥位で寝ている患者さんは、重力で痰が肺の下側に溜まります。
つまり背中側に溜まった痰を出すためには、ひっくり返せばいいわけで、腹臥位や側臥位、シムス位などが有効になります。
ただ側臥位も20度の角度で左右交互にすることが好ましく、合間に仰臥位は入れないほうがよいそうです。

また、仰臥位では、なるべくベットアップをして、起こしておくことも重要です。(でも、褥瘡には十分気をつけてくださいね。)

体位:背臥位(仰臥位)、腹臥位、側臥位、シムス位(前方へ45度に傾けた体位)、後方へ45度傾けた体位。

Squeezing:排痰体位をとり、気道分泌物の貯留する胸郭を呼気時に圧迫し、吸気時に圧迫を開放する手技。
痰の貯留が多い時や浅い呼吸、胸郭可動域が少ない時に有効。
肋骨骨折のある人、手術創がある人、不整脈のある人は注意。

ということで、スクイ―ジングの手技については、次回にします。

ちなみに、この辺は看護職の方のおさらい目的で書いています。
スクイ―ジングは、呼吸筋の動きに合わせ、胸郭を圧迫していく手技なので、医療職でない方は実際にはしないでくださいね。
腹式呼吸や、口すぼめ呼吸は一緒にやっていただいて問題ないです。
   

在宅呼吸ケアセミナー3 続き

2010-08-06 23:53:04 | 訪問看護、緩和ケア
ひえ~夕方から居宅のご利用者さんを見に行き、ちょっと心配だったのでO先生に突然の往診をお願いし、ステーションに帰るともう一軒の緊急訪問。
9時に帰宅してすぐに、隣に住んでる一人暮らしのおばちゃんが、血圧上がったから見てほしいと電話。
そこから帰って食事をとって、やっとPCを立ち上げたらまた緊急電話が・・・

昨夜の緊急訪問から始まって、今回の当番は大当たりみたいです。

というわけで、嚥下の続きです。

胃瘻の話の途中でした。
胃瘻に関しては、ケースバイケースで、本人やご家族とともによく検討し、いろんな選択肢から選んでいただくということですね。
胃瘻を作った人のなかには、なぜか嚥下機能がいつのまにか改善しているひとも結構います。
うちのステーションでも一人完全に離脱して胃瘻を抜いた方がいます。

口腔機能の状態によって誤嚥の有無が左右されます。

たとえば、ご飯を口に入れて咀嚼して飲み込む時、ご飯をどろどろにして、さらに喉頭蓋の手前で食塊ができるかどうか。

それが出来れば飲み込みやすい状態。

けれど口腔の機能の悪い人は、喉頭蓋の手前まで来ても、ご飯は粒粒が残ってバラバラになり、塊に出来ないので飲み込みにくい状態になります。

そのため、その人の機能がどれくらいかをみきわめて、その人にあった食事形態で摂取する必要があります。

大きな病院では、嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)を行って、嚥下機能検査がが行えますが、まだまだ一般的ではないようです。
うちのステーションでは、耳鼻科の往診医にお願いして、ファーバースコープを持っていって、自宅で簡単な嚥下機能検査をお願いしています。
内視鏡で見ながら、お粥などを食べてもらって、直接飲み込む時の喉頭蓋の動きや声帯の動きなどをみてもらいます。

ちなみに、COPDの患者さんは、嚥下のタイミングが取れないのだそうです。
また、認知症の87%~93%に摂食嚥下障害があるそうです。
そして、統計的に 好き なものは、誤嚥しないそうです。ほんとかな?

それらをふまえて、食事介助は
1.先行期 声かけ、正しい姿勢、嗜好、マッサージ
2.準備期 食事内容の決定
3.口腔期 交互嚥下、リクライニング
4.喉頭期 食事の工夫、姿勢、口腔ケア、呼吸リハ
5.食道期 ゼリー嚥下、姿勢、半固形化

これらを考えながら、それぞれにあった方法を探します。

ところで、パーキンソン病のかたで、舌がまっ黒くなっている人見たことありませんか?

