私は、「ピアノ」とキーで打ち込んで、ユーチューブ動画を調べる事が最近多く、そこで、或る、二人の女性、しかもどちらも「アラフィフ」を名乗る、代表的な、各々女性の弾いている楽器としてのピアノに俄然、注目した。
その一人は、以前、出世した友人たちの食事会だかに参加して、自分の趣味がピアノだと言う。それに対して、そのマダムの一人が、「あの、同じ友人の人よりどうせ下手なんでしょ」と言われてモヤモヤする、という話だった。
その同じ友人と言うのが、音楽大学の大学院位まで出たらしく、そんな人と比べられても困り、それが元で、長年、ピアノが趣味です、とは言えない程、トラウマになった、と言う。
これだけだと、確かに可哀想、とも思える。
しかし、その部屋に置いてある、ピアノに目をやれば、ヤマハのハイブリッド式の、立派なアップライトのピアノが部屋に鎮座している。これは、経済的にもご立派な家庭だなと、想像がつく。
そして、その私だって買えないような高級そうなピアノで、六、七年使い、今度は、何と、それと引き換えに、グランドピアノを、百万円単位で買おうとする。
ここまで来て、私には、私の経済観念が安っぽい、貧乏風なのであろうが、そこまで行くかあ、との驚き仰天がまずあった。まだ、自動車なら分かるが趣味に?と。私が古臭いのだろう。
その、動画の、高級グランドピアノの購入の場面の紹介では、実際にお店に行き、今は、ピアノの第何回目のピアノ・バブル・ブームの時であり、引きこもり需要で、高級・高価なピアノを求めに先程も、中国からのバイヤーが来ていて、とにかく、飛ぶように売れるのだと言ってのけた。
そうして、彼女は、おそらく聞き逃してしまったが、中古で、99万円だか、百万単位の、今度は音が気に入った、カワイのグランドピアノを買う。
その模様が、動画で流された。
もう一方のアラフィフさんは、こちらは倹約家というか、前にも別の楽器会社の電子ピアノを所有していたが、こんどは、コルグの、一応88鍵の、三、四万円の電子ピアノを購入する。
その、モノを大切に扱う、扱い方は、その方の心の内面の楽器愛を表していて、そんなに私から言わせれば、高くはない方だろうなあ、とは思うものの、ピアノに対する愛情が半端なかった。
何と、その、それから、コルグのピアノ到着の開封の儀を動画撮影してから、もう、五、六年経つのに、その女性はずっと一つの楽器を愛し続けていた。いつも、その女性と、その電子ピアノは仲良し、一緒、一体なのだ。
どちらが、楽器を大事にして、心の底から、宝物のように扱い、心得ているか。否、これは、安易に比較してはいけない。しかし、これは私の、お金の使い方、その桁違いの額に対する、偏見や妄想も大いにあろう。
しかし、こと、楽器一つの話だが、私には、その、一台の楽器にしても、すぐに十年経たずに手放して、更に高級な楽器を買う人も、それはそれで、日本の経済を回しているのだから、良しとする。
けれども、だ。私は、庶民派でありたいと自身、望んでいる。私はその、傾向性、系統から言えば、すぐに楽器を乗り換える私ではあるが、しかし、その後は、一定数的に、固定する。つまり、もう買うのを止める時が自分でも来るのが判る。金銭的にも続かない。余裕があっても買わない。
それら、グランドピアノにしろ、電子ピアノにしろ、各自、大事に扱ってくれれば、私には文句の付けようがない。それ位の心意気、感覚だ。
だけれども、その、安値の、三、四万の楽器に魅入られて、質素に、五、六年も同じピアノ楽器を使い続けるその根性!その気風の良さ!私は気に入った。!
そんな、人目など一切気にせず、余程、その楽器が気に入ったのであろう。初心忘るべからず。楽器も、非常に喜んでいる気がする。
しかし、グランドピアノさんも、それが自身にとり、最良の選択であろうから、私はつべこべは言わない。
けれども、気分が違う。安価でも、長年使い続けるその気持ち。高い買い物を、何度も自分に合う楽器を探す旅に出ている人…。しかし、お金持ちで、お金が許せるならば、個人のこれは自由だ。
金額じゃない。演奏のワザ、技量にも大いに関係している。弘法筆を、…、止めて置こう。
私はどうなのか、と問われれば、私も、貧には苦しめられていて、何か前世で、とんでもなく意地が悪かったのかといぶかしがるが、私も、こうして、何万円かは見事に電子ピアノには掛けた方だから、もういいだろう、という念慮も働く。壊さない限り、永久保存の楽器類だ。
私にはまだ他にも、ハーモニカだ、カリンバだ、と、まだ音楽・楽器を極め尽くしていないモノが沢山ある。そして何より、今一番目指す頂点なのが、電子ピアノだ。
とにかく、安価なものに愛着を持つ人を見ると、何だかこちらもホッとして癒される。でも、楽器に数万円なんて、一万でも、考えてみれば、高い方だと思う。まあ、これが、ねたみでなければ、それで良いのではなかろうか。
正直言うと、高い楽器を買って満足している人は、私は余り感心しなくて、且つ、少しうらやましい。それだけの「グランドピアノ」が家に置けるだけの、スペースやら防音やら、立派な重さに耐える床だとか、それに今言った、経済力やらが、私にはうらやましく映るが、「隣の芝生は青い」をこの時ばかりは実感する。
何も、人の後追い、人真似ばかりしたってダメだ、と言う事。いつか限界が来る。自分は自分、人は人。そこさえ弁えていれば、何にも人生、迷いがない。これが今日の私の答え、結論だ。
以上。よしなに。wainai、長文失礼。