なんとパーキンソン病の治療薬Lド-パと緩下剤のカマを一緒に飲むと真っ黒になるのだそうです。

ということで、ものすごい睡魔に襲われているので終わりです。

明日は、呼吸リハをおさらいします。

在宅呼吸ケアセミナー報告3

2010-08-05 22:49:16 | 訪問看護、緩和ケア
嚥下ケアについてです。

講師の野原先生の言葉をお借りすると「病院から在宅へ!キュアからケアへ!」
ということで、「嚥下訓練から嚥下支援・介助へ!」となります。

嚥下は5期に分けられます。

1.先行期 食物の認知
2.準備期 食物の形成
3.口腔期 咽頭への抽送
4.咽頭期 食堂への抽送
5.食道期 胃への抽送

まず、食事を食べるときには、しっかり覚醒している状態で、これからご飯を食べますよ、ということを、声をかけながら
しっかり認識してもらいます。
うとうとした状態では、脳から命令がちゃんと伝わりません。

以前、日本一ご長寿だった「かまと」おばあちゃんが、二日寝て二日起きる生活の中、寝たままなのに、饅頭一個口の中へ入れられてるのに、もぐもぐ寝たまま食べていたのには驚きました。
「なんて怖いことするんだろう・・」とおもいましたが、本人むせもせず食べていましたね。
あれ、家族がやっているので、問題になりませんが、私たちはちゃんと覚醒させて、声をかけながら介助しないとまずいです。

つぎに、食の形態を、口の機能にあったものにします。

歯がない人は、歯がある人の3分の一の咀嚼力しかないそうです。
ワカメや海苔などは、上顎やなどにピタリと貼りつき危険です。

とろみ剤の紹介や使い方、刻んだほうがいよいのか、ミキサーかけたほうがよいのか、よく観察してご家族に伝えます。

ミキサー食でもとろみの水分でもむせ込むようになり、そのあとに発熱を繰り返すようであれば胃瘻の話も出てきます。
gitanistさん もブログで取り上げていましたが、
最近、〈胃瘻イコール人権を無視した悪〉みたいに言われていますね。

でもでも、ケースバイケースで胃瘻のおかげで逆に食味を楽しめることもできるんです。
嚥下機能的には、かなり悪くてとても経口での接取は難しい方でも、胃瘻を作ることで大好きなもの少しだけでも味見することができます。
食べられないストレスを緩和することもできますし、私のご利用者さんは、一旦作ったものの、その後経口摂取可能になり、水だけ胃瘻から注入出来て脱水にならなくて助かっている人もいます。

と書いたところで、緊急訪問をしてきました。救急車をお見送りして帰宅。
今シャワー浴びて、AM1時です。
この続き、また明日にします。



腹の立つ話があって・・

2010-08-04 23:39:37 | 訪問看護、緩和ケア
在宅呼吸ケアセミナー4は、ちょっと休憩で、腹の立つ話を一席。

先日、ご利用者さんが某老健にショートステイに行きました。

この患者さんは、慢性の自己免疫疾患で、ほとんど寝たきりの方ですが、意識障害やひどい認知は無く、自分で意思表示はしっかりできる方です。

ただ、長い闘病生活で不定愁訴も多く、息子さんともども時々パニックを起こしていました。
パニックと言っても、話を聞いたり安心させてあげればいいわけで、このところは穏やかに過ごされていました。

ある日、ショートステイ先で急に胸が痛くなり、胸が苦しい、痛い!病院に連れていって!と言いだしました。

不安からくる不穏状態となったようで、ちょっと騒いじゃったらしいのですが、施設から息子さんに夕方電話がかかってきました。
『お母さんが騒いでいます。10分あれば迎えに来れるでしょう?!待っててあげますから早く迎えに来て下さい!』

そんなこと急に言われて、車もないし夕方6時過ぎに一人で10分以内に連れに来いって・・・無理ですよね。

主治医のクリニックに息子さんからどうしたらよいかと電話が入り、先生たちも激怒。

何なの?あり得ないでしょう。そんな話。

で、先生が心電図持って後で行くとか、クリニックのナースが迎えに行こうかとか、大騒ぎになったそうです。
なぜか、うちのステーションには電話はかかって来ず、あとからクリニックのナースと息子さんから聞きました。

結局すぐには行けるわけないと言っているうちに、『しょうがないので、特例で施設のクリニックのドクターに診てもらいます。特例ですから。』
と何度も釘を刺され施設のドクターが御高診下さったそうです。

いわゆる心疾患の所見は無いから、心配ないだろうということで、翌日の退所まで置いてもらうことになったそうですが、驚いたことに、翌日迎えに行ったら施設のスタッフは冷たーい感じで、おむつもいつから変えていなかったのか、ぐっしょりのままだったそうです。

「こんなことで騒がれたら、もうお預かりできません。」みたいなことを言われたそうですが、こっちこそこんな施設は二度と使わない!とは言えず、悔しい思いで帰宅しました。

その後、病院での検査で、炎症性疾患のための、胸骨痛と言われ、ロキソブロフェンで改善したそうです。

介護者が、一緒にパニクッてどうするんだ。って話です。

ここは、もともとちょっと手がかかるようになると、『うちではもう、お預かりできません』とか『そんな処置は出来ません。』とか言う事で有名な施設なので、『あー。またか―。でも今度はひどすぎるよね~』と言う話で盛り上がってしまいました。

本当に施設って、モチベーションにも介護力にも雲泥の差がありますね。


そういうわけで、呼吸器ケアセミナー報告は後日に持ち越しです。

昨日の記事のコメント、再びY先生のワンポイントレクチャーで、目からうろこの話がありますので、お見逃しなく。



在宅呼吸ケアセミナー報告3

2010-08-03 23:30:53 | 訪問看護、緩和ケア
報告3とはいえ、今からだとあんまり書く時間がありません。

ちなみに、在宅ケアセミナー報告2のコメントを読んで頂くと、Yamamoto先生が、NPPVやPEEPについての説明をしてくれていますので、興味のある方コメントもいっしょに見て下さいね。

誤嚥について
気管に唾液や食物がはいることをいいます。
ひどい時は、肺炎になります。

実は私は若いころからむせやすく、自分の唾液でもよくむせます。
もちろん食べ物でもよくむせます。

今のところ、ちゃんとむせる事が出来るので、肺炎にはなりませんが、年を取ったらすぐに肺炎をくりかえし、胃瘻コースかもしれません。


この肺炎ですが、日本の80歳以上の男性の死因のトップです。
85歳以上になると、男女ともにトップになるそうです。

ちなみに、男性の方が誤嚥しやすいんだそうです。

老人が、にこっと笑った時、上の歯が見えるのが女性、下の歯が見えるのが男性に多く、奥歯までみえるような笑い方の人は誤嚥しにくいそうですよ。

そういえば、今日も嚥下機能の悪い方の訪問で、「笑って見て」とお願いしたけれど、どうしても口角をあげて笑う事はできませんでした。
このところ、急激に全身の筋力の低下や、嚥下機能の低下、構音障害がすすんでいるかたです。

アカンベーも出来なくなっており、ほとんどソファーでうとうとしています。
使わなければどんどん落ちて行く・・・
このままでは、この夏が終わるころには、ベット上の人になってしまうかもしれません。
なんとか、もう少し本人が苦痛なく、自然にリハビリができて、自分で頑張る気持になってくれないかと思っています。


このセミナーの講師の先生が言っていました。
「在宅では、嚥下訓練はありません。嚥下支援・介護が必要なんです。!」

ふむふむ、そうか。
私も何だか嚥下訓練って言葉に抵抗があったのですが、やっぱりそういうことですね。


誤嚥性肺炎では、口腔内の清潔が重要であることは、よく言われています。

口腔内に存在する菌は、500種類あるそうで、ちゃんと口腔ケアをしていない汚い人のデンタルプラークは、大便と同じ位の雑菌がいるそうです。

ある研究で、歯科衛生士とヘルパーさんにそれぞれ口腔内の検査をしたら、歯科衛生士さんにはほとんど問題となる菌はいなかったけれど、二人のヘルパーさんから緑膿菌が検出され。といっていました。
歯磨きの仕方や頻度にもよると思うのですが、毎日の口腔ケアには十分気を使わないとだめという事ですね。

介護者は、直接患者さんとお話しをしたり触れたりするので、自分たちのケアもきちんとする必要がありますね。

また、寝たきりのかたに口腔ケアをするとき、水が喉の奥に流れて行ってむせってしまったなんて事もあるとおもいます。
絶対これは避けたいものです。

こういうときは、口腔用の保湿ジェルでぬぐい取るようにするときれいになります。

スポンジの付いたスティックもきれいになります。

と、今日は遅くなったのでこの辺にします。
次回は、実際の嚥下の支援についてご報告します。


在宅呼吸ケアセミナー報告2

2010-08-02 09:22:34 | 訪問看護、緩和ケア
このセミナー医学の友社でやっている奴です。
かなりお高いのと、東京まで出るのが億劫で今までスル―してきましたが、興味ある内容だったし最新情報は把握しとかないとまずいので、自腹を切っていってきました。
やっぱ、資料も製本されてるし、内容も濃かったので、時々利用しようと思いました。

場所はお茶ノ水だったのですが、行ってみれば結構近いんだ~って感じですね。
横浜から東海道線で4駅でもう東京だし、中央線のりかえて2駅でお茶ノ水・・。
なんか、ニコライ聖堂とか、神田明神とか史跡なんかも多くて面白そうな街でした。
たまには、東京の散策も楽しそうですね。

それに、電車に乗ると本が読めるので嬉しいです。
今回は、今まで読んだことのない小池真理子さんの小説を手に取りました。
本中毒の夫が、作家もジャンルもお構いなしに読んでいた本の中から、適当に抽出しました。
私の場合、読んだことのない作家の本なかなか手がでないんですが、いろんな人読んだほうがいいですね。

今回はこれ。

題名でちょっと敬遠してたのですが、読み始めたらするすると話の中に引き込まれてしまいました。

文章の美しさや、深い海の底を覗くような精神描写、悲しく官能的な性描写。
三島由紀夫の死と究極的な美を求めながら、いったいどこにたどりつくのだろうかとドキドキしながら、あっという間に読んでしまいました。


で、セミナーの話に戻ります。

呼吸障害には、大きく二つの分けて、肺そのものには問題はないけれど、神経難病や頸椎損傷などのように呼吸筋に障害があったり、胸郭の形状や動きが抑制されてたりするものと、肺自体が酸素交換できない慢性の肺疾患があります。

両者とも低酸素にはなりますが、前者はCO2が上昇しない1型、後者をCO2の上昇を伴う2型の呼吸不全と言います。
(これから書くことに間違いがあると、Yamamoto先生からダメ出しが出ると思います。
病状が進行すれば、これらは混合型となります。

2005年の呼吸ケア白書によれば在宅酸素療法の48パーセントがCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で、次いで肺結核後遺症が18%その次に間質性肺炎や膠原病、塵肺などが15%、肺がんが5パーセントその他もろもろ・・となっていました。

このなかで、自分で呼吸が出来なくて、全部機械に頼って呼吸するのが調節呼吸です。
重度の神経難病や脳障害などなどのかたが、気管切開をして人工呼吸器をつけているのがこれです。

でも、自発呼吸が弱いけれどあったり、睡眠時無呼吸症やCO2がはけずにどんどんたまっちゃう人には、補助換気の機械がつけられます。
これは喉を切ることがなく、鼻にマスクをピタッと張り付けて、不足する呼吸を補うために機械が圧をかけて換気を補助するものです。
これを非侵襲的陽圧換気(NPPV)といいます。
夜、寝るときだけこのマスクを装着することで、肺胞が開くのでCO2の溜まりやすいかたは、ちゃんと換気ができるようになります。
この時、肺胞を2段階に分けて圧を加える(PEEP)ものが重圧式補助呼吸バイパップといいます。

これは、気管切開もなく脱着も簡単なので、在宅でかなり普及してきていますので、ケアマネさんもよく見かけるのではないでしょうか。

これで問題になるのは、マスクが鼻やおでこに当たって、赤くなったり潰瘍が出来たりする事もあるということです。
こういう場合は、フィッティングがうまくいっていないので、担当のナースや業者の人に調節してもらいます。

今回のセミナーでああやっぱり・・と思ったこと事は、北海道でのアンケート結果でしたが、『小児のNPPVの普及に関して、母親が幼児期より種々の介護を行い〝育児″の延長線上で継続的に対応し、新たに医療福祉サービスを選択していない。』というものでした。
私感としては、若いお母さんより、ある程度高齢のお母さんにその傾向が強いように思います。
大切に育ててきたお子さんですから、病状が悪化していくことは受け入れがたい話ではあります。
そのためか、病状の進行に伴う環境調整であったり、新たなサービスであったり、医療であったりに抵抗を持つかたがいらっしゃいます。もちろん選択する権利はあるのですが、固執しすぎて患者さんが苦しんでしまうことがあるので、そこをどうケアするかが課題になってきます。

というところで、思い起こせばウン十年前、私のいた病棟ではベネットMA1とかいう、中型の冷蔵庫くらいの大きさの人工呼吸器がありました。でっかいし、大きな音はするし、回路は面倒だし・・
今の呼吸器はシンプルだし機能美がありますね。
でも、こちらが追いついていきません・・・。
その都度お勉強しないとね・・。
今回はこの辺で。
             続く。


在宅呼吸ケアセミナー報告1

2010-08-01 20:49:50 | 訪問看護、緩和ケア
今日のセミナー、面白かったです。
札幌医科大学保健医療学部理学療法科の準教授である、石川朗先生の呼吸理学療法の講義も、誤飲・嚥下障害の講義をしてくれた大阪大学歯学部の野原先生のお話も、とっても興味深いお名はしでした。

刀根山訪問看護ステーションの管理者長浜さんの在宅呼吸管理の実際は、呼吸器患者さんを中心に見られてきた工夫などが聴けました。

すごくおもしろかったので、何回かに分けてご紹介しますね。

昨今騒がれているCOPDの患者数は、WHOによると1990年に死亡順位が6位であったものが、2020年には3位になると予測されているそうです。
しかも、4位が下部呼吸器感染症(インフルエンザ)5位が呼吸器癌、7位が結核と予測され、死亡順位の上位を呼吸器疾患が占めてしまうようです。
さらに、冠動脈疾患や脳血管障害などの死亡率が軒並み下がってきているにもかかわらず、COPDだけが上昇が止まらないんですよ。
怖いですね~。

現在日本におけるCOPD有病率は11人に一人で男性は女性の3倍だそうです。

今日も元気だ。たばこがうまいという「いこい」の宣伝をJTがおおっぴらにやっていた頃の若者が、今60台となっていて「年だから階段上がると息切れがするよ~」なんて言って、その実COPDのベースが出来上がっているなんて話を聞くと、ホタル族の私の旦那も、そこに近ずいているのかと思ってしまいます。
実はCOPDのベースを持っている人の95パーセント以上が診断を受けていないのだそうです。

落語家の歌丸師匠は一日50本を50年吸ってきたそうで、楽屋では酸素を吸っているそうです。
また、和田アキ子さんは、一晩にマージャンしながら煙草を1カートン吸っていたといい、COPDの診断を受けやっと禁煙をしたそうです。
おそろしい話ですよね。
今でも、JTはイベントがあると煙草のキャンペーンに喫煙所を提供しているそうで、これってどうなんでしょうね~


次に、HOTについてですが・・

一応おさらいと言う感じでご報告します。

みんな長ーいチューブを使っていますよね。
これは内径が太いタイプの塩ビのチューブで25メートルまでが問題なく使用できるそうです。
これ以上長いと酸素流量の低下や、チューブにつまずくなど生活に支障もきたします。
勝手に細工してそれ以上長くしたり銅管につなげたりする人がいるそうですが、危険を伴いますので、業者さんとよく相談が必要です。

日常生活動作で、患者さんが一番苦しいと思う動作は入浴です。
それも、頭を洗う動作が一番苦しいと言われています。

手を挙上しての繰り返し動作や、下肢を抱え込むようにして前屈するなど、一番苦しい動作となりますので、環境を整えるひつようがあります。

シャワーベンチはもちろんのこと、洗い桶を台の上に置き前屈しないようにするとか脱衣所にも椅子を置くとか、服を脱いでから身体を洗う順序を短い導線でするなどは、みなさん考えていることですよね。
よく腰湯までにして、肩までつからないようにとか言われてましたが、足を延ばしてゆったり入れる浴そうでは、問題ないそうです。
訪問入浴もそうですね。みんな喜んでいますよね。

また、以前からHOTを使っている人は、加湿器に水を入れていますが、現在は3ℓまでは加湿の水は入りません。

カニュレから空気もどうせ一緒に吸うので、部屋の湿度をあげるほうが効果的です。

酸素濃縮器を置く場所も十分考慮が必要です。


明日は、在宅人工呼吸器とか、誤嚥とか、呼吸リハについてのおさらい&ご報告をします